涙の真相、ドンデン返し 【29】
そっか。
そう言う事だったのね。
あんたがわたしに着いて来た理由って。
「それじゃ、レジェナと行動を供にした理由は__」
何よ、お兄ちゃん。
聞きたくない事、無理に言わせんじゃ無い。
「そうですね」
マニの微笑みは、見てるだけで何も心配ないくらい頼もしげだった。
「最初はそれが理由でした。まあ、急ぐ旅でもありませんし、本物かどうかも判りませんでしたが」
何よ、アンタ。わたしの事疑ってたの?
て、ヤッパリ贋者だったんだけどね。
「しかし、レジェナ様」
何よ。
「わたくしには判りました」
何が?
「あなた様が、本物のレジェナ王女だと言う事が」
「__」
マニの微笑は、益々深く、ついつい惹き込まれるほどに澄み切っていた。
「供に旅を続けて行くうちに、このお方は真のレジェナ王女様だと言う事が、わたくしには判りました」
「で、でも……」
わたしは、贋者……
「憶えては居られぬでしょうが」
?
「わたくしはね、レジェナ様。乳飲み子の頃のレジェナ様を御抱き賜わった事があるのですよ」
ひえー!
そんな事が有ったの?
憶えてる訳無いよ、実際。
赤ちゃんの頃のわたしが、マニにダッコされてたなんて。
何か恥ずかしいよお。
お兄ちゃんも、何だか妙にあったかい目でわたしの事、見てるよ。
もお、なんなのよ、一体。
「生後一年にもならぬ赤子におわしましたが、わたくしの指を小さな手で無心に握り締められたレジェナ様の無垢な笑顔、その柔らかな温もり、甘い匂い、全て憶えております」
ひゃー、やめてよ、もう。