涙の真相、ドンデン返し 【23】
「いい事、これからカスモさん達にも言っちゃうから」
「知ってるよ」
得意になって宣言したわたしに、お兄ちゃんは静かに答えた。
知ってる?
?
どう言う事?
わたしはお兄ちゃんの顔を不信の思いで見詰めていた。
「知ってるって……」
お兄ちゃんはふー、と一息、しょうがない、と言わんばかりの、やや落ち着いたような溜息をついた。
「多分、カスモ中将もご存知だと思うよ」
それってどう言う事よ?
「言ったろう、王女様のご逝去は王家の重臣たちの手で厳重に伏されたって。僕も確かめた訳じゃないけど、情報将校だったかカスモ中将なら恐らく知ってる筈だ」
「__」
それじゃ、カスモさん、どうして?
「いいかい、レジェナ。サウロロフスの遺臣団にとって、王女様がご存命であると言う事が唯一の心の支えなんだ。仮に、それが替え玉であっても」
「そんな……」
みんな、グルになってわたしを騙してたの?
あの、人の良さそうなカスモさんも?
「それじゃあ、ミアキスも?」
「まさか」
お兄ちゃんは首を振った。
「王女様の秘密は出来るだけ人に知られない方が良いに決まってる。譬え身内であってもね__いや、そうじゃないな」
お兄ちゃんが、ちょっとわたしには読みきれない、不思議な顔を見せた。
「多分、カスモ中将たちも君が本物だと思ってる筈だ」
「__」
「きっと、そう信じていると思う。仮に君が自分は偽者だと言った所で無理にでも違うと言い張るさ。と言うより、そう自分に言い聞かせるよ」
「どうして……」
わたしには全く理解できない。
「レジェナ」
お兄ちゃんの眼差しは怒っては居なかったが、如何にもわたしに言い聞かせようとする意思がこもっていた。