旅は道連れ、世は情け無エ…… 【14】
一応当座の分位は食い扶持を確保した私たちは森を後にして旅を続けた。別に宛てが有る訳じゃないけどね。わたしたち(殆どわたし一人)の腹を満たしたウサギの毛皮は日に干して、マニが懐に仕舞ってある。毛皮屋に売れば幾ばくかの値は着くであろう。その命を我々に提供してくれた尊い犠牲である。最後の最後まで有効に活用せねば罰が当たろうというものであった。
尤も、全部マニがやったんだけどね。
「レジェナ様は、確か兄君を捜して旅をなさっている訳ですな」
そうだよ、その通り。
ねえ、もしかしたら、ヤッパリ気になる?
「それで、兄君の所在の心当たりなどは?」
「判んない__」
私は素っ気なく答えた。それが判ったらこんなに苦労しやしないわよ。
「それでは闇雲にそこらを捜し歩いている訳ですか?」
ムカー、何、それ?
それじゃあたしがまるで何にも考えずに意味も無くほっつき歩いてるだけみたいじゃない。
否、事実その通り、認めない訳にはいかないけどさ、だからってそれを一々論ってわたしをコケにするとは、女の子に対して余りと言えば余りに失礼じゃないか。
私はキッとなってマニを睨み付けた。マニは両手を上げて、まあまあ抑えて、と言うジェスチャーを見せた。
「それじゃ、あんたに何か考えでもあんの!?」
「わたくしは事情も地理も、兄君のお知り合いも、何も存じ上げませんので大した事は言えませんが……」
大した事無いんだったら言うなよ。
「確か、兄君も剣術の修行の傍ら、若き活動家として旧サウロロフス家臣団の御歴々を尋ねて回ってらっしゃるそうですが」
そうだよ。
「ならば、そう言った、レジェナ様から見れば家来筋に当たられる方々を頼って、兄君の消息を尋ねられた方が手っ取り早いのではないかと__」
マニの提案はあたしの心を重くした。
あんた、私がそのくらい思いつかなかったとでも思ってるの?
考えたわよ、わたしだって。