1,自己紹介
第二章です。今後とも読んでくださると嬉しいです。
「はぁ、ガーベラとマルスに会いたい・・・」
つい、本音が漏れてしまう。だって、もう半年以上会えてないんだぞ。
「誰よ?」
そう尋ねて来るのは、イリス。俺のパーティーメンバーだ。ピンクの長い髪の毛をポニーテールにして、水色の目の少し気の強そうな女の子だ。同い年か、少し上ぐらいかな?
「ん?うちの嫁と息子。」
「結婚してんの!?」
「いってなかったか?」
「言ってないわよ!」
見た目の通り、気が強い女の子のようだ。
「まぁまぁ、落ち着いて下さいよ。でも、パーティーメンバーなのに私達お互いにあまり知りませんね。自己紹介でもしますか?」
この男はドベキア。紺の髪に濃い緑色の目をした冷静を全身で表しているような男だ。
「まっ、まぁ、ドベキアがそう言うなら。」
こいつら、どういう関係だ?まぁ、いいか。後で分かるだろう。
「あぁ、いいな。やろうか。」
「じゃあ、勇者様からで良いんじゃない?」
・・・勇者様。初めて言われたわ。
「ハイハイ。じゃあ、俺からな。えーと、俺の名前は、ウィル。一応勇者に選ばれた。二十二歳の妻子持ちの農民だ。剣術は、騎士団長に習って、この間倒した。」
『倒した!?』
なんか皆、驚いてる。ドベキアまでもが、目を見開き驚いている。そりゃ、そうか。この国のトップに立つ奴を倒したのだからな。
「魔法は習っていないから自信は無いが、魔力量は多いらしいな。」
「多いってどれくらいよ。」
「えーと、確か一万だったはずだな。」
『一万!?』
「嘘でしょ!?普通なら多くても二千くらいのはずよ。」
「あー。そんなことも言ってたなぁ。」
「軽いわね。えっと、適性属性は?」
「えっとー、確かー。あっ、闇以外全部だったはず。」
『闇以外全部!?』
みんな、すごい驚いてるな。俺も最初はこうだったなぁ。自分のことだし、慣れたけど。
「これ以上言うことないなぁ。あっ、俺のことはウィルって呼んでくれ。勇者様っていう柄じゃねえし。」
「分かったわ。」
「分かりました。」
もう一人の女の子は、何も言わずコクンと頷いた。
「じゃあ、次は私ね。あたしの名前は、イリス。冒険者ギルドから派遣された魔術師よ。適性属性は、火と風。火は上級まで使えて、風の方は中級まで使えるわ。ちなみに平民よ。よろしくー。」
イリスは、軽い感じで自己紹介を終わらせる。
「じゃあ、次は私ですね。私の名前はドベキアです。騎士団長に推薦された近衛騎士です。」
「近衛騎士って?」
「国王の護衛などをする騎士のことですね。」
「へぇー。よくあの国王が行くことを許可したな。」
「それは、騎士団長が押しきってました。私は近衛騎士の実力者の中でもただ一人の平民だったので。」
ドゥルガー、そんなことしてくれたのか。今度会ったらお礼を言っとこう。
「でも、このパーティーに入ることが出来て良かったです。」
「ん?何でだ?」
「イリスも、いますしね。」
まさか、お前ら。
「やっぱ、お前らそんな関係?」
「はい。イリスは私のかわいい恋人ですよ。」
イリスが顔を真っ赤にしてドベキアのことを叩いてる。どう見ても照れ隠しだな。
「じゃあ、次、僕。」
おっ、次の女の子だ。僕っ娘か。ソニアって子だったはず。金髪に薄い黄緑の目をした、ちょっとおっとりしてそうな女の子だ。
「僕はソニア。回復役。平民。よろしく。」
そんだけ!?短っか!
「もうちょっと教えてよ。」
イリスも同じことを思ったらしい。
「じゃあ、僕、元貴族。父様が嵌められた。半年前に平民になった。この間、父様、処刑されてた。」
『・・・』
重っ!重いよー。いきなりの重い話に俺も、イリスも、ドベキアも苦い顔をしてるよー。
「・・・よろしく。」
『あぁ。』
そんなこんなで、俺たちの自己紹介は終わった。最後が重いわ。