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涙の真相、ドンデン返し 【1】

わたしはここ数日、ソワソワと落ち着かない日々の連続であった。



「レジェナ様ったら__」

「アハ、あははははははは__」

温かく見守るようなミアキスの苦笑いに、わたしも思いっきり、弾けるような愛想笑いで応じた。


「いやあ、何と申しましょうか」

わたしの姿が、余程異様だったのか、カスモさんが何とも言えないような笑顔でこっちを窺っている。わたしは反射的に、何かしなくちゃと全然無意味な義務感に、衝動的に捕らわれたのであった。


「いやあ、どうもどうも」

ハイになっている私は、カスモさんに、もしかしたら脅迫的ではなかったかと後で悩んでしまうほど威力の有る愛想笑いを向けた。


「カスモさんたちにはホント、お世話ばっかり掛けちゃいまして」

「レジェナ様、そのような__」

なにやら引いたような佇まいで、カスモさんが答えた。

「いいえ、感謝しております」


今一度、カスモさんに頭を下げたわたしは殆どスキップに近い足取りで廊下を進んでいた。



「いよ、元気イ?」

廊下で擦れ違ったマニとスピノに、わたしは威勢良く声を掛けた。マニは理解の有る苦笑いで、スピノはあからさまに不信を表に出した顔でわたしを見返した。


「何だい、あれ?」

わたしの後ろで、スピノが言った。


「いいのかよ、マニ」

いいって何が?


「あの、レジェナ様の浮かれよう」

男どもが何かを相談しているようだが、しかし、わたしにはどうでもいい事よ。スピノの質問に、マニは何も言わなかったが、恐らくいつもの太平楽なニヤケ面で応じているのであろう。

しかし、何だわねえ、マニのほうは兎も角、スピノから見れば恋敵の筈だのに、いやに仲良く駄弁ってますよ。

ま、良いか。仲良き事は美しき哉、恋敵と書いて“とも“と読む、これぞまさしく素晴らしき男の友情だわよ。



それはいいんだけど。

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