6.お買い物 柚希編
「よし!それじゃあお買い物行こっか〜」
ゆの姉がのんびりした口調で言った。最後に僕は鏡を見て、身だしなみの最終確認をしてから玄関を出た。
ゆの姉が歩くの後ろから僕が付いていく……男の子に見られてないかな?ちゃんと女の子に見られてるよね?なんて不安もあった。女の子として見てもらいたい訳じゃないけど……。この格好で歩くのって結構恥ずかしい。こんな服装で歩いた事なんて1回もないからね……
柚希ちゃんとは僕の家から歩いて10分位で着く駅で待ち合わせしているらしい。会うの、緊張するなぁ……。最近は会って無かったし尚更。けど久しぶりに会えるんだし、少し嬉しい……気持ちもある。
◆◇◆◇◆
駅に着いてしまった……。柚希ちゃんに会いたくない訳じゃないけど……やっぱ緊張する。僕はいつ柚希ちゃんに会ってもおかしくないという事で、ゆの姉の後ろに隠れながら歩いた。駅に着いてからしばらくしたら、少し遠くから声が聞こえてきた。
「ゆの姉〜!こっちだよー!」
聞き覚えのある声が、こちらに近づいてくる。柚希ちゃんだ!
「あ、柚希ちゃん!久しぶり〜」
ゆの姉はいつもと変わらず返事をした。……ここで少し安心した事がある。柚希ちゃんが前から走って来たことだ。もし、後ろ側から来られたら……ゆの姉の後ろに隠れてた意味が無くなるからね!ってそんなどうでもいい話はさて置いて。
「あれ?葵は……居た!ゆの姉の後ろに隠れてる事は分かってるよ!大人しく出てこい!」
うぅ……見つかった!仕方ない。諦めて前に出るかぁ……。と思っていたら、柚希ちゃんは予想外の行動をとった。
「葵〜!久しぶり!」
「え、ちょっと…」
――柚希ちゃんはこちらに走って来て……そして僕の隣辺まで来たときに……僕に抱きついてきたのだ。
「葵久しぶり!って予想以上に可愛くなってる!?」
「ちょ……ゆ、柚希ちゃ……やめ……」
急に抱きつかれたので、かなり動揺した。女の子から抱きつかれた事なんて一度もない……。それに柚希ちゃんから…ちょっと嬉しかった。
「あ、ごめん……久しぶりに会えて嬉しくて……それに可愛いし」
「い、いや大丈夫だよ。僕も久しぶりに会えて嬉しいし……」
良かった……いつもの柚希ちゃんだ……。それに特に驚いている様子でもないし……可愛いし。そんな僕達の様子を見ながらゆの姉が微笑ましそうに言った。
「楽しそうな所悪いけど、そろそろ行こっか」
「そうだね〜。じゃあ葵、手繋いでいこ!」
「うん。いいよ」
柚希ちゃんと手を繋いで歩ける……僕が男の子だった時はそんな事無かったし、女の子になって少しだけ得したかも……。と思った瞬間だった。
駅から更に歩いて5分位した所にあるショッピングモールに向かう。ちなみに、歩いてる途中はずっと柚希ちゃんと手を繋いで話せたから幸せだったね。
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