第二話
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第二話 変化
深水先生との個室デートを終えた俺は、独り帰路につく。「見ろよあれ、能力不明の一年坊主だぜw」「かわいそうにw」俺は校内では結構な有名人だ。なんでも、能力を持たない俺が珍しいらしい。もう慣れたことだが、それでも不愉快なものは不愉快だ。「変わりたい」そんなこと、何度も考えた。でも、才能があるやつと無いやつの間では、俺が思うよりも巨大な壁があるようだ。「……帰ってゲームしよ」そう呟きながら帰路につく。段々、日も暮れてきた。今日は少しばかり帰りが遅くなってしまった。「自らのギフトを困っている人の役に立てたい」幼い頃は無邪気にもそう思っていた。それが、今やこんなにも腐ってしまっている。「こんな人生嫌だな」そんな感じのネガティブ思考で歩いていたら、どこかで悲鳴のようなものが聞こえた気がした。ふと、目を向けると中年の会社員といった感じの男が今にも橋の欄干から飛び降りようとしていた。「会社をクビにされて、妻子にも逃げられた。俺にはもう何もないんだ!」そう言い放つと男は川へと飛び降りようとした。気づいたら、駆け出していた。久し振りの全力疾走だ。そして、間一髪、男の腕を掴むことが出来た。「なんとか…間に合った…」息を切らせながらも、何か大切なことに気付いた気がした。「こんな、俺でも誰かの役に立てる。」そんなことに気付けた気がした。「これからも辛いことがあると思いますけど、精一杯生きましょう。」そう言うと男は「はは、君みたいな若い子に命を救われて諭されるなんて……そうだね、僕も頑張ってみようかな…ありがとね」と苦笑いしながらそう言って付近の交番から駆け付けたであろう、警官たちに連れられていった。