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プロローグ

――彼は、サッカープレイヤーではない。

彼は、スポーツマンである。


先のサッカーにとどまらず、陸上をしても学校代表で大会へ出て、県大会に進む実力を笹野は持っている。

一番力を注いでいるのは野球。これをやっても実力は高く、既に6年を抑えてエースで4番だ。


と言う訳で、全国大会の開会式が行われるその日、笹野には大事な野球の県大会の初戦が決まっている。

6年生にとって、最後の大会となる、この県大会。チーム一丸となって勝利を目指している。

前回の市大会は、準優勝どまり。県大会優勝で全国大会へ進める。野球に全てを注ぎ、死力を尽くす覚悟は、笹野にはとっくにあった。


そういう経緯で、FC神田が全国大会を決めたこの日、チームに夢舞台を準備して、彼はその場を立ち去ったのである。


-----7月14日 月曜日 神田小学校-----


「勇人! 聞いたぜ、神田が全国大会だろッ?」


翌朝、月曜日。普段通りに学校へ登校すると、教室へ入った途端に野球仲間の1人である都築隆吾ツヅキリュウゴが話しかけてきた。

サッカーをやっていないのに、この盛り上がり様。都築の仲間を想う性格が伝わってくる。


「でも、活躍したのは隣町の南原小学校の6年生だから。俺はボールを捌いただけだし、何にも活躍してないよ。」

 昨日は、内心ガッツポーズをしまくっていた笹野。気持ちを入れ替え、クールに問いかけに対応した。

本当は、大会通じて6得点、8アシストの大活躍。だが、あくまで彼は彼の姿勢を崩さず、喜びを他へともらそうとはしない。


「でも、これで、野球で全国行けなかったらお兄ちゃんからぶん殴られちゃうよ。」

 都築との会話の中に割って入ったのは、江波美紅エナミミク。お兄さんが、笹野と都築が入団している神田スターズという野球チームの3番センター兼主将だ。


「そりゃあ、怖いな……。」

 盛り上がっていた都築の意気が消沈してしまった。

「まぁ、気楽に頑張ろうや。江波君も居るし、心配しなくても勝てるって!」

 笹野の一声で、都築の顔に笑顔が戻り、江波も微笑んだ。



神田スターズの県大会一回戦は7月21日。開会式終了後の二試合目で、「前原シャインズ」と対戦する。

江波を初めとする、6年生や同じ5年生、チーム全員の期待を背負って笹野はマウンドへ向かう。

 

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