二人の姉、聖女王と柔らの聖女トルーサ
☆帝国国境付近の山賊砦
「かしら~デッカい聖女が、一人で来ました~」
でっけ~、髪がライオンみたいだ、背は二メートルある。金色だ。片手で木を一本丸々抱えてやがる。かろうじて、聖女服を着ているから聖女だろうな。何、袖は切っている。丸太のように太い二の腕に合う聖女服はないからなのか?
「おう、聖女さんか?何用でい!」
「我は聖女の中の聖女、聖なる女王、聖女王だ。冥途の土産に名を記憶しておくが良い。我が[真の聖女]になる糧になるが良い」
「ほざけ、野郎どもやっちまえ。弓をいろ!」
「ふん。貧弱な矢だ!オラオラ」
聖女王は丸太を振り回すと矢は全て、風圧で飛び散った。
「どうした。我はまだ聖魔法つかっておらんぞ!誰か我に聖魔法を使わせて見ろ!」
「ええい、肉弾戦だ。かかれ!」
「おい、あの女、門を素手で壊しているぞ!」
「ギャー」
「グハ」
「やめて、素手で鎧ごと握りつぶさないで~」
・・・そして、砦の盗賊達は全滅した。
「何だ、手応えの無い。シナリオなら、ここに、とらわれの皇子様がいて、我に惚れてここでまぐわい。我は皇妃将軍になって、大陸統一戦争を起こすはずが、フラグは立たない。サリーが王国の筆頭聖女になっていないからに違いない!?」
「うむ・・もう、夜か、星が動いている。聖女座の星がざわめいているな。[真の聖女]を決める日は近い。サリーの王国に行くか」
☆聖王国の田舎
「ゴホゴホ、坊やに治癒魔法をかけますわ」
「あ~すげー坊主の骨折したところが、治っていく~貴女も病気なのに、すまない」
「聖女様、有難う。もう痛くない!」
「ゴホゴホ、坊や、今度から気を付けて遊ぶのよ」
「うん。もう、高いところまで木はのぼらないよ。お姉ちゃん咳大丈夫?」
「ゴホゴホ、良いのです。これは[せってい]という業のようなもの気にしないで。お代はあるときでかまいませんわ」
「あ、有難うございます。必ずお支払いします」
ガンと診療所のドアが開いた。
「お前が、柔らの聖女、トルーサか。儂はここの領主じゃ。喜べ、儂の屋敷に来い。専属の治療士&儂の7人目の妾にしてやる」
「そんなご無体な。話会いましょう」
「「「へへへ、いい女じゃないか」」」
「聖女様にご無体をしないで下さい!」
「そうだ、お姉ちゃん聖女に嫌がることをするな」
バシ、ボギと親子を殴る音がした。
「平民どもよ。儂に逆らったな。ひったてい・・うん。何じゃ、そなた、銀色の髪が逆立っておるぞ。おお、それもそそるな。つんでれかのう?」
「話合いに応じないのなら致し方なし、聖女防御型専守防衛」
「何を言っている。こっちに来い」
領主がトルーサに手を掛けたが、ひっくり返った。
「何じゃ、そなた、実体がないみたいじゃ。あれ、儂の手首がない」
トルーサは領主の額に手を当てる。
「ゴホゴホ、聖女慈悲の型、聖光飽和、暴虐領主昇天、女神様の元で審判を受けなさい」
「ほりゃ~暴虐領主はいらなくなねポポ~」
領主は光と共にいなくなった。
「さあ、これ以上の戦いは無益です。ゴホゴホ、戦いますか?」
「「「ひえ~逃げろ~」」」
・・・・
「「「聖女様、残念です」」」
「ええ、領主をぬっ殺した以上、私がここにいては迷惑になりますわ。ゴホゴホ、皆様、お元気で」
「シナリオだと、ここで、民衆が決起して、反乱を起こし、私が聖王国の筆頭聖女行政官になって、姉と妹と軍勢を率いて防御戦闘で戦うはずだったのに・・」
「あら、もう星が出ているのね。ん?聖女座の星がひときわ輝いているわ。[真の聖女]を決める日が近い。サリーちゃんの王国に向えばいいのね・・」
最後までお読み頂き有難うございました。