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人と竜の成長譚 〜ポンコツかわいい竜娘に今日も翻弄されています〜  作者: 蒼遊海
第二章 風の国ボスコヴェント編
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第十六話:迷いの森で出会うのは

「うおおお!! なんでこんな目に合わなきゃならないんだぁ!!」


「まあワイらの魔力目当てやろなぁ。人族の領域の魔物がどうかは知らへんけど、魔族領域(こっち)の奴らは、相手が自分より弱いと思うたらガンガン襲ってくるからなぁ」


「お前はなんでそんなに落ち着いてるんだ!?」

「今言うたやろ? こっちの魔物は自分より弱いと感じた魔力持ち相手にはガンガン行くって。つまり……そういうことや……」


 ……ああなるほど。そういえば初めて会った時もヴォルに追われてたっけ。つまりライムはこういう事態に慣れてるってわけだ。


「それはそれとして、気張って走れや〜坊主が捕まったらワイもヤバいんやで〜」

「わかってるよ! 俺だってあんなのに食われるのはゴメンだ!」


 ライムは俺の上に乗っかったまま余裕を見せてるけど、逃げてる俺は気が気じゃ無いんだぞ!?


 まったく、なんなんだよホントに……あの全身緑色の毛に包まれたデカいゴリラは……


 二本の腕と足で四足歩行しながら、もう一本ずつ両肩から生えてる腕で邪魔な枝やツタを退けながら追っかけてきてるんだもんな……。

 腕四本って脳筋な見た目してるクセに器用な力業しやがって。


 こっちは倒木やら、地面に這ってるツタなんかを避けるのに苦労しながら走ってるってのに!


「というか、魔物が襲って来るっていうのがわかってたんなら尚のこと森の奥に行かないほうが良かったよな!?」


「あ〜聞こえへん、聞こえへん。それにな、ワイかて他のやつに追いかけ回されるのはゴメンなんやで!? まして、あんな筋肉ゴリラ……って坊主! 追いつかれる! 追いつかれるで!!」


