涙の真相、ドンデン返し 【2】
まだかなあ。
カスモさんからお兄ちゃんの居場所が判ったって聞いてからもう四日目ですよ。
部屋に戻って檻の中の熊みたいにウロウロ歩き回ってるわたしだった。
ああー、もう。
こうなったら自分で迎えに行こうかなあ。でも、そうなったら入れ違えになるかも知れないし、第一、どこ捜せばいいのかも判らないし。ここでこうして待ってる以外に無いんだね。
「ああー、もう__」
ベッドに体を投げ出して、為す事も無く数刻__と言っても、実際には何分も経ってないんだろうけど__が経過したその時__
階段を駆け上がってくる世話しない足音がわたしの部屋に向かって近付いてくると、やおら部屋のドアが忙しなくノックされた。
「レジェナ様、レジェナ様__」
ミアキスだ。
この慌てよう、まさか。
わたしは、弾かれたように身を起こすと、すぐさまドアを開け、ミアキスの目の前に姿を顕した。
「レジェナ様」
「なに、ミアキス」
がっついて見苦しいところを見せたくないので、わざと落ち着いて返事を返した。
「き、来ました__」
一瞬心臓がビクン、と跳ねた。
しかし、飽くまで冷静に、さあらぬ体でわたしは答えた。
「何が?」
「い、いらしたんですよ、レジェナ様」
やっぱり。
きっとそうだ。
ここまで期待させといて、実はつまんないオチでも着けようものなら、多分わたしはこの場で狂乱するだろう。
「だから、誰が?」
「だ、だから__」
ミアキスは急きたてるように、しかし、言葉に詰まって息を呑んだ。
ああん、早く言ってよ。
こっちは今にも駆け出しそうなほど気が逸ってるんだから。
「来たんです」
だから、誰が。
判ってるけど。
早くしろー!
「お兄様が__」
ミアキスの言葉と同時にわたしは稲妻のような身ごなしで駆け出し、最大速度で階段を駆け下りていった。