奥義!陽気な貴婦人のダンス
「何?何をしたの?聖女は殺生禁止よ。サリー、やっぱり貴女は聖女失格ですわ」
「え~サリー聖女の修行しないよ~お菓子を食べていたい!」
「プランBよ。街の破落戸に殺されるのよ。殺っておしまい!」
「ええ~聖女は殺生禁止って言った。言った。1分12秒前にマルガリッタ様言った言った!」
破落戸が一斉にサリーに剣を抜いて襲い掛かった。
サリーは「ええ~しょうがないな。ナタナタ、サリーにおまかせよ!エイ」とナターシャを後ろに押して間合いから外した。
「聖女防御戦闘一体型、奥義、陽気な貴婦人のダンス!」
サリーは襲いかかる破落戸の間をダンスをしながら、躱して通り抜けた。
「あたらねえぞ、何だ、この技は」
「聖女にダンス関係無いだろう!」
「あれ、俺の腕が、何故、地面に?」
「な、何で、俺の腕をサリーお前が持ってるの?」
「あ~ごめんね。腕返すね。ポイっと、あら、カラスが持っていっちゃった。テヘ」
サリーがドンと地面を踏むと、その衝撃で、彼らの体が割れた。
「あれ、俺の下半身が、俺の後ろにある~」
「俺の足が、木に引っかかっている」
「俺の背が縮んだー」
「ナム、聖女慈悲の型、聖光飽和!成仏!」
サリーの周りが青く光ると、ならず者の体は蒸発していった。
「お前はいったい、何者なの?そうだ。私と組でさしあげますわ。私と組んでこの国を牛耳りましょう。あの色ボケ殿下なら、貴女と私で牛耳られるのでございますわ」
「え~サリー、迷っちゃう。殿下に聞いちゃうぞ!殿下!―――」
「!ええ、いるの?」
森の中から、殿下が騎士達を引き連れてやって来た。
「殿下、サリー嬢が無体を働いています!サリーが私を殺そうとしています。すぐに拘束を」
「マルガリッタ嬢、私は森の中から伺っていたよ・・騎士どもよ。サリー嬢とナターシャ嬢以外、拘束せよ」
「「「はっ」」」
「はあ、はあ」私は何が何だかわからなかったが、サリー様と殿下から説明を受けた。
「ここは、[聖女の拳、聖光破断、乙女のぬっ殺し合い]という馬鹿ゲーでェ~あたしは記憶があるの~でね。あたしね。この国の聖女になると~ゲーム的にクリアなんだけど~最悪の事態になるの~、戦争が始まるのよ、全てを犠牲にしても、あたしが、この国の聖女になってはいけないの。で、~ナターシャ様の義妹ルートがひらいちゃったワケ~」
このゲームの設定では、聖魔法を高密度で放つと、人も斬ることが出来るし。身にまとうと、魔力攻撃の他に、物理攻撃も弾くことが出来るのよ。
「ああ、全く意味が分からないが、私がマルガリッタ嬢と婚約すると、サリー嬢と[ラブラブチュッチュ]になって、断罪返しという技を食らって、廃嫡になるそうだ。そして、サリー嬢は辺境の修道院に追放されて、そこで聖女をまとめて、内乱を起こし、マルガリッタ嬢と戦争になるそうだ」
この国では転生者の予言は絶対だ。あえて、殿下は、婚約をせずに、悪役令嬢が自滅するまで、サリーとラブラブチュッチュを演じていたのだ。
「もし、サリー様が、この国の聖女になられたら、どうなるのですか?」
「え~そうすると、続編が開いて~実は私には二人の姉がいて、国同志の戦争になるの~だから、私は~馬鹿令嬢で過ごさなければならないの~」
こうして、私はこの国の聖女になり、サリー様は、聖女アドバイサーとして私と共にいるようになった。
☆
「サリーお菓子欲しー!」
「サリー様、お菓子は浄化の儀式が終わったらあげます。それまで、我慢して下さい」
「ナタナタ、わかったーナム!」
・・馬鹿のフリをしているのか、本当に馬鹿なのか、時々わからなくなるが、この人はすごい。「ナム」と一言で、泉が浄化されていく、この人は一体。
このまま、平和が続くと良いわね。
我国は隣国とも帝国とも関係は良好だ。戦争になる噂は聞こえない。
あら、ご褒美のお菓子を食べないで、バックに詰めている。
一体、何をするつもりなのかしら。
「サリー様、何をなさっているのですか?」
「うん。サリー戦闘訓練にいく~」
「サリー様がこの国の聖女にならない限り、戦争は起きないのではないですか?」
「ううん。げーむの強制力があるの~、備えているの~「真の聖女」争奪戦が始まるの~」
・・まさか、備えは必要だけど・・