鳴かぬなら、ジッとガマンの女の子 【19】
「だあってえ……」
お姉さん代わりのミアキスに言われると、利かん気な腕白坊やのスピノも弱いらしく、渋い顔でこっちを振り向いた。
「親父もおじさんも、レジェナ様が王家再興の為にうちに来たと思ってんじゃ無いか」
それを言われると弱い。
「それがさ、肝心の王女様がこれじゃあ、みんな折角頑張ってんのに気の毒だよ」
「う……」
確かに。
「スピノ!」
ミアキスがピシャリと一喝すると、スピノが肩を竦めて押し黙った。
「それにあなた、自分で王家再興なんて無理だって言ってたじゃない」
「そりゃそうだよ、でも」
内心はそうだそうだ、とミアキスに調子を合わせながら、流石に口に出しては言う事が出来ない。
「親父たち、レジェナ様を信じてんだぜ。御家再興なんて言ったって、今まで宛ても無いのに色々活動しててさ、全然目処も立たないんで親父たちだって、正直無理なんじゃないかって弱音吐いたりする事も有ったけど、それでもみんな挫けずにここまで我慢してきたんだ」
「……」
「そこへ王女様がご来訪下されたってんでみんな、最近ホントに嬉しそうに活き活きしてんのに、これじゃ馬鹿みたいじゃないか」
それを言われると……。
「あのね、スピノ」
腰に手を当てて、ミアキスがスピノに厳しい顔を向けた。
「愛しいお兄様の事を想って、うちを飛び出したレジェナ様の気持ちが判らないの?」
愛しいって、アンタ、そんな露骨な……まあ、そりゃ否定はしないけどさ。
「そんな理由で……」
「スピノ!」
「違う、違うんだ__」