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人と竜の成長譚 〜ポンコツかわいい竜娘に今日も翻弄されています〜  作者: 蒼遊海
第一章 土の国モンテスオロ編
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第十五話:地竜王の思惑

「おっはようございまーす!!」


 うう……久しぶりのベッドだから、まだ寝てたいんだけど。布団めくられて、イコナに叩き起こされるとは。


「……朝から元気だな」

「ハイ! だって今日は、いよいよ特別な魔石を拝めるんですよ! ほら、レストさんもシャキッとしてください!」


 重い瞼をなんとか開けて、窓の方を向いてみる。朝日を浴びれば少しは目も覚めるだろ……。


「って、まだ陽が昇ってすら無いじゃないか。こんなに早起きする必要あるか?」


「アハハ……つい楽しみ過ぎて目が覚めちゃいまして……」


 イコナは少しばつが悪そうにしていた。


 というか……理由はそれだけじゃなくて、昨日あんな早くから寝てたってのもあるだろ。


 ……外を見た限りでは、まだ薄暗いし……うん、二度寝しよ。


「わ〜! レストさん、なんで寝ようとしてるんですかー!?」

「そりゃ陽が昇り始めてすらないんだぞ? 迎えが来るとは言ってたけど、まだまだ時間は余ってるだろ」


「……む〜でも……あ、そうそう! 早めに準備しといたほうが何かと良さそうじゃないですか!」


 名案を思いついた、と顔に書いてあるところ悪いんだが。


「準備するにしても早過ぎるので却下だ」

「そんなぁ……レストさんは、そんなに寝てたいですか?」


「今はそうだな。久しぶりにベッドで寝られるからゆっくりしたいんだ。悪いけどわかってくれ、イコナ」


「……わかりました。ちょっとつまんないですけど、レストさんにはいっぱい助けてもらってますし、ワガママは言わないことにします」


 ……ふーむ、肩を落とし目に見えて落ち込んでいるあの姿と、ここまでの言動からして……おそらく、目が覚めたは良いけど早過ぎたから、俺を起こして一緒に暇を潰そうとしてたとか、そんなとこだろうな。


 イコナは今から寝ようにも、既にたっぷり寝てるから寝れないんだろうし。


「そんなに暇なら、城の中でも見学させてもらったらどうだ? 俺達は一応、地竜王のお客さんってことになるんだから、多少ぶらついても何も言われないと思うし、最悪何かあってもロンがどうにかしてくれるだろ」


 イコナは一転して、新しいおもちゃを手に入れた子どものような笑顔を浮かべていた。


「おお! それは面白そうですね! では早速……あ、良かったらレストさんもどうですか?」


「言っただろ? 俺はまだ寝てたいから、一人で行ってきな。もしかしたら、ガルドとかが朝早くから見張りをしてるかもしれないし、それならそれで話相手もできるだろ」


 布団にうずくまり二度寝の準備をする。イコナの姿は見えないけど、多分ガッカリしてそうだな。

 しかし、すまないイコナ。ベッドが俺を放そうとしてくれないんだ。この誘惑には抗えない。


「……わかりました。じゃあ行ってきますね。あ、もし一緒に来たくなったらすぐにでも来てくれて良いですよ!」


「ああ……気が向いたら行くよ」


「私、待ってますからね! どこでかは……ちょっとわかりませんが」

「……ああ、わかったよ」


「じゃあ、本当に行ってきますね。一人で、行ってきますからね!」

「………」


「……レストさん? レストさ〜ん?」


「……良いから、早く行ってこーい!!」

「わー! い、行ってきまーす!!」


 俺が飛び起きて叫ぶと、ドア付近でチラチラこっちを覗いていたイコナは、脱兎の如く部屋を飛び出していった。


 まったく……子どもじゃあるまいし。いや、竜族からしてみたらイコナはまだ人でいうところの五歳くらいになったりする……のかな? 竜族は人間より遥かに長寿なんだし……でも正確に言えば、イコナは竜人族だから……見た目からして俺と同い年くらいって扱いでいい……のか?


