16/23
渓流の上
よろしくお願いします。
渓流の上
私達は焚き火を前にして向かい合って座っている
私のカップにはウイスキーが入っている
二人とも飽きもせずに黙って焚き火を眺めている
川の流れの音を聞きながら
私には
それが分かっていた
既に聞こえていたからだ
目の前の友人が目を見開いて私を見る
私は 聞こえるね と答える
この河原の遥か上流から音がするのだ
それも何かの楽器を弾いているような
琴 琵琶 そのような音に聞こえる
川の流れの音も聞こえる
時折はぜる薪の音も
そして上流では
本当に聞こえたのだ
楽器の音が
誰もいるはずのない渓流の遥か向こうで
ありがとうございました。