「なっ!?」

「ウッキャアアア!!」


 ライムの言葉にレストが思わず振り返ると、レストよりも二回りは大きく見える四つ腕ゴリラが牙を見せながら咆哮した。


 走ってる間にもレスト達の距離はいつの間にか縮まっていたらしく、もう既にゴリラが腕を伸ばせば捕まってしまいそうな程の距離だった。


「坊主! 前向いて走れ!!」

「えっ!? わ、わかった!」


 レストがライムに言われるまま、前を向くとほぼ同時にライムはレストの頭からゴリラへと向けて飛び降りつつ叫んだ。


「お嬢直伝、フラッシュ!」

「ウギっ!? ウギャアアア!!」


 ライムから強烈な閃光が放たれ、その光を直視した四つ腕ゴリラは眼を抑えて悶え苦しみ始めた。


「背中越しでも眩しいと思うほどの光って、とんでもないな……」

「ハッ、ワイのことを見直したんなら、もっと丁重に扱うんやな」


 見下ろしているレストに向けて、ライムは大きく踏ん反り返っていた。


「多少は考えとくよ。というかゴリラに向けて飛び降りるなんて、無茶しやがって」


「こうでもせんと振りきれんとは思うとったからな。それより、早いとこ離れるで。あの脳筋ゴリラがいつ復活するかわからんからな」


 そう言うと、ライムはレストの頭の上に飛び乗った。


「了解。んじゃ、とっとと逃げるか」


 目が見えなくなりジタバタしている四つ腕ゴリラを尻目にレストは再度走り始めた。


 ♢♢♢


「……ふぅ、死ぬかと思った……とりあえず離れはしたし……ちょっと休憩……」


 とはいっても、悠長に座ったりなんかはできないから立ったまま息を整える程度だけど……。


「離れたいうてもあのゴリラ、図体デカイからか知らへんけど、足早かったからなぁ。まだ安心できる距離やあらへんで」


「わかってるよ。でも、あんなに強い光を食らったんだからしばらくは動かないだろ?」

「わかっとらんなぁ。その油断が命取りなんやで? まあお嬢のほうにもワイらが襲われたって連絡入れといたからすぐ来てくれるとは思うけども」


 いくらあのイコナといえど、ライムの分体の案内があるから迷うなんてことは無いだろうし、イコナがいてくれればあのゴリラも一捻りだろう。

 迷わず来てくれればの話だけど。


 ……ちょっと不安になってきた。


「そういや結局のところ、坊主が聞いたっちゅう声の主っぽいのは見当たらなんだなぁ」

「やっぱり俺の気のせいだったのかもしれないな」


 まさかあのゴリラの声を聞き間違えたなんて事は無いと信じたい。


「……そうとも限らんで」

「……? なんだよ、そのいかにもって口振りは?」


「考えてもみぃ。声が聞こえたはずの方に行ったら、あの四つ腕の緑ゴリラがおったんやで?」


「ああ、だから不用意に行かないほうが良かったよなってーー 


 ライムが俺の顔を触手でペシっと叩いてきた。


「アホんだら。確かにそうやもしれへんけど、もっと重大なことがあるやろ?」


「重大なこと?」


 俺がキョトンとしていると、ライムは「はぁ〜」と深いため息をついた。


 ……ぐぅ。悔しいけど今は我慢だ。


「ええか? 要するにや。あのゴリラに例の女の子が襲われとったかもしれんっちゅう事や」


「……そういうことか。俺が聞いた泣き声の正体は、女の子があのゴリラに襲われていて、その時にあげた悲鳴だったかもしれない……だろ?」


「せや。もしかしたら、襲われてるところにワイらが現れて、あのゴリラがワイらに目標を変えたって可能性もある。坊主はその豊富な魔力の影響で、魔物からしたら極上のご馳走が歩いてるようなもんやからなぁ」


「魔物にとってのご馳走なんてまっぴらゴメンだけどな」


 俺がもっと強ければこんな目に合わなくて済んでたのかと思うと、なんとも言えない気持ちになる。


 ……当面の目標は魔物のエサ扱いから抜け出すことかな。


「まあ、安心せい。ワイから言わしてもらえば、坊主の魔力は量だけは凄いけど、いろんなのがごちゃ混ぜになっとってマズい事この上ないからなぁ」


「何に安心しろっていうんだよ!? というか俺だって好きでマズくなってるわけじゃないんだぞ! ……いや待て、もしかして俺の魔力も吸ってたのか?」


「興味本位で吸ったワイが馬鹿やったで……」

「露骨に落ち込むのやめろ!? 俺が悪かったみたいになるだろうが!」


 勝手に吸われたあげくマズかったって言われるのは気に食わないな。

 美味かったって言われても困るけど!


「その様子やとまだまだ元気みたいやな。とは言ってもあのゴリラがおるとなると、ワイらだけじゃ女の子を助けるのはキッツイやろしなぁ。とりあえずお嬢と合流しよか」


「……わかったよ。で? イコナはどこにいるんだ?」

「ちょい待ち……あっちの方から来とるっぽいで」


「んじゃ行くか」


 レストがライムを頭に乗せて、イコナがいる方に走ろうとしたその時だった。


 ドスン!!


「ウッギイィィ」

「な、なんだ!?」


 レストの目の前に四つ腕ゴリラが降ってきた。さっきまで追いかけられていたゴリラとよく似ていたが、木の上から降ってきたであろうそのゴリラは緑ではなく茶色の体毛に包まれていた。


