第二十話:試練を終えてまた試練?
「……あの、ホントにすみませんでした……」
イコナの様子からして猛反省してるんだろう。悪気も無かったんだろうし、今回は大目に……
「見たいところだが、さすがに今回はダメだな」
「うう……レストさんがいつにも増して怖いですぅ」
涙目になっても無駄だ。今回ばかりはちゃーんと指導しとかないと。いずれまた同じようなことをする……かもしれないからな。そうなったら俺自身たまったもんじゃないし、何よりされた相手がブチギレてもおかしくない。
「まあ、レストよ。そのへんで許してやってはどうだ? 我はもう気にしておらんし……な?」
「いいやダメだね。ロンが凄く優しいから良かったものの、相手が相手だったらどうなるかわかったもんじゃないんだし」
「それは確かにそうだが……」
……イコナの秘策、男の俺から言わせてもらえば二度とやって欲しくない作戦だけども……まあそれのおかげでどうにか試練は突破できた。突破できたことになったって言ったほうが良いかもしれないけど。
まあそこまでは良い、良いんですよ。とりあえずは……ね?
だがしかし! さすがにアレは無いだろ!?
確かにいつぞやのダンジョンで男にとっての弱点だ〜とは言ったよ? 言ったけども!
どっちかというと、弱点だから極力気をつけてね〜って感じで言ったのに、真正面から撃ち抜いたんだぜ!? しかもその弾になったの俺だし!
玉にぶつける弾になったってか、ハハっ笑える。
……こほん。
とにかく、今回ばかりはイコナがいくらポンコツで世間知らずで悪気が無かったとはいえ……いや、だからこそキツ〜くお灸を据えてやるべきだ。
……決して顔面から直撃させられた腹いせとかじゃないですよ?
俺はあくまでも、これから先もしもイコナが同じようなことをしたとして、後から取り返しのつかないことにならないようにと、心配してですね……。
「……レストの気持ちもわかるが、ここは一つイコナの言い分もちゃんと聞いてやるべきだと我は思う」
「そうです、ロンさんの言う通りですよ!」
「……あん?」
「ひうっ!?」
「レスト、そう険しい顔をするでない。イコナに言い聞かせるどころか、怖がらせているではないか」
「……」
ふるふる……ふるふる……
イコナは頭を抱えて縮こまり、小刻みに震えていた。出しっぱなしになっている尻尾も力なくへたり込んでいる。
……言われてみれば、こんなに怯えた様子のイコナは見たことが……いや初めて会った夜にテラーノが迎えに来た時も、こんな風に怯えてたっけ。
「れ、れすとさん……」
いつもの威勢の良さは何処へやら……声まで震えるなんて、そんなに怖い顔したかな?
「わ、私のこと……き、嫌いになっちゃい、ました……か?」
「……えっ?」
待て! どうしてそうなった!? そりゃ怒ってはいるけど、そんなことは……。
あ〜えっと、こういう時はどうすれば良いんだ!? 謝るべきか? それとも事情……っていうか、とにかくそんな感じのを説明したほうがいいのか?
「レストさん……?」
待ってくれ! 潤んだ目で上目遣いしながら見つめないでくれ! 罪悪感が、罪悪感がぁぁ!
「黙ってるってことはやっぱり……ううぅ」
「いや、違う!そうじゃーー」
「うわああぁぁぁん!!」
うおぉ! どうしてこうなったぁ!!
「わたし、レストさんに嫌われちゃいましたぁ!」
「よーしよし、我がついておるぞ〜」
イコナはロンにすがりつき、川のような涙を流しながらわんわんと泣き喚き始めた。
ロンはそんなイコナを優しく抱きしめ、頭を撫でる。
ああ、終わった……ありゃ完璧に勘違いしてやがる。どうしたもんかな……どうしようもないかな。
「……レスト、レストよ」
ん? ロンが小声で俺を呼びながら手招きしてる?
「イコナが落ち着くまでは我に任せよ。お前はそれまでにちゃんと仲直りする準備をしておけ。よいな?」
「仲直りって……どうすれば、良いんだ?」
「簡単なことではないか。一言謝れば良い。後は流れでどうにかなる」
「なっ! なんで俺が謝る側なんだ!?」
「文句を言う暇があるならちゃんと準備をするのだ。わかったな?」
うっ……有無を言わさないってのは今のロンみたいな感じだろうな。
なんか納得いかないけどここは大人しく従おうか。俺だって別にイコナが嫌いになったわけじゃないし……思うところはあるけど。
なんにせよ今はイコナが落ち着くのを待つとしよう。せっかく試練達成できたっていうのに、なんか締まらないなぁ。
親バカ竜「ん!? 感じる、感じるぞ! イコナが悲しんでおる気配じゃ! 今すぐ行かねば!」
もふもふ「ガウ!」
親バカ竜「くっ! 離せヴォル! 今はお主の飯どころでは無い!」
もふもふ「グルルル……」
親バカ竜「……良かろう、ならば決闘じゃああ!」




