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必殺!聖光破断








「見て下さいまし、また、あの男爵令嬢が殿方と」

「まあ、はしたない」


 また、あの男爵令嬢、前世の記憶がある転生者、ピンクブロンドの聖女候補が、高位貴族子弟を侍らせて、イチャイチャしている。学園の名物になっているわ。令嬢方は眉をひそめているの。


 あら、殿下が来た。注意して下さるかしらと期待していた過去の私がいた。もう殿下までサリー嬢の取巻きになっている。


「おや、おや、妖精さんがいるぞ、貴女は妖精国から迷よわれたのかな?私が保護してあげよう」


 ガバッ


「いやーーん。殿下、抱きつかないでー妖精ではありません。あたし、あたし、サリーですよ」

「おっと、サリー嬢であったか、これはうっかりした。紛らわしいぞ」

「キャー妖精さんなんて、あたし、嬉しいーー」


「何を、殿下が妖精なら、おや、ここに羽のない天使がいる。おっとサリサリだったー」


「え~さっきまで、お話してたじゃーないですか?もう、サリーで張り合わないで、困っちゃう~」


「サリー嬢、放課後、一緒に宝石店いかないか?僕には家から、婚約者用に渡されている予算がある。それで買ってあげるよ」


「キャー、うれしー、だけど、サリー放課後、ライライと約束があるの~」

「「「何~ライライってニコライかー」」」

「おい、ニコライに聞きにいくぞ」


「まあ、待て、妖精さんを拘束してはいけない。私が国王になったらサリー保護法をつくるぞ、しかし、サリー嬢の貞操が心配だ。護衛騎士を付ける。皆の者、それでいいか?」


「「「はい、殿下」」」

「いや、護衛騎士でも、サリーの魅力で、間違いを犯すかもしれない。戦闘メイドを付けろ、いいな」

「は~殿下のお心のままに(やだな~)」


「キャーサリー困っちゃうーー」



 え、ニコライって、私の婚約者の名じゃない。まさか、でも、ニコライという名は学園でも三人ほどいるから、私のニコライなら、大丈夫よね。


 昼間の休憩中は、ずっと、こんな感じよ。嫌になるわ。

 私は伯爵令嬢のナターシャ。私も聖女候補生、サリー様は転生者なので、別格扱い。魔力も相当強いと噂される。


 しかし、このままだと、私が聖女候補生の中で、一番となるかもしれない。

 何故なら、サリー様は教会の行う儀式や、聖女の修行をサボりまくって、殿下と将来の側近候補と遊びまくっているからだ。

 この国は、どうなるのだろう?


「ナターシャ様・・ご心配なさらず。ニコライ様の名がでましたが、きっと違う方ですわ・・」

「マルガリッタ様、お気遣い有難う、ございます・・・その」


 私は、言葉を濁した。侯爵令嬢マルガリッタ様は、まだ、婚約者はおられない。殿下の婚約者候補の中で筆頭だが、あのサリー嬢が来てから、婚約者選びは伸びに伸びている。


「ええ、大丈夫ですわ。いつか殿下の目は覚めます。最悪、サリー嬢を側妃にして、私がこの国を支えますわ」

「立派な心構えです。さすがマルガリッタ様」


「ナターシャ様は私の友達ですわ。私の相談相手になってくださいまし」


「ええ、お友達なんて、光栄です!」


 何て、健気な方なのだろう。どうして殿下はマルガリッタ様を見ないのだろう。







 ・・・・・


 今日は婚約者のニコライとのお茶会の日、やんわりと男爵令嬢のことを聞こうかしら。きっと誤解よね。笑ってそんなことはないと言ってくれるはずよ。婚約者を信じなくてどうするのよ。


「え、来られない。そう、わかりましたとお伝え下さい」

 今月は婚約者ニコライ様から、来られないとの前触れが来た。


「え、義姉様、ニコライ様、来られないの。おかわいそー(クス)」


 今、笑ったわね。


 義妹は聖女候補になれなかった時から、私に対抗心をむき出しにするようになったわ。正直うっとうしいの。

 サリー様と義妹、何てうっとおしいのからしら。


 あら、嫌だ。嫉妬や妬みは聖女としてふさわしくないわ。




 ☆☆☆教会

 ・・・

「また、サリー様。欠席ですか。あの方はいったい」


 神官がため息を付く。もう、サリー様は、かれこれ数ヶ月顔を出していない。


「残った方で、儀式の練習を始めましょうぞ。もう、サリー様は気にしないように。王都内の森です。皆様、教会が用意した馬車にお乗り下さい」


「「「はい、神官様」」」




 ☆☆☆森


「あれ、皆は・・」

 私の馬車だけ、皆と離れたところで止まった。御者はいない。ここは森の中よね。

 神官様と、皆はどこに行ったのだろうか?


