3,勇者の従者
ついに従者が登場です!
「おーい。」
「あっ、ウィル。終わったの?」
「あぁ。」
「早かったわね。」
今回使った魔法について話した。すると、イリスは驚いていた。
「そんな広範囲で魔法使って、大丈夫だったの?魔力量とか、建物とか。」
「大丈夫、大丈夫。俺の魔力量まだまだ余裕あるし、建物は、ちゃんと建物の外にいるやつらだけ仕留めたし。」
「そうだった。ウィルって、魔力量化け物だった。」
「化け物って何だよ!?」
「聞いたそのままの意味よ。」
「何だと!」
「何か、間違ってるかしら?」
「まぁまぁ。」
ドベキアが止めに入って、言い合いが終わった。
「この町、今から復興するのか?」
「ええ、そうなりますね。」
「これだけでか?」
この町は魔族によって占拠されていたため、住人がかなり減ってしまっているのだ。理由は殺されてしまった人たちや、他の町へ逃げた人たちがいるため。
「俺たちも手伝わねぇ?」
「そうしたいのは、山々なんですが。そうすると本来の目的に遅れてしまいますよ?」
「でもこんだけでするのは無理だろ。」
「あたしもそれでいいと思うよ?」
イリスもそうしたいと言ってきた。その影に隠れてソニアもコクンと頷く。
「そうですね。私としても心苦しいですしね。」
「じゃあ、決まりだな。と、言っても本来の目的が遅れるのも次の町が大変だったりするんだろ?」
「はい。次の町も占拠されてますしね。」
「一週間だけ手伝って移動するか。」
「そうですね。それが妥当でしょう。」
「分かったわ。」
ソニアもコクンと頷いて了承の意をしめす。
「じゃあ、一週間全力で手伝うぞ!」
『オー!』
そして、3日目。
ソニアは、負傷した人の治癒。イリスは、得意な魔法を使って、町の周りの森で狩りの手伝いをしていた。
俺とドベキアの二人は専ら力仕事だ。イリスとソニアの二人は力仕事をするのがキツかったようで違う仕事に回ったらしい。
4人とも真面目に復興の手伝いをしていため、それを狙ってやった訳じゃ無いが、この町の勇者パーティーの株はぐんぐん上昇していた。
そして、今日もドベキアとともに仕事をするために向かっている時のことだった。
「なんだ?」
ふいに、森に何かを感じた。どうしてかわからないけど、森にいかなければならないと思った。
「ドベキア。」
「何ですか?」
「ちょっと森に行ってくる。」
「どうしてですか?」
「分からないけど、いかなければならないと思ったんだ。」
「はぁ。分かりました。今日の仕事場の人にも伝えときます。」
「ありがとう。じゃあ行ってくる。」
《我が望みは、己が身体能力の向上也。土の精霊よ、我が望みに応じ、顕現せよ。身体強化!》
俺は、自身に身体強化をかけ森へと走った。
俺の耳に声が聞こえてきたのは、走り始めて5分はまだたっていない頃だった。
「誰か、誰か、助けてー!」
まだ幼い男の子のような声だった。俺は、急いでその声の元へと向かう。
「うわぁあああ!」
やはり男の子の声だった。魔獣に襲われていた。魔獣五体ほどが男の子に群がっていた。あれは、狼、かな?
俺は、即座にその魔獣達を切り捨てる。
「おい、大丈夫か?」
「はい。ありがとうございます。」
男の子は金髪に、青い目で、なんかキリッとした印象を受ける10歳ぐらいの子だった。
その男の子に近づくと、なにやら聖剣が光りだした。なんだろう。
「わぁー。その剣、かっこいいですね。」
「あっ、あぁ。まあな。」
「触ってみてもいいですか?」
「触れないと思うぞ?」
「いいんですか?」
なんか、俺が言ったことスルーされた気がする。まぁ、触ってみれば分かるだろう。こんな子供が従者だとは、思えないし。
「!」
なんか普通に触れてるんだけど。この子が従者なのか?触れているからそうなんだな。
「なぜ、こんなところに?森に子供が一人とか危ないだろう。」
「それは、」
「どうした?」
なんか男の子が泣き出した。どうしたというのか。必死に男の子をあやした。
「で、どうしてか話せるか?」
「はい。取り乱してすいませんでした。」
「別にいいよ。」
「えっと、僕の名前はルクスです。普通の農家の四男として生まれました。」
「それで?」
「この間、うちの村で飢饉があって。口減らしで捨てられました。」
「そういうことか。」
自分の両親に捨てられたら、泣きたくもなるわな。
「俺たちと来るか?」
「へ?」
「お前、さっき俺の剣に触れただろう。」
「はい。」
「この剣はただの剣じゃない。聖剣なんだ。」
「は?なにをいっているのですか?」
ルクスは、俺の言葉が理解出来ていないようだ。
「聖書は、読んだことあるな?」
「まぁ、少しだけ。」
「ルクス、お前は勇者の従者だ。」
「えっ、えー!」
そんな、僕が?信じられない。そんな表情が顔に出ている。俺が勇者に選ばれたときもこんな表情してたんだろうな。
「で、勇者は俺だ。」
自分で言うのもどうかと思うが。
「え、本当に?」
「あぁ。どうする?俺と来るか?」
「はい!どこまででもついていかせてください!」
こうして、俺は従者を得たのだった。
さて、どうやってこいつを鍛えようか。
読んでくださりありがとうございます♪