 ……考えても答えは出なさそうだし、とりあえず寝よう。うん、それが良い。ああ……お布団最高。



 ♢♢♢



「……んん、よく寝たな。久しぶりにちゃんと休めた気がする」


 ……朝日が差し込んでるってことは、まだそんなに時間も経ってない、かな。


「あっ……今度こそ起きたんですね、レストさん」


 いつの間にか帰ってきていたイコナの前には、朝食にしては少し豪華に見える料理が並べられていた。


「その料理は……?」

「えっとですね……お城を探検してたら、朝食を作ってるところにお邪魔しちゃいまして、そのまま少し味見をさせてもらったので、そのお礼に料理を運ぶお手伝いをしてたんです。ついさっき、ここに運び終わって、レストさんを起こそうか迷ってたんですけど……いや〜起きてくれたので丁度良かったです〜」


 味見させてもらうあたり、ちゃっかりしてるな。


「そういうことなら、早速食べようぜ。どうせ腹減ってるんだろ?」

「どうせって何ですか、どうせって。私そこまで食い意地張ってませんよ!」


 ぐぎゅううぅ……。


 これまた盛大に腹が鳴ったな。イコナの身体は正直なようで。


「あっ……その〜これは、た……探検したせいですからね!?」

「……ふふっ。それなら迎えが来る前に、早いとこ食べよう。料理が冷めたら、作ってくれた人になんか申し訳ないからな」


「なんで、ちょっと笑ったんですかー!」


 プンスカ怒るイコナを尻目に料理を味わう。


 うん、昨日の晩飯といい……本当に美味いな。これだけでもここに来た甲斐があるってもんだ。


「食べないなら、俺が全部食べるぞ?」

「だ、ダメです !私も食べます!」


 そんなに慌てて食べなくても……後で喉に詰まらせたりしないことを祈っとこう。もしそうなったらめんどくさいし。




 ♢♢♢



 結局イコナは喉に詰まらせることなく、用意された朝食の半分以上を平らげた。逆に全部食べられかけたのは少々納得いかないが……まあイコナだし。


 食べ終わって少し休憩した後、身支度を整えて迎えを待っていたら、少しして女官と思わしきドワーフが迎えに来た。


 その案内のもと俺達は玉座の間へと向かいロンと恒例の二人を待っているんだが……なんか遅いな。


 とかなんとか思ってたら、いよいよお出ましのようだ。


「すまない、待たせたな二人とも。少々、準備に時間がかかってしまった」


「俺達は気にしてないよ。ロンだって何かと忙しいだろうし。それで、例の魔石のところにはすぐにでも行けるのか?」

「できるなら、今すぐにでもお願いします! ロンさん!」


 鼻息荒くなってますよイコナさん。年頃の女の子がしちゃいけない感じになってますよ。


「まあ待て。気持ちはわかるが、まずは落ち着いて我の話を聞いてくれ」


 そう言いながらロンは玉座へと座り、後の二人もいつものポジションに着いていく。


 ロンは一呼吸置いてから話し始めた。


「さて、本来なら朝食の感想なりを聞きたいところだが……それよりも、というようだからな。話を進めていこうか」


 ……今思えば、さっきの俺達の態度って急かしてるようなもんだよな? しかも一国の王を……ロンが優しい王様で良かった。


「まず、魔石への参拝に関してだが、まだ許可はしておらぬぞ」


「えっ……?」


 ……どういうことだ?俺達は確かにダンジョンを突破して、その証も見せた。なのにどうして……?


「ロン、どういうことだ? 俺達は確かに試練を突破した。ロンだってそれを祝ってくれたじゃないか?」


「うむ。確かに其方達は『ダンジョンの試練』は突破した。そしてそれを祝うと同時に、我は今朝に詳細を伝えるとも言ったが……断じて魔石の元へと案内するとは言っておらぬぞ」


「それは……確かにそうだけど、でも!」


「まあそんな反応をするのも無理はないか。だが我は確かに言ったはずだ。許可を与えるための試練として『まずは』ダンジョンを突破してもらう……とな」


 ……そう言えば確かに、まずは同じように……とか言ってたな。てっきり本来受ける資格がある者達と同じようにって意味で捉えてたけど、してやられたな。


「其方達は気づかなかったかもしれぬが、あのダンジョンは本来、我が国の者ならば、ほぼ誰もが突破できるようなダンジョンなのだ……ただ其方らの場合、聞いた限りではかなり強引に進んだようだから、異常に早かったりはしたがな」


 ……強引にいったのは、その……なんかゴメン。でも言われてみればそうだ。ある程度、土魔法が使えることが前提のダンジョン……とは言ってたけど、そもそもこの国の住民のほとんどは土魔法を使える種族だ。


 ガルドだって、ダンジョンには命を落としかねない仕掛けもあるとは言ってたけど、命を落とした者がいるなんて一言も言ってなかった。むしろこのダンジョンの仕掛けは肩慣らし程度だ、とも言ってたな。


 それにイコナが竜人族とはいえ、地竜王たるロンが作ったゴーレムにしては余りにもあっさりと倒されていた。

