鳴かぬなら、ジッとガマンの女の子 【17】
「ホントの所、わたしもアンマリ乗り気じゃ無い訳なのよね」
「へえ__」
思わず本音を口にしたわたしに、スピノがニヤリと優越感に満ちた笑みを見せた。
「いいのかなあ、肝心の王女様がそんな事言って」
何よ、アンタ。
「親父たちに言ってやろっかなあ。実は王女様ご自身が御家再興にアンマリ乗り気じゃないって」
「アンタねえ__」
冗談とは判ってはいるが、一言言わずにはおれない私だった。
「自分で振っといて何よ、その言い草は。第一生意気よ」
「だって、レジェナ様だったじゃないか、あんまり王女様扱いしないでって言ったのは」
「王女だとか何だとか以前に、目上の人間に対する礼儀がなっとらん!」
そんな私たちを見ながら、ミアキスがクスクス笑っていた。
「あ、ゴメンなさい」
「いいよ、いいよ、ミアキスが悪いんじゃない」
わたしはスピノの首っ玉をむんずと掴んで言ってやった。
「元はと言えばこのアホが悪い」
「何だよお、意味わかんねえよ」
「年長者に対する礼儀を弁えん奴は兎も角全部悪い!」
わたしも一応剣術なんて習ってた訳だし、礼儀作法ってモンに関してはうるさい方だ。いや、ナニ、何でもかんでも一々畏まれって言ってる訳じゃあないけどさ、まあ、そんなにお行儀の悪い方ではない。あんまり態度の悪い小僧にはちょっとばかりカチンと来るわよ。与太者が人目を憚らずこれ見よがしにツッパって、礼儀を蔑ろにしているのを見たら頭に来る方ではある。