旅は道連れ、世は情け無エ…… 【18】
「でええ__!」
男の一人がマニに斬り掛かった。マニは錫杖を突き出して防いだ。だが、それは目くらましで、別の一人が私を狙って凶悪な形相を突き出して、物騒な人斬り包丁を振りかぶって襲い掛かってきた。
「来るか、三下!」
わたしは威勢のいい啖呵で悪党どもに応じた。掛かってきなさい、狼藉者!
私を只の美少女だと思ったら大間違いだ。別に大して珍しくも無いかも知れないが、わたしだって行動派をもって看板とする冒険ファンタジック・ヒロインなんだぜ。腕に自慢のお転婆プリンセスってのも黄金パターンの一つ、私に相応しい“王道”だ。生兵法でノリまくり、世の中舐めてかかってるイマドキの女の子を甘く見るなよ!斬った張ったのチャンバラくらい、願ってもない見せ場だわ!
相手が体勢を整える前に自分から踏み込んでこっちから打って出た。先手必勝、このわたしの見目麗しい外見に騙されて、舐めて掛かったら後悔するよ!
私の反撃が予想外だったのか、打ち下ろさんとしていた剣で防いだならず者の、ビックリしたような顔が鍔迫り合いを通して見えた。剣の腕前は兎も角、身長体重ともに相手を大幅に下回るわたしでは力勝負の鍔迫り合いの不利は明白、すぐに離れて剣を構えなおした。如何に技術が有るって言ったって現実には腕力の差は大きいし、相手は多勢、こっちは無勢、足を止めている訳には行かないのだ。
見る間に三人、私を取り囲むように殺到してきた。気後れしない為の自己暗示でもあったのだが、その場の勢いで景気のいい大見得切ったこの私、ハッキリ言ってピンチです。