涙の真相、ドンデン返し 【22】
「どうして聞き分けてくれないんだい?」
「うるさい!」
「レジェナ__」
カッとなって怒鳴り返したわたしの顔を、お兄ちゃんはビックリしたような目で見ていた。わたしを、大人しくてお行儀の良い昔のレジェナだと思ったら大間違いだぞ。わたしは良い子は卒業したんだ。お兄ちゃんが居なくなってから、懸命に自分を磨いていったんだよ。
「レジェナ様」
マニがわたしを諌めるように声をかけた。お兄ちゃんみたいにエラそうではなかったが、今は気が立ってるんだ。
「なに?」
わたしの癇癪は慣れているマニは、いつものように余裕を持ってそれをいなした。
「レジェナ……」
暫く会わない間に、すっかりコマッタちゃんに成り果てたわたしの姿を、お兄ちゃんが困惑しながら見返していた。可愛いニコちゃんだった妹が、ガラの悪いお転婆に変貌してさぞや幻滅あそばしたでしょうね。
でも、わたしの心の傷はそんなモンじゃ済まないんだ。
お兄ちゃんだけじゃない、わたしを騙し続けた父さんや母さんも同罪だよ。
あれ、何だか調子が出てきたじゃない。いつものわたしに戻ってきつつあるみたい。いいね、いいね、サイコーじゃん!
「こうなったら、みんなにわたしが偽王女だって事バラしてやるから」
「レジェナ__」
お兄ちゃんはマニの存在を気にしてわたしを目で抑えようとしたが、お生憎様、マニには全部話しちゃったわよ。
「さっき、マニに話したらスッキリしちゃった。この調子でドンドン噂を広めていこう」
「何だって?」
お兄ちゃんがマニの方を、何と言うのか、表現の仕様も無い顔で見返した。マニは、またまた恭しく苦笑いを見せた。
「マニ殿__」
聞いてしまったのか、と言いたげなお兄ちゃんの表情に、わたしはザマー見ろな優越感を覚えていた。