「もう一体おったんか!?」

「クソっ、逃げーーうぐ!」


「!? 坊主ーーふぎゅ!」


 ゴリラが降ってきた時の衝撃で腰を抜かしてしまっていたレストは、なんとか立ち上がり逃げようとしたものの、それよりも早くゴリラの両腕に捕まってしまった。


 頭に乗っていたライムもまた三本目の腕によって握り締められている。


「ウキャキャキャ」

「ぐっ……」


 ゴリラは太い牙を見せながら不敵に笑っていた。

 その口からは大量の涎がこぼれ落ち、地面を濡らしていく。


 ダメだ……全身をガッチリ掴まれてるせいか、魔法が上手く使えない……


 レストが自分の情けなさを痛感していく中、ゴリラはどちらから食べようか迷っているのか、その丸太のように太い腕の先で握りしめているレストとライムを見比べていた。


 と言ってもライムは完全にゴリラの手の中に埋もれてしまっているためその姿は外からは見えない。


「ウホッ」

「……俺から食おうってのか? 食えるもんなら食ってみろよ……この脳筋ゴリラが」


 自分へと狙いを定めたであろうゴリラを、レストは強気に睨みつけた。

 その態度が頭に来たのか、ゴリラは大きく口を開け、レストを頭から噛み砕こうとする。


 レストの頭に涎が降り注ぎ、いよいよ牙が突き立てられらようとした瞬間……


「てぇりゃああああ!!」


 大きな掛け声がしたかと思うと、鈍い音が響いた。

 イコナがゴリラへと走り込んで、その横腹に助走の勢いと全体重を乗せた拳を食らわせたのだ。


「ウギャアアア!?」


 ゴリラは絶叫しながら吹き飛んで行き大木の幹に激突した後、そのまま力無く地面に滑り落ちた。


 捕まっていたレストとライムは離され、地面へと転げ落ちた。


「ゲホゲホっ……良いパンチだったな。イコナ……」

「レストさん! ライムちゃん! 大丈夫ですか!?」


 地面に落ちた二人を心配しながらイコナは駆け寄っていく。


「俺は大丈夫だ……ちょっと息苦しいけどな」

「ワイも……大丈夫やで。スライムを握り潰そうなんて、ホンマに脳筋ゴリラやなアイツ」


 二人の声を聞きイコナはホっと胸を撫で下ろした。


「……もう、連絡を聞いた時には本っ当に心配したんですからね! いつも無闇に行動しないようにって私に言ってるのに、なんでレストさんがこんなことしてるんですか!?」


 いつになく凄い剣幕で詰め寄るイコナにレストは思わずたじろいでしまっていた。


「そ、それはその……悪かったよ」

「悪かったよ、じゃありません! 本当に心配したんですよ……もし、二人に何かあったらどうしようって、私……私は……ぐすっ」


 イコナの目から小さな水滴がこぼれ落ちそうになっていた。


「……これじゃ格好つかないな……なあライム?」

「うっ……せやな。今度からはもっと気ぃつけよか……」


 二人はどうにも困り果てた表情で顔を見合わせ、それぞれが自分なりに反省していた。


 そんな二人をイコナは複雑な気持ちで見つめていた。


 不用心な行動をした二人に憤りながらも、その二人が無事で良かったと思い、だがそれ以前にもっと自分が早く合流できていれば、危ない目に合わせないで済んだのではないか? という葛藤。


 そんなイコナの思いなどつゆ知らず、ライムがハッと何かを思い出したような仕草を見せた。


「せや、お嬢! この先で女の子が別のゴリラに襲われとったかもしれへんのや!」

「えっ!? お、女の子がですか!? それは大変です! 早く助けに行かないと!」


「落ち着け、イコナ。そのゴリラはライムが強烈なフラッシュを食らわせたからしばらくは動けないはず。例の女の子からも距離は離れてるだろうから、そんなに焦らなくてもーー」


