涙の真相、ドンデン返し 【3】
凄まじい勢いで階段を駆け下りて玄関先に到着すると__
居た。
わたしは一瞬我が目を疑った。
しかし、それは決して幻ではなかった。
夢でもない。
「お兄ちゃん……」
わたしは思わず呟いた。
お兄ちゃん。
「お兄ちゃん!」
「レジェナ__」
わたしは、愛しい人を呼んだ。
「テリジノ、お兄ちゃん」
五年ぶりの再会。
十年以上、兄と呼んで慕ってきた、愛し続けたその人の名を口にしたのであった。
お兄ちゃん、わたしの顔を見て、ビックリしてる。
「お兄ちゃん!」
わたしは思わず駆け出して、人目も構わずテリジノお兄ちゃんに抱き付いたのであった。
「レ、レジェナ__」
何だか戸惑いながらお兄ちゃんは私の名を呼んだ。
「おお、これはこれは__」
傍で見ていたカスモさんが、どうにも困惑したような声を洩らした。しょうがないと言えばしょうがないけど、わたしの方もしょうがない。この、溢れんばかりの想いだけは誰にも止められないのだから。
わたしのこの姿を、サウロロフスの遺臣という人たちがどう言う気持ちで受け取るか、考えない訳ではないけれど、それはそれ、これはこれ。ここ数日のわたしを見るカスモさんたちの目に幾分のプレッシャーを感じてはいたものの、そんなモンに負けてちゃあ恋する乙女は務まらない。
騒ぎを聞きつけたのか、マニも姿を現した。
「久しぶりだね、お兄ちゃん__」
わたしは、自分の立場を意識しつつ、その上で何かを計算しているようで全く計算していないような気持ちのまま、テリジノお兄ちゃんに話し掛けた。