第8話 王都への道のり④
「勝者、血桜!!」
審判が血桜の勝利を告げたが回りの冒険者は呆然としていた
この街のAランク冒険者だった炎騎士がぽっと出の正体不明のSランクに遊ばれて倒されたのだから当然だろう
しかし、審判の次の言葉で皆が血桜に意識を向けた
「血桜が勝ったことによりなんでも一つ命令することが出来る!血桜は何を命令する?」
「そうでありんすねぇ~」
皆、固唾を飲んで次の言葉を待った
「この小娘を奴隷にしなんし」
血桜の命令に動揺したのか審判が聞き直した
「今、なんといいましたか?」
「聞こえなかったでありんすか?
この小娘を奴隷にしなんし。と言ったでありんし。何か問題があるのかぇ?
何でも好きな命令をできんしてよ?早くこの小娘を奴隷にしなんし」
その言葉に訓練所が大騒ぎになった。
しかしそれを落ち着かせるように一人の男が声をあげた
「一体何の騒ぎだ!俺はまだ決闘を許可した覚えはないぞ!」
「ギルマス!」
声をあげた男に視線がいき、何人かの冒険者が目を丸くして呼んだ。
「お前、それで?これは一体何の騒ぎだ?」
審判をしていた男がギルマスと呼ばれた男に寄って
「炎騎士と血桜というSランクになったばかりの女の決闘ですよ。でも、許可は取ったって受付嬢が言ってましたけど」
「何?誰だその受付嬢は。俺は許可してないぞ?」
「最近入った新人の受付嬢です」
「アイツか」
等二人で話し合っていると声をかけられた
「それで?あの小娘を奴隷にしてくれないのかぇ?」
ギルドマスターはいきなりの不躾な質問に眉を潜めた
「誰だお前は」
「妾は血桜やぇ、妾が勝ったから何でも好きなこと命令できると思いんすけど違いんすかぇ?」
ギルドマスターは審判に目を合わせたが審判は首を縦に振った。ギルドマスターは溜め息をついて答えた
「すまんな。そもそもこの決闘は俺は許可していないから無効だ。こちらに不手際があってな。だが、これで終わりはお前も納得しないだろうからどうしたら良い?」
「そうでありんすか。どうしてそうなったのかぇ?」
「それは……まぁ、いいか。家の新人の受付嬢が嘘をついたんだよ」
「その者に会えないのかぇ?」
「いや、会わせることは出来るが?」
「それじゃぁ、その者に会ってみんす。それから決めりんすよ」
そういってスタスタと歩き去ってしまった。