「あの〜レストさん? そのゴリラってもしかして……あのゴリラですかね?」

「へっ?」


 イコナがレストの背中の方を指差し、レストがそれを見て振り返ると、全身の血管を浮かび上がらせ猛スピードで突っ込んでくる四つ腕の緑ゴリラが目に入った。


「うっわ〜すっげぇ怒ってるな」

「ま、ワイのお嬢直伝フラッシュを食ろうたんや。ああもなるやろ」


「ウッギャアアア!!」


 ただの獲物と思っていた存在にしてやられた事が相当頭に来ているのか、ゴリラの目にはレストとライムしか写っていないようだった。

 その身に秘めた怒りを吐き出すかのように大きな咆哮をあげながらレスト達へと迫っていく。


「イコナ、構えといてくれ。俺が隙を作る!」

「わかりました。頼みますよ、レストさん!」


 イコナはいつでも飛び出せるように体勢を整え、レストは迫り来るゴリラの顔に向けて狙いを定めた。


「まだ……もう少し引きつけて……」

「ウッギイィィ!!」


 怒りを隠す事なく襲いかかるゴリラに対し、レストは冷や汗をかきながらも、あの剛腕が自分達へと届く少し手前の距離まで引きつけた。


「今だ! 食らえ、サンドショット!」


 レストの掌から、無数の砂粒がゴリラの顔目掛けて放たれる。


「ウギィ!?」


 ただひたすらに突進していたゴリラは避ける事ができず、大多くの砂粒が目に入った。

 その影響でほんの少しの間だが、目を閉じ動きを鈍らせてしまう。


「イコナ!!」

「はい!!」


 その一瞬の隙を見逃さず、イコナは高く跳び上がり、渾身の一撃をゴリラの脳天へ向けて放った。


「竜拳落とし!!」


 骨が砕ける音を響かせながら、ゴリラの頭は地面に勢いよくめり込み、そのまま四つ腕ゴリラはピクリとも動かなくなった。


「……ふぅ。これでおしまい、ですね」

「……はぁ、イコナ様々だな……ホントに」


 イコナは服に着いた砂埃を払いながら一息つき、レストはその場にへなへなとしゃがみ込んだ。


「いや〜レストさんのおかげでーー!?」


 イコナがレストの方を振り返ったのと同時に、イコナの背後に何者かが小さな地響きと共に降り立った。


「ウッギィ……」


「なっ!? さっきの茶色ゴリラ!? イコナ、逃げろ!!」

「お嬢!!」


 イコナの反応が遅れた事を茶色ゴリラは見逃さず、一気に四つの剛腕でイコナの全身を掴みあげた。


「あぐっ!?」

「ウギギギ」


 さすがのイコナといえど、全身を握りしめられた状態では全力を出せないようで、その表情は苦悶に染まっていた。

 ゴリラはそのままイコナを握り潰そうと、どんどん力を込めていく。


「うっ、お嬢を放せぇ!!」


「ライム!?」


 ライムはゴリラの顔目掛けて飛び跳ね、その顔にへばりついた。

 そのまま無数の触手を伸ばし、ゴリラの顔を覆っていく。


「ウギャギャギャ!」

「そう、簡単には、離されへんで!!」


 ゴリラは二本の腕でイコナを握り締めたまま、残った二本の腕でライムの触手を剥がしていく。


 ライムからしてみれば剥がされた触手とはまた別の触手を貼り付け、その触手を剥がされたなら、さっきまで掴まれていた触手を貼り付け……と繰り返せば良いだけの話だった。


「坊主! なにボサっとしてんねや!! その腰にあるもんは飾りか!?」


 ライムの言葉にハッとしたレストは自分の腰に下げている、ヴォルの牙で作ったダガーを握り締めた。


「ワイごとコイツの脳天をぶっ刺したれ!!」

「お前ごと!? それはーー」


「ワイは大丈夫や! はよせぇ!!」

「ウッギイィィ!!」


 立ち上がり、四つ腕のゴリラへと走る。


 そのまま土魔法で足場を作り、ライムに気を取られているゴリラへと向けて、跳ぶ。


「うおおぉぉ!!」


 ライムの柔らかい感触の直後にダガーが硬い骨に当たった衝撃がレストの腕に走る。


 ヴォルの牙の鋭さに助けられた結果、レストの一振りはゴリラの頭骸骨を割り、その奥深くまで突き刺さった。


 そのままゴリラは仰向けに力無く倒れ、動かなくなった。


「……やった……倒した……んだよな?」

「……ケホ、ケホ……ありがとうございます、レストさん、ライムちゃん」


 自分を掴んでいた剛腕を振り払い、イコナは地面に寝そべった。


「正直不安やったけど、まあ坊主にしてはようやったな」

「してはって何だよ……してはって。でもまあ、ライムがゴリラを抑えててくれたおかげだよ……って、うぇ……返り血がべっとりついてる……」


 浴びた返り血を水魔法で洗い流しながら、レストは自分の中で様々な感情が渦巻いていることに気づいた。


