涙の真相、ドンデン返し 【8】
「わたしたち、他人じゃないんだから」
「……」
部屋に着くと漸く二人っきりになれた喜びで、でも、はにかむような眼差しでお兄ちゃんを見詰めるわたし__。
「__お兄ちゃん」
幸せに胸が一杯のわたしを見詰めるお兄ちゃんの瞳は妙に切なく、私と目を合わせる事を意識的に避けているようだった。そればかりではなく、私にその事を無言で誇示しているようにさえ思えた。
お兄ちゃん……
どうして?
せっかく、こうして五年ぶりに逢えたって言うのに。
嬉しくないの、お兄ちゃん?
「お兄ちゃん__」
「御免__」
お兄ちゃんは顔を背けながら言った。
「疲れてるんだ、ここまで急いでやって来たものだから__」
あ、そうか。そうだよね。
お兄ちゃん、王家再興の為に一生懸命頑張って来たんだもんね。今も私の為に随分遠くからここ、カローブまで真っ直ぐに来てくれたんだもん、疲れてるのが当たり前だよね。
「一人にしてくれないか?」
「う、うん__」
わたしは、必死に笑顔を見せながら、後退るように部屋を出てドアを閉めると、溜息をつきながら一人、廊下でうな垂れていた。
「レジェナ様……」
わたしの事を心配して様子を身に来てくれたらしいミアキスが、気遣わしげに声を掛けてくれた。
わたしは、努めて明るい笑顔を作ってそんなミアキスに答えた。
「レジェナ様__」
だけど、ミアキスはますます心配そうに私を見つめるのだった。