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10.女子力UPを目指して

投稿遅くなりました!20時から21時までに更新しようとしてるんですが…それと、今回若干いつもより長いです。

僕が女の子になってしまってから、1週間程が経った。最初はこの体に慣れなかったけど、なんだろう。僕は順応性が高かったのかな? 次第にこの体で生活するのにも慣れてきた気がする……と言っても、トイレとお風呂に若干手間がかかる様になっただけだけどね。でも、未だに下に付いていたモノが無くなった感覚には違和感を覚えてしまう。


 「それじゃあ、私大学行ってくるね。あと、少し用事もあって夕方まで帰ってこれないと思うから、お昼はなんか買ってきて食べといて」


 「はーい」


ゆの姉はそう言って、テーブルにお札を置いた。多分、これで買ってこいって意味だと思う。……僕はショッピングモールに行った時以来、外出はしていない。外出する用事が無かったのもあるけど、やっぱり周りの視線が気になる。買い物に行った時も、なんだか他の人に見られてる感じがしてた。ゆの姉達は男子に見えないって言ってくれるけど、自分だとよく分からない。……ということで、僕はあまり外出はしたくない。まぁコンビニにお弁当買いに行くこと位は出来ると思うけど。


◆◇◆◇◆


今の時刻は午前11時過ぎ。やることが無いのでベッドに寝転がっていた。窓からは暖かい光が差し込んでいて、つい眠たくなってしまう……いつもこの時間は寝ないはずだけど、僕の意識は段々と遠のいていった。おやすみなさい――


 「葵っー!起きてるー?」


なんだなんだ!? 僕は驚きでベッドから飛び起きた。僕が深い眠りにつきそうになっていた瞬間、大声で僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきたのだ。夢なのか、それとも眠過ぎて幻聴が聴こえてきたのか……しかし、この声の正体は夢でも幻聴でもなかった。


 「あれー? 葵っ! 遊びに来たよ〜」


……家の外から、聞き慣れた声がする。柚希ちゃんの声だった。つまり僕は、偶然遊びに来た柚希ちゃんに起こされたと言うことか。……家の前で僕が驚いて起きるほどの大声で叫ばれると、なんだかこっちが恥ずかしくなってくる。


 「あ、柚希ちゃん、今開けるから待っててね」


僕は2階の窓から、少し大きめの声で返事をした。そして急いで1階へ降りる。今の僕の服装は、別に外出しないから大丈夫だろうと男子だった時に着ていた部屋着姿だった……僕は柚希ちゃんにこの姿を見せたら、なんだか怒られる気がしていた。なので、急いでリビングに向かって僕は着替える。僕は白のブラウスと茶色っぽい色でチェック柄のスカートを手に取った。じゃあ早速これを着る……スカートに関しては一応、試着する時に着たことはあるので普通に着れた。なんというか、変な感覚。ズボンと違って肌に直接着てる訳では無いから、これで外を歩いたら、足が風にあたって寒そう……なんて考えてる暇はないんだった。柚希ちゃんを待たせてしまっている。上も着替えて玄関へ向かった。


 「柚希ちゃん、いらっしゃい!」


柚希ちゃんは背中に少し大きめなリュックを背負っていた。


 「葵おはよー!実は明日までに塾の課題全部終わらせないといけないんだけど ……あれ? もしかして出掛けるの?」


 「え? 別に出掛ける予定はないから大丈夫だよ」

 「あ、そっか……でもなんでそんな服装してるの?確かそのコーデは、外出用だと思ってたんだけど。まぁいっか」


……しまった。選ぶ服装を間違えたんだ。確かにこの服装、よく見てみると明らかに部屋着ではない。出掛ける用事もないのにこんな服装をしているのは不自然だ。……あのパーカー着てれば良かったなぁ。適当に選んだ僕が悪かったけど。