 自分よりも大きな魔物を自分の手で仕留めたという驚き、いつも戦闘ではイコナに守られていたが今回は助けることができたという喜び、他にも様々な感情が込み上げてくる。


「それにしてもさっきのレストさん、すっごくカッコ良かったですよ! こう……思いっきり、ドスっ!って」


 レストがダガーを突き立てた時の動きを楽しそうに真似るイコナを見て、レストは苦笑いを浮かべた。


「回復するの早いな……というか、そんなに格好良くは無かっただろ? 必死の思いでやったら上手くいったってだけだよ」

「も〜謙遜しちゃって〜。おじいちゃんが言ってましたよ。褒められたら素直に受け取っておくべきじゃぞ、って」


「はは……んじゃ素直に受け取っておこうか。ありがとうイコナ」

「はい!」


「お嬢〜ワイは? ワイは〜?」


 イコナの足元にピョンピョンと跳ねていきながらライムが尋ねた。


「ライムちゃんもありがとうございました。すぐに助けに来てくれて、とっても嬉しかったですよ!」


 イコナは腰を落とし、ライムを抱っこして撫で始めた。


「は〜幸せや……ワイもう死んでもええ……」

「わわっ、死んだらダメですよう!」


 イコナに抱き抱えられたまま、今にも昇天しそうなほどうっとりしているライムと、焦るイコナを見て、レストは穏やかな笑みを浮かべた。


 ガサっ


「!? 何だ!?」


 近くの茂みが揺れる音が聞こえ、レストは咄嗟に音がした茂みの方を向いた。


「ま、待って欲しいの! 私は……ってお兄ちゃん達……誰なの?」


 茂みの中から現れたのは、新緑のように綺麗な髪を背中まで伸ばした少女だった。

 その瞳は翡翠のように輝いていており、その尖った耳が人間ではないという事を示していた。


「……女の子?」


「お、お兄ちゃん達、エ、エルフ族……じゃない……よね?」

「あ、ああ。そうだけど、君は?」


「わ、私は……あっ、ダメなの! エルフ族以外の種族は危険だってーー」


「待ってください! 私達、エルフさんじゃないですけど危険じゃないですよ」


 すっかり怯えている少女に対し、イコナは必死に自分達は危険じゃないとアピールした。


「ほ、本当なの? あっ、その魔物……」


 少女は既に動かなくなった二体のゴリラに気づき、レスト達とゴリラを見比べていた。


「もしかして、お姉ちゃん達がその魔物を倒してくれたの?」

「えっ? あ、はい! 私達がみんなで頑張って倒しました!」


「本当なの!? じゃ、じゃあもしかしてお姉ちゃん達が私のこと助けてくれたの?」


「ん? 助けた……? ってことはもしかして……」

「坊主が聞いたっちゅう女の子の悲鳴ってのはこの子のやったってわけか」


 ……本当に聞き間違いじゃなかったな。まあ助けようとは考えてたし……結果的に助けたってことでいっか。

 そうしといたほうがあの女の子も安心してくれるだろうし。


「あ、ありが、どう、なの……ルゥ、怖ぐで……ひぐっ……」

「わっ、泣かないで〜。ライムちゃん、ちょっと降りといてくださいね」


「くっ……名残惜しいけどしゃーないな」


 緊張が解けて安心したせいか、女の子は盛大に泣き始めてしまった。

 それを見たイコナはライムをゆっくりと下ろし、女の子へと近づいていく。


「もう大丈夫ですよ〜私達がついてますからね〜」

「うっ、うわぁ〜ん!!」


 大泣きする女の子の頭をイコナは優しく撫で始めた。


「……なんか、イコナって大人びた……というか、お姉ちゃんって感じの対応することがあるよな」


「ま、お嬢やからな」

「なんだよ、ソレ」


 ……さてと、結果的にだけどエルフの女の子も助けられたし、とりあえず良しってところかな。


 あの女の子が泣き止んだらこれからどうするか考えるとして……ああ、一安心したら一気に疲れが来た……。

分体「という感じで、お嬢が大活躍やったで!」


親バカ竜「さすがワシの愛娘よのう! 良し、ならば美味そうな匂いのするあの店で何か食いながら祝うとしようぞ!」


分体「おろ? じっ様、人族の店はどうたらこうたら言うとらんかったっけ?」


親バカ竜「こ、細かいことは気にするでない! それにワシは人族は嫌いじゃが、その料理まで嫌いなどと言った覚えは無いぞ!」


分体「そういうことなら早いとこ行くとしましょうや。まあワイは食うフリするだけなんやけど」


親バカ竜「どうせならイコナの姿をしたお前ではなく、本物のイコナがおればなお良かったんじゃがなぁ」


分体「ワイも同感やでぇ」


もふもふ「わうん……」(寂しそうな表情)

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