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第五話 見守る狼

夜の森。


ベリーの森から

少し離れた場所に

岩山があります。


群れの狼たちは

その岩を


ボス岩


と呼んでいました。


森を

少しだけ見渡せる

高さの岩。


その一番上に

黒い大きな狼が

静かに伏せています。


群れのボスです。


前足をゆったりと

交差させて

森を見ています。


ボスがいつも伏せている

その場所だけ

岩は少し滑らかになっていました。


長い年月

この岩の上から

森を見てきた証でした。


ボスの視線の先には

ベリーの森が

少し見えます。


その森から

甘い匂いが

ふわりと流れてきました。


パンケーキの匂いです。


ボスは

目を細めました。


そのとき


音もなく

一羽のフクロウが

近くの枝に降りました。


フクロウじぃじです。


「黒いの」


ボスは

ちらりと目を向けます。


「……じぃじか」


じぃじは

ベリーの森の方を見ながら

くくっと笑いました。


「お主のとこの若いの

最近ベリーの森で

えらい人気者じゃのぉ」


ボスは

何も言わず

森を見ています。


少しして

ぽつりと

言いました。


「……ヴァルの血だ」


じぃじが

目を細めます。


「ほぉ」


「ガハハの狼のか」


ボスは

小さく笑いました。


「ああ」


「あの豪快のだ」


しばらく

二匹は


静かな森を

見ていました。


そのとき


ベリーの森の奥から

一匹の狼が

歩いてきます。


ベウルです。


ベウルは

ちょこちょこと

森を歩いていました。


月の光が

その毛並みに

当たります。


銀色のような

青いような


やさしい色。


ベウルのしっぽが

ふわりと揺れました。


じぃじが

ぽつりと言いました。


「……やさしい狼じゃな」


ボスは

何も言いません。


ただ

少しだけ

目を細めました。


ベウルは

森の奥へと

帰っていきます。


月の光の中で

銀青のしっぽが


ふわり。


ゆれて


やがて

見えなくなりました。


森には

また静かな夜が

戻りました。

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