第十七話:明日に備えて
はい、燃え尽きてました。今週から更新再開します!
〜前回のあらすじ〜
森の奥から女の子の悲鳴がしたような……?
そうして向かった先でレスト達はゴリラのような魔物に襲われたが、二人と一匹のチームワークでなんとか返り討ちにすることができた。
そうして一息つくレスト達の現れたのは怯えた様子のエルフの女の子。
どうやら悲鳴の主はその子だったようで、レスト達はその子を一旦保護することにしたのだった。
「すー……すー……」
「ぐっすり眠って……よほど疲れてたんでしょうね」
「無理もないさ。こんなだだっ広い森で独りっきり、おまけにあのゴリラだ。俺がもしもこの子と同じ立場だったら……なんて、考えたくもない」
結局のところ女の子は泣き止んだは良いものの、そのまますぐに眠ってしまった。
森の中にずっといるのも危険だろうから、とりあえずゴリラ二体を魔法袋に回収して、森の外へと向かうことにした。
もちろん女の子を放置する訳にはいかないので、イコナがおんぶして運んでいる。
可愛い寝息をたてながら、イコナの背中で気持ち良さそうに眠る姿は、小さい子らしい愛らしさを感じさせてくれる。
「……そうですよね。見たところ、この子は十歳……いえ、それよりも幼いように見えますし。そういえば私もこの子くらいの時は、何度もおじいちゃんに泣きついて助けてもらってましたっけ」
苦笑いを浮かべながらも、どこか懐かしむようにイコナは語った。
……イコナには悪いけど、その姿を簡単に想像できてしまった。
どうせ、そこら辺の魔物にちょっかいかけて追い回されたとか、好奇心の赴くままに走り回ってたら迷子になったとか、そんなとこだろう。
あれ? 今と大して変わらなくないか?
ということはイコナの精神年齢は子どものまま……いや、深くは考えないでおこう。
「お嬢、水を差すようで悪いんやけど、その女の子がお嬢よりも年下とは限りまへんで?」
「えっ? でもこの子は見た感じ、私よりも年下に見えますよ?」
「俺もそう見えるぞ? どう見ても小さい女の子じゃないか、ライム」
「なんや、坊主も知らなんだんか」
頭の上でライムがじれったそうにプルプルと震え始めた。
実はちょっと気持ち良かったりするので、もっとして欲しいところでもある。
「エルフ族っちゅうんわな? 竜族ほどやないけど、魔族の中でもかな〜り長命な種族なんや。その影響かは知らんけど、肉体的にも精神的にも成長が遅いんや」
「ってことは、もしかしたらこの子は見た目は小さな少女でも、俺達より長生きしてるかもしれないってことか?」
「せや。まあ実際どんくらい成長が遅いんかとかまでは、ワイも詳しゅうないからわからんけど、もしかしたらその子が二十歳とかもあり得るってこっちゃ」
「そ、そんな……それじゃあ私、失礼なことしちゃってたかもしれないってことですか?」
今更それを言うか。
それを言うならイコナの地竜王のロンに対しての態度が失礼に値するって言われてもおかしくなかったって事も気にして欲しい。
もう遅いし別にロンは気にしてなかったみたいだから、まあ良いっちゃ良いんだけど。
「まあ可能性があるってだけやから、そこまで気にせんでええと思うで。さっきの感じからして、その女の子は見た目通りの歳っぽいしなぁ」
「よ、良かったぁ……」
ホッと胸を撫で下ろした後、イコナは自分の背中で、すやすや眠っている女の子を横目に見ながら、微笑んだ。
「この子をゆっくり寝かせてあげたいですし、なるべく早く森を抜けましょう!」
「そうだな。あ〜でも急ぐのは良いけどあんまり走ると起きちゃうかもしれないぞ?」
「そこは任せてください。なんとかしますので!」
自信に満ちた表情……なのは良いけど空回りしないようにして欲しいな。
♢♢♢
その後、レスト達はマナフォレストへと進入した場所の付近にまで無事に戻り、魔物の皮や骨で作った簡素な野営用テントを建て終えた。
そのまま、イコナは女の子を寝袋に寝かせてお守りを、ライムは森から魔物が来ないかの監視を、レストは森で集めた食材で晩ご飯を作り始めた。
そうして、辺り一帯が夜の帳に包まれ始めた頃……
「……よし。我ながら、なかなか美味いじゃないか。イコナはいつもの如く食べてくれるだろうけど、あの女の子の口にあうかな? なかなか美味いとはいえ、有り合わせで作ったに過ぎないからなぁ」
そういえば、まだあの子のこと何も知らないんだよな。
外を歩き回るにしては、煌びやかな服装だったし。王都で見た神官の服……とは違うけど、なんか神聖さを感じるというかそんな雰囲気だったし……。
「ふぁ……良い匂いがします〜」
「お、ちょうど良いところに。そろそろあの子を起こしてやってくれないか?」
……って、眠そうだな。さてはテントの中で一緒に寝てたな?
「了解です! あっそうだ。レストさん、例のゴリラは……」
イコナは俺に期待の眼差しを向けてきた。
だがしかし、その期待は裏切らせてもらう。
「使わないって言っただろ。ゴリラなんか食えるか」
「え〜あんなに引き締まった肉体だったんですし、絶対食べ応えあると思うんですけど」
「そういう問題じゃなくてだな……とにかく、ゴリラは料理しない。その代わり美味い飯を作ったからそれで我慢してくれ」
「う〜ん、ちょっと残念ですけど……美味しい料理が食べれるならゴリラは我慢します! では、あの子を起こしてきますね〜」
ルンルンとステップしながら、イコナはテントへと戻って行った。
……イコナは別として、あんなか弱い女の子にゴリラなんか食わせれるかってんだ。
それはそれとして、あの子が俺の料理を気に入ってくれると良いんだけど、まあダメだった時のために食べられそうな果物はそのまま残しておいたし、なんとかなるだろ。
さて、準備をして二人を待つとするかな。




