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旅は道連れ、世は情け無エ…… 【13】

暫くして丁度魚が食べごろになったのを見計らったように、マニが戻って来た。よく利く鼻だのう。無論、服は着ていたが水で濡れた体に直接着たらしくかなり湿っていた。どうやら焚き火で乾かすつもりらしい。頑丈なコイツなら風邪ひく心配も無いのだろうな。


「お心遣い、痛み入ります」


そうやって小さな事にも律儀に礼を返すマニはやっぱり好感度の高い好青年である。聖職者の心掛けでもあるだろうし。


私はお上品に魚の身だけを戴いたのに対し、マニはいつもの通り、頭からの丸齧り。大口開けてがっつく訳ではないけれど、小魚でもない川魚を頭から平気で食いつき、骨まで丁寧に、優雅に咀嚼して飲み下すその顎の強さには呆れると言うか、感心させられる。一つには、我が身を犠牲にしてくれた生き物に対する感謝の念を現す精神的な儀礼でも有るだろうが、矢張り、こやつが常々言っていた“小動物丸呑み栄養学”に基く食餌法でも有ろう。この巨体を維持するには僅かな食い残しも許されないと言う訳じゃ。



「そろそろ暖かくなって参りましたし、レジェナ様も如何です?」


食事の後でマニが私に水浴びを奨めてくれた。このマイペース男は乙女の恥じらいと言うものを無視してそう言う事を平然と口にするのだが、本人に悪気は無いのだろう。何せ修行を積んだ行者だけに、その手の下心は抱いていない筈だから。尤も、本音は分からないけどね。もしかして、相手の警戒を緩める為の芝居かも知れない。


それはそれとして、そうだね、出来たらさっぱりしたいし。身を清めるのも悪くない。清潔は女の子の身嗜みよ。


多分そんな事は無いだろうとは思いつつ、マニの奴が覗いていないかを確認した私はやや気の引ける思いで着ている物を脱ぎ始めた。その間も、誰か、具体的にはマニがどっかから覗き見してるんじゃ無いかと気が気でない。ま、少しくらいだったら見せたげても良いか。何せこっちは、いっつもエーもん見せて貰うてますからなあ、あははははは。それに、あたしもスタイルには自信が有るし。


え、そんな問題じゃない?

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