第六話
メイドさん達って料理もできるんだ。そんな事を考えながら俺たちは作ってもらったカレーを完食し終えた。そして、後から持ってきてくれたプリンを食べながら今後の話をする事にした。
「明日からの学校は一緒に登校する事になりますので、朝は6時半に起きてもらいますわ。」
「ーー6時半ですか。わかりました。一つ質問なんですけど、いつもその時間に起きてるんですか?」
「えぇ、私は普段から学校には早めに行ってますの、テスト前は授業範囲を復習したりする時間に使ったりしてますけど、明日はテストの自己採点でもしようかと思いまして。」
「スッゴイ真面目なんだな。普通に尊敬する。」
「そんな事ありませんわ、このくらい私でなくてもできますもの。」
でも冷静に考えて6時半起きとか無理だよな、だって何時も俺、遅刻ギリギリの8時とかに起きてるもん。
「話の続きに戻りますけど、そのあとは7時15分に家を出ます。車通学なので実家にいる間の登下校は一緒に車で行く事になります。」
「ですから私と登校する内は居残り雑巾がけなどありえませんので、感謝して貰っても大丈夫ですわよ?」
俺が遅刻常習犯って事は知られていたのか…
「なるほどね、遅刻しなくて済むのか、とってもありがたいでございます。」
俺の高校生活はマジで遅刻が多いからな…車登校とかマジでありがたい。今まで何回廊下を雑巾がけしたかもう数えることすら難しい。
「で、学校に着きましたらとりあえずは同じクラスに向かうとしましょう。」
「ーー同じクラス?西園寺さんとは違うクラスなんだけど?」
「えぇ、分かってますわ。ですから私のクラスまで送ってもらうと言う事ですの。」
あぁ、そう言うことですか。てっきりクラスまで移動させられてるんじゃないかと思ってドキドキしたわ。
「なるほどね。」
俺はそう一言で答える。
「送って貰ったらお昼までは普段通りの学校生活でいいわ。」
「そして。お昼休みなったら、朝、メイド達から貰ったお弁当を持って私のクラスにきて、二人分のはずだから一緒に食べましょう。食べ終わったら自由にして貰って構わないわ。」
西園寺さんと一緒にお昼ごはん食べれるとか嬉しいけどやっぱ周りの目が厳しそうだよなぁ。
「二人で教室で食べるんですか?これと言っては何ですが実はちょっと恥ずかしい…と言うか何と言うか…」
普通に周りの目が怖いんだよね。多分それが気になって楽しいはずのお昼ご飯が地獄の時間になっちゃう気がするし。
「あら、あなたは私と一緒にいる事が使命なのですから断ることはできませんのよ?」
「じゃ…じゃあせめて違う場所で食べましょう。屋上とか二人きりになれる場所がいいです!」
「そこまで言うのなら、分かりましたわ。じゃあ屋上で食べる事にしましょうか。」
「ありがとうございます!」
ふぅ…危なかった。これで俺のメンタルを保つ事ができた。
「お昼が終わりましたら、最後は下校の時ですわね、下校の時も私クラスに迎えにきてください。車まで一緒に行きましょう。」
「さて、ここまでが学校でのやる事になりますわ、覚えてくれました?」
「あぁ、バッチリだから任せてくれ。」
「でしたら今日はもう、お風呂に入ってから寝ましょうか。気づけばもう20時でしたから。」
俺は時計を確認してみると、確かに20時ちょうどを針は刺していた。
「お風呂は天童君がお先にどうぞ、私は少しやる事がありますので。」
「分かった。ならお言葉に甘えて先頂く事にするよ。」
西園寺さんは俺に先に入る様伝えると自分の部屋に向かっていった。
先にお風呂に入る事になった俺は服を脱衣所でぬぎ浴室に向かった。
〜〜〜〜ガラガラガラ
やっぱお風呂も普通の家より全然大きいよな。部活の合宿の時に泊まったあんまり大きくない旅館の風呂場くらいの広さはある。
体を洗い終えた俺は湯船に浸かる事にした。
「普段はシャワーしか浴びない事の方が多いからな。なんか温泉に来てるみたいで新鮮な感じがする。」
そんな事を言いながら俺は湯船に浸かった。
「ーーふぅ……久しぶりの湯船だけどやっぱ疲れが取れる感じがあるよなぁ〜」
だけど湯船って疲労感が一気に襲ってくる場所でもある気がする。
15分ほど経過湯船に浸かりそろそろのぼせそうな感じがしたので出る事にした。
貰ったタオルで体を拭き終え、寝巻きに着替えてようとした時だった。
「ーーあ、俺寝巻きさっき紹介された俺の部屋に置いてきちまったな。」
さて、どうしたものか、幸いタオルはあるのでフルチンで部屋まで行くと言う最悪の選択は回避できるな。
とは言ってももう、タオルを巻いて部屋に行くしかないよな。メイド達は20時にはもう仕事を終え帰宅しているから取ってきてもらう事もできないもんな。
「よし!行くか!!」
俺は覚悟を決めると腰にタオルを巻き、脱衣所を出た。
「頼むから誰にも出会さないでくれよ!!」
俺はそう祈りながら2階にある自分の部屋へと向かう。
廊下を通り、階段を上がり、やっとの思いで2階へ到着した。
「確か、右側の手前の部屋が俺の部屋だよな。」
俺はそう確認すると部屋の前に行く事ができた。
「危ねぇ!!助かった!!」
俺はそう言い部屋を開けようとした時だった。
「ーーねぇ…なにしてるの?」
左の方からそんな声が出て聞こえてきた。