 「ま、まぁとりあえず上がってよ。お菓子でも出すから……」


 「え、まじ? 葵ありがとっ!」


良かった。なんとかやり過ごせた。僕が男子の時に着ていた服を、女の子になった今でも着ていた事が柚希ちゃんにバレたら……。そう考えるとちょっと怖くなってきた。でもバレてないみたいだったし、多分このまま行けば大丈夫でしょう。……しかし、僕のこの考えは甘かったのだ。


 「ねぇ葵、ここに置いてあるお金って何かに使うの?」

 「そのお札は、ゆの姉がお昼家に居ないから、僕がなんか買ってくる為のものだよ。後でコンビニにお弁当でも買いに行こうと思ってるけど」


 「あ、そう……」


 「とりあえず、ここに居て待っててね。ちょっとお菓子あるか見てくるから」


 「あ、おっけー!……って葵、これなぁに?」


僕は柚希ちゃんにいつもより少し低い声で言われた。なに?なんか怖いんだけど。とりあえず僕は柚希ちゃんが指差している方向を見てみた……そこには、さっきまで僕が着ていた服が脱ぎ捨てられてそのまま放置されていた……。これ、完全にバレたよね。


 「えっと、それは……」


 「葵……男子の時に着ていた服を、女の子となった今でも着ている。ゆの姉から貰ったお金で、コンビニ弁当を買おうとする。脱いだ服を、そのまま放置する……流石に"女子力"が無さすぎる!」


 「女子力!? って……1週間位前までは普通の男子だったんだし、女子力がないのは変ではないような……」


 「たとえ葵が元男子だったとしても、今の葵は女の子。そもそも性別関係なく、脱いだ服をそのまま放置するのは良くない。」


 「まぁ……それは確かにね」


 「という事で……当初の予定を変更して、葵の女子力を上げるために特訓をするぞ! 分かったか!」


 「急すぎ! というか課題大丈夫なの!?」


……という感じに、僕は半ば無理やり、柚希ちゃんによる"女子力"を上げるための特訓に参加させられるらしい。別に暇だったからそれ自体はいいんだけど、課題、明日までに終わらせないといけないじゃないの?


 「じゃあまず、女の子らしい歩き方を練習しよう!」


 「女の子らしい歩き方とかあるの?初めて聞いたかも。どんな感じなの?」


 「今から私が実際にやってみるから、しっかり見といてね!」


女の子らしい歩き方……なんとなく分かるかも知れない。美しい姿勢で歩く、あのお上品な歩き方。でも、僕には出来る気がしないけどね。それで、どうやら柚希ちゃんが実際にやってくれるらしい。僕の予想は当たってるのかな……柚希ちゃんは、背筋を伸ばして、リビングを歩いた。……ほとんど僕が想像していた歩き方だった。


 「あー疲れた……これちょっと歩いただけでも相当疲れるんだよね……。だから私はこの歩き方しないけどね」


 「しないのね……多分、僕にも出来そうにない。その歩き方」


 「あ、そう? ……じゃあ教えた意味無かったかも」


この後、僕は歩き方の他に、女の子らしい笑い方や可愛らしい仕草とか……覚えていてもあんまり意味がなさそうな物を教わった。


◆◇◆◇◆


 「ちょっとお腹空いてきたからさ、一旦コンビニ行ってお弁当買ってくるね。柚希ちゃんもいる?」


 「……お昼ご飯をコンビニ弁当で、済まそうとするなんて……やっぱりまだ特訓が足りないみたい。」


 「えー。別によくない? 僕ご飯作れないし。それにご飯を作る手間も省けるし」


僕は自分でご飯を作ることが出来ない……というか炊飯器の使い方すらも怪しい。家庭科の授業の内容とか覚えてないし、強いて言うなら卵焼きくらいしか作れない……こんな僕にとって、コンビニのお弁当はすごく便利。ゆの姉がいない時はいつも食べている。


 「確かに時短になるのはコンビニ弁当のいい所。でも、このまま葵がご飯を作れるようにならずに、毎日コンビニ弁当の生活を送っていたら健康に悪い。それに、今別に急いでないし、ご飯を作れないなら作れるようになればいい!」


