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復活レストラン洗濯船  作者: 横山礼眞
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第4話 星の贈り物

エーコのご先祖様が遂に登場?!


ここは地球から2万光年離れたよく似た星『ちたま星』。


「もう駄目だ・・・」

ちたま星は海と緑の豊かな星だった。

だが自己増殖を繰り返すアメーバ状の宇宙生物に今となっては完全に飲み込まれつつあった。


この星の人々の大半は海洋生活が基本だったため運命を星と共にするしかない。

射座船長いざせんちょう率いるこの船だけは、更に科学技術の進化した惑星から飛来した龍人族ヤーコの飛行船と衝突した結果、ハイパー宇宙船となり自由自在に空間のみならず星間移動も可能になっていた。

商売仲間の船も可能な限り同様に改造したが皆それぞれにこの星を脱出するしか時間が無かったのだった。

やがて星は完全にアメーバに包まれるとスーパーノヴァ(超爆発)を引き起こし消滅したのだ。

もちろんその衝撃で星と共にアメーバ状宇宙生物も宇宙の果てまで散り散りに飛び散っていった。

冷凍スリープから目を覚ました船長と龍人族ヤーコはちたま星とよく似た環境の星を発見する。

が、スーパーノヴァに巻き込まれたため船のあちこちが機能しない。

遂にその星の大気圏に突入し操縦が不能になった挙句、現在の本丸山頂上付近へ不時着したのだった。


船長と竜神族ヤーコはこの星に適合すべくDNAを改変しお互いに同じ種族となった。

こうして2人の生活が始まったのだった。


「しかしこの星は美味しい物が多くて助かりますね!」

ヤーコは日がな一日中何かを採取しては(´~`)モグモグ食べている。


「アメーバ並みだなお前の食欲は。」

呆れる船長。


「最近特にお腹が減るのです。どうしてなのでしょう?」

それから1か月もせずヤーコの妊娠が発覚した。

宇宙船内には脳内でイメージしただけで素粒子から実体を具現化する装置もあるので生活には困らない。

その頃の地球は今から約2万年前のため、この地域では採取生活をする原住民が住んでいた。

原住民はサル酒作りがとても上手だった。

無類の酒好きの船長がそんな原住民と仲良くなるのに時間は必要なかった。

妊娠中に酔っぱらって真夜中に帰宅する船長にヤーコはついにブチ切れて船から追い出すのだった。


「悪かった!もう2度としないので許してくれ!!」

船の玄関の前で土下座する船長を見た原住民は祭祀場と勘違いをし、磐座のような玄関前に本当の祭祀場を作りお祭りをするのだった。


二人は原住民とのコミュニケーション用に自分たちを『射座直海いざなおみ』『射座直輝なおき』と名乗っていたが船長はヤーコの前で良く泣かされていたこともあり原住民は『直輝なおき』ではなく『なき様』と呼んでいた。

そうこうするうちに元気な男の赤ん坊が生まれた。

船の修復も大分進み衛星間通信ができるほどになった。

そんなある日、ヤーコの母星との通信に成功し、救援が来てくれることになった船長家族は喜ぶのだった。

地球不時着からの記録を船に残し原住民がいつか困った時に役立つよう、船はこの場に残して救援船に乗り竜神族の星へと帰っていったのだった。

当初のシミュレーションでは25000年後に船のロックが解除される予定だったが、2万年後の本丸山山頂付近でヤーコの血を引くエーコが磐座に抱きついた際にDNAセンサーが作動しロックが解除されたのだった。


「ピーチャン!!」

田子作の右の鼓膜がキーンと耳鳴りしている。


「い、いつの間に?」

驚く田子作の傍でニヤニヤするエーコ。


「やはりそうですか。」

何かに納得するエーコ。


「何がだよ?」

右耳の穴を小指で穿ほじる田子作。


「要領が掴めたので今日は帰りましょう。」


「だから帰るったって・・・」

田子作が反論しかけた時、足元に大きな金属の仕掛けが現れた。


「おわっ!何だよコレ!?」

それはまるで大きなクロスボウのような物体である。


「まず落下時間が7~8秒。穴の摩擦係数はほぼ0,入射角が30度くらいで体重は秘密でっと。」

エーコは何やらブツブツと計算し始めた。


「と言うことは、この角度でこれくらいの強度の力なら安全に飛び出せますね。」

そう言いうと弦を引っ張る装置を調整し、弦がピンと張ったのを確認すると矢がセットされる部分にうつ伏せになって両腕の脇を絞めて寝ころんだ。


「田子作さん、後ろの赤いレバーを引いてもらって良いですか?」

エーコはうつ伏したまま田子作にお願いする。


「え?これか?」

言われるがまま何も考えずにレバーを引く田子作。


バッシュッ!!


勢い良くエーコを乗せた台座が巨大クロスボウから発射された。

目の前の穴の中へ一瞬で消えたエーコを田子作は下からのぞき込む。


「おーい、大丈夫か?」

しばらくして台座だけがゆっくりと降りて来た。


「私がやったみたいに台座に寝てレバーを紐で引いてくださーい。」

エーコに言われて辺りに紐を探す。

するといつの間にか田子作の手には丁度良い長さの紐が握らされている。

紐の片方を赤いレバーの先端に結び、エーコと同じ姿勢で台座にうつ伏すと右手で紐の反対の端っこを思い切り引っ張った。



バッシュッ!!


またもやエーコと同じく一瞬で磐座の穴から飛び出した田子作。

だが勢い余った田子作は磐座の前の斜面をコロコロと転がり落ちて行く。

途中で何本かの木に当たり悲鳴を上げる。

大きな木の付け根に叩きつけられようやく止まった田子作は呻き声を漏らす。


「ちくしょー、痛ぇじゃねか~・・・」

余りの痛さに弱弱しい声しか出せないでいる田子作を上の方から覗き込んでいるエーコ。


「そうか、体重が違うんだからもう少し弱くしないといけなかったですぅ。」

エーコは宇宙人のため地球人とは比重が違って田子作よりも実はかなり重たいのだった。

急な斜面をようやく這い上がってきた田子作はボロボロだった。


「手前ぇ、一体どこが安全なんだよ!?」

震える声で怒っているが呼吸が苦しくて声は小さい。


「あっ!」

エーコは突然夜空を指差した。


「ん?」

田子作もエーコの指がさす方向を見上げる。


「流れ星です!ご馳走腹一杯、ご馳走腹一杯、ごち、あっ、消えた!」

願い事を流星が消えるまでの間に3回唱えたら願いが叶うと信じているエーコは悔しがった。


「小学生か!」

突っ込む田子作。


「あっちは佐賀関さがかん方面です。明日行ってみましょう。もしかしたら拾えるかも流星を!」

喜々としてエーコは真っ暗な山道を下り始めるのであった。

置いて行かれまいと必死に後を追いかける田子作は何度も転びながら悲鳴を上げるのだった。

果たしてこれからどうなるのやら?

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