「ナターシャ様!」


 背後から、神官と、皆が現れた。あれ、護衛騎士はいなくて、兵士かな。何か、言っては悪いけど、薄汚れた格好をしている兵士がいるわね。

 しかし、皆がいるから大丈夫だよね。

 助かったわ。


「神官様、迷ってしまいました。申訳ございません!?」


「ヒヒヒヒ、こいつですね」

 フードを被った男が現れ、「召喚!」と唱えると、魔獣ケルベロスが現れた。

 今日は、対魔獣の訓練ではないはずよ。

 それに、ケルベロスは聖女候補生では荷が重い。

 何か変ね。


「神官様、どうしたのですか?」


「あら、ナターシャ様鈍いわね。ホ~ホホホ、冥途の土産に話して差し上げるわ」

 侯爵令嬢のマルガリッタは、高笑いをして、話し出した。


「男爵令嬢サリーが脱落している今、貴女が聖女候補生筆頭ですの。ねえ、ニコライ様、メロディ様」


「まさか」


「義姉様。ニコライ様と家督ちょーだい。ドレスと宝石もちょーだい」

「ナターシャ、すまない。僕はメロディと、真実の愛に目覚めたのだ」


「ホ~ホホホ、貴女はここで魔獣に襲われて、不幸な事故でなくなるの。そして、私が筆頭聖女候補生になれる。ニコライ様とメロディ様は結婚出来るの。私は行く行くは殿下と・・キャァ、ねえ、貴女が死ぬと三人が幸せになれるの。死んで下さいますね?死にますよね。ここで死ななければ令嬢ではございませんことよ」


「!そんな。マルガリッタ様、私たちは友達だったのではないのですか?」


「ホ~ホホホホ、私は一度も貴女を友達とは思っておりませんでしたのよ。ほんと、鈍いわね」


「義姉様、ニコライ様ちょーだい!あたしはお姉様の代わりに幸せになりますわ。命ちょーだい!」


「そ、そんな」

 メロディはわかるけど、マルガリッタ様とニコライ様が・・私を害するなんて


「ちょっと、すみませーん。遅刻しました。浄化の実習ってここですか?サリーおくれました。先生―ごめんなさい」


「「!!!!」」


「ホ~ホホホホホ、ちょうどいい。召喚士様、サリーも一緒に、処分しましょう」


「キャー、破落戸さん、剣を向けないで下さい。サリーこわい」


「マルガリッタ様、サリー嬢は、僕の恋の相談をしてくれたのです。殺すのは・・」


「え~マルガリッタ様、何で縦ロール揺れないの~サリーに教えて!」


「あら、ニコライ様、怖じ気付いたのかしら、真の愛とは、犠牲を伴うもの。今、貴女は元婚約者を犠牲にしているのよ。それともサリー様がお好きになったのかしら?」


「僕はメロディ一筋だ!サリー、ごめん」

「キャー、ニコライ様、助けて、私、淑女の下着図鑑もってるの。それあげるから助けて!」


「それでこそ、ニコライ様よ。さあ、召還士様、二人を、身元がわかるくらいに、バクバク食べさせてしまいなさい!」


「ちょっと、そのワンちゃん。首三つ。寝ている時、どうするの?交代で寝るの?そしたら24時間番犬じゃない!欲しいーサリーに頂戴!」


 フフフフ、こうして、他の聖女候補生や、ニコライ、メロディを連れてきたのは、共犯者にするためよ。もう、彼らは、私の奴隷ね。謀略してこそ貴族。

 ついでに、サリーを始末して、殿下の目を覚まさせて、私が、殿下の婚約者になる!!


「ちょっと、その縦ロール、やっぱり動いても揺れてないじゃーない。どうしたらそうなるの?サリーに教えて!」


「ガオーーーン」とケルベロスが、ナターシャとサリーに飛びかかろうとした。


「ちょっと、ちょっと、あたし、美味しくないわよ。ダイエットしていて、お野菜しか食べてないのよ。ナターシャ様もそうよ。サラダしか食べてないのよーーーーねえ。ナタナタ!」


 だが、ケルベロスは襲い掛かろうとして、止まった。犬だが、顔から汗が出ている・・


「クゥ~~~~ン」


「あ、ヨシ、ヨシ、可愛いね。わかってくれたのね。サリー嬉しい!」

 お腹を見せて、サリーになでられている。


「どうしたの?召還士様」

「そ、それが、隷属の魔法、ケルベロスよ、汝の敵を・・・」


「ケルベロスちゃん。もう、魔界にお帰り!聖女基本型乙女の祈り、召還返し!」


 サリーが手を組み詠唱をすると、ケルベロスは「「「ワン!」」」と吠えて、消えてしまった。


「ま、まさか、私の召還が」


「ちょっと、ワンちゃん可哀想でしょ。ワンちゃんの気持ち考えてないから、すぐに召喚とけるのよーーー、聞いてるの?」


 サリーは指を立てて、プンスカ怒る乙女の怒りを表現する。


「非合法に人を襲わせる、召喚士様は~し・け・いだぞ!」


「聖女戦闘型、聖光破断!」

 サリーは立てた指を上から下に空を切る動作をすると、召喚士が真っ二つに割れた。


「ポア~」と断末魔をあげ、召喚士は亡くなった。





最後までお読み頂き有難うございました。

しばらくこの話は続きます。

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