4,鍛練
次の日、一日使って魔法の使い方を覚えた。大体の基本的な魔法は使えるようになった。
どうやら、俺には才能があるらしい。魔力量も高いしな。これからちょこちょこ覚えていこうとおもう。もちろん、手紙を送る魔法もな。
てな訳で、ガーベラに手紙をおくった、と言いたいところだが、そんな暇がなかった。暇ができたら送ろうと思う。
そして、さらに次の日。ついに、騎士団の訓練所に来た。どうやら、騎士団長が出迎えてくれたよう。
「この少年が勇者かな?」
騎士団長は、俺の隣にいる神父に尋ねたが、俺が教わる訳だから俺が答えねぇといかねぇだろと、先に俺が答えることにする。
「はい。俺が勇者になってしまった、ウィルです。よろしくお願いします。」
横にいる神父が、なってしまったと言うところに眉を潜めているが自分たちがいつも思っていることだから何も言えなかったのだろう。農民が選ばれてしまった、と。そして、神父は頭だけ下げて去っていった。
「がっはっはっ。私は、この国の騎士団長をしているドゥルガーだ。」
ドゥルガーはとても豪快な人物だった。強面だけどいい人だった。農民だからと見下したりしないし。まさに、親父って感じの人だった。今度相談に乗ってもらおうかな?
「気に入った!」
「は?いきなりどうした?」
いっけね。つい、素で返しちゃったよ。
「勇者に選ばれたことに驕りもせず、礼儀正しいからな。私はそんなウィルをすっかり気に入った。」
「へ?そんだけですか?」
「そんだけとは、何だ?そんだけとは。最近の若者たちはな、騎士団の入団テストで受かったからと驕って鍛練も手抜きするんだぞ。しかも、先輩に対する礼儀がなっとらん。」
「はぁ。」
「まぁ、そんな訳でこの私が全力で君をしごいてやろう。」
「お願いします。」
「そういえば、君に守りたいものがあるか?いや、ないと魔王討伐に動いたりしないよな。変なことを聞いた。」
「いますよ。つっ、妻と息子が。」
「けっ、リア充が。」
どうやら、ドゥルガーにはお相手がいないらしい。頑張れ。
それから鍛練の日々は、地獄だった。騎士団の人たちも最初は蔑んだ目で見てたけど最後の方は憐れんだような目と尊敬したような目で見る人たちがいた。
俺は、早く帰るために全力で頑張った。たった半年でドゥルガーに勝つことができた。意外と俺には剣術があっているのかもしれない。
鍛練が終わると時々ドゥルガーを誘って酒を飲みながら、愚痴をこぼしたりした。スッキリした。ドゥルガーも平民らしい。平民のクセに騎士団長か、とかたまに影で言われてるらしいから、わかってくれた。ガーベラの話をしたら妬まれたけど。
ドゥルガーに勝ったら勇者としての旅が始まる。勇者としての旅が終わったら騎士団に入るようドゥルガーに誘われたが断った。俺にはガーベラがいるからな、と言ったらいまだに独り身のドゥルガーに恨みがましい目で睨まれた。はっはっはー。
ドゥルガーに勝つことができたため、旅立ちの準備が始まった。
そして、半月後。
ついに出発となった。さすがに一人ではない。あと三人いる。ドゥルガーが推薦した騎士のドベキア、ギルドが推薦した魔術師のイリス、同じくギルドが推薦した回復役のソニアだ。
このパーティーで魔王討伐をすることになる。よし。俺も頑張るぞー。この世界にいるガーベラとマルスを守るために。
「さぁ、行こう。魔王討伐に!」
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