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第十一話 気配

森は

まだ

静かでした。


けれど


その静けさは


どこか

変わらないままです。


ベウルは

森の中を

歩いていました。


しっぽは


少しだけ

落ち着かないように


ゆらり

と揺れています。


そのとき


がさっ。


音がしました。


ベウルが

振り向きます。


そこにいたのは


レグルでした。


「ベウルか」


「レグル兄さん」


レグルは

周囲を見ながら


少しだけ

眉をひそめています。


「……なんか、おかしいな」


ベウルは

小さくうなずきました。


「うん」


「静かすぎる」


二匹は

しばらく


森の様子を

探るように


周囲を見渡します。


けれど


何も分かりません。


レグルは

小さく息を吐きました。


「原因が分かるまで

 見回り続ける」


「またな」


そう言って


森の奥へ

走っていきました。


ベウルは


その背中を

少しだけ見つめてから


歩き出そうとします。


そのとき――


どたどたどたっ!!


すごい勢いで

何かが近づいてきました。


「ベーーールぅぅぅ!!!」


「!?」


ベウルが

振り向いた瞬間


子狼ちゃんが


一直線に

飛び込んできました。


どんっ!!


ベウルは


ぐらり、と揺れ――


けれど


今回は


しっかりと


子狼ちゃんを

受け止めました。


「大丈夫?」


子狼ちゃんは


ベウルに

しがみついたまま


ぶるぶると

震えています。


目には

涙がたまっていました。


「……っ」


口を開きますが

声が出ません。


ただ


怖くて


息だけが

乱れています。


ベウルは


やさしく

背中に乗せました。


「大丈夫だよ」


「行こう」


ベウルは


群れのいる方へ


走り出しました。


森の中を


風のように

駆けていきます。


しばらくして


背中から


小さな声が

聞こえました。


「……ベール」


「うん」


「……おっきい熊しゃん……」


ベウルの耳が

ぴくりと動きます。


「……何か、怒ってて……」


「……こわかったの……」


子狼ちゃんは


ベウルの背中に


ぎゅうっと

しがみつきました。


ベウルのしっぽが


すっと

揺れます。


森の奥から


かすかに


重たい気配が


流れてきました。

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