涙の真相、ドンデン返し 【25】
「これは確か、サウロロフス王家の紋章__」
ええー?!
慌てて短剣に目を凝らすと、なるほど、その柄の部分にはわたしの持ってる宝剣と同じ意匠のエンブレムが施されてあった。
どう言う事?
「どうしてあなたが__?」
驚きの表情で自分の方を注目するわたしとお兄ちゃんに、マニが些か決まりの悪そうな微笑で応えた。
「大変失礼致しました__」
マニが、膝を付くとあらたまった礼を見せた。
「マニ・ツェンガとは修行者として師より与えられたる法名、生みの親より授かった名は、タルキア。真の名乗りをタルキア・アーケオプテリクスと申します、ご無礼を__」
「アーケオプテリクス__?」
お兄ちゃんが、記憶を探るように軽く目を泳がせた。
「知ってるの、お兄ちゃん?」
「そうだ、アーケオプテリクス大公!」
「大公?」
わたしは、思わずお兄ちゃんの顔を見、マニの、否、タルキア・アー……ナントカカントカの顔を見た。
「もしや、十五年前の謀叛の時に御命を落された、国王陛下のいとこにあたるアーケオプテリクス大公の事では……?」
タルキアと、本名を名乗ったマニが、丁寧に叩頭した。
「それではあなたが、そのアーケオプテリクス大公の__」
「末子でした」
ええー?!
「あんた、確か東洋から来たんじゃないの?」
「申し訳御座いません、レジェナ様」
マニはいつもの苦笑いで、はぐらかすように再び頭を下げた。
あんたねえ、何でそんなアリガチな秘密、もったいぶって隠してたのよ。
「どう言う事なんですか?」
お兄ちゃんだけじゃない、わたしも聞きたいよ。ちゃんと判るように説明してよ、マニ、否、タルキアさん。
マニはまたまた苦笑いを浮べてそこに佇んでいた。