 「つまり……どうすれば」


 「家にあるもので試しになんか作ってみよー!」


ということで、僕達はキッチンへ向かった。別に今日はコンビニのお弁当でいい気がするけどなぁ……というか、柚希ちゃんって料理出来るイメージ無いんだけど、料理できるの?……まぁいいや。とりあえず、使えそうな材料を探そう。


 「あ、そうだ! スパゲティの麺あるし、これ使ってパスタでも作る?」


 「うん。なんでもいいよ」


柚希ちゃんがキッチンに置いてあった麺の袋を見て言った。パスタ……僕でも作れればいいけど。次に柚希ちゃんは冷蔵庫の中を確認した。


 「結構整理されてるねー。あー、これも使えるかな」


こんな感じに柚希ちゃんは冷蔵庫から色々と取り出す。


 「よーし! こんなもんで作れるでしょ!まず葵は、このベーコン切ってくれる?大体1センチ位の感覚でお願い」


 「あ、うん。やってみるね」


そして僕は置いてあった包丁を手に取った……なんか使うの怖い。家庭科の授業の調理実習で何回か使う機会はあって、初めてって訳では無いけど。まな板の上に置かれたベーコンを切ればいいらしい。とりあえず切れるかどうか、やってみる。


 「あぁ……怖い……」

 「そんな怖がらなくて大丈夫だよ。」


柚希ちゃんは僕にそう言いながら、鍋にお湯を沸かせている……正直、切るのよりもそっちの方をやらせて欲しかった。それで、なんとか僕もベーコンを切り終わった。実際に切ってみるとそこまで怖くなかったかも。


 「じゃあ次に、これ混ぜてくれる?」


僕は柚希ちゃんに何かが入ったボウルを渡された。まぁ、とりあえず混ぜるけど。


 「その位でいいんじゃないかな?」


僕が数分ほどボウルをかき混ぜた所で柚希ちゃんが言った。


 「次にこのスパゲティの麺、鍋に入れてくれる? もう中身は出してあるから」


 「えっと……こんな感じ?」

 「あ、それでいいよ! スパゲティゆで終わるまでちょっと時間掛かるけど、待てば大丈夫!」


スパゲティの麺をゆで終わり、この後フライパンを使ってさっき切ったベーコンを炒めたりしてなんとかパスタが完成した。


 「持ってきたよー!」柚希ちゃんが作ったパスタをお皿に盛り付けて持ってきてくれた。


 「ありがとう!結構美味しそうだね」


僕は出来上がったパスタを見て、思わず感動してしまった……柚希ちゃんに手伝って貰ったけど、大半は僕が作った。自分で苦労して作った料理が完成すると、こんなに嬉しい気持ちになれるんだ……。それで、肝心の味はどうかな?


 「うん。普通に美味しいね」

 「初めて作った料理にしては、いい出来だと思うよ!」


しっかりとした料理が出来て、少しほっとした。苦労してまで料理を作る人の気持ちが、少し分かった気がする。そして、僕達はパスタを食べ終わった。


 「じゃあお皿とか使ったもの洗おっか!洗い終わるまでが料理だからね」


「帰るまでが遠足」みたいな事を言われた。5分位掛けてお皿や使ったフォーク、まな板等の調理器具も全て水洗いした……。なんというか、すごいやり切った感がある。というか、柚希ちゃんはどこにいるんだろう。僕が洗ってる間にどこかに消えた。リビングに戻ってみると……柚希ちゃんはソファーで寝てるみたい。まぁ、僕に色々教えてくれたし、疲れちゃったのかな。



この後、僕は夕方になってゆの姉が帰ってくるまでに、なんとか柚希ちゃんの課題を1人で終わらせることが出来た。それにしても、かなり量が多かったなぁ。今までやってなかった課題が溜まってたのかも知れない。……なんだか今日も疲れた。もう、明日は1日中寝ていたい気分だよ。



――今日は、料理の大切さを学べた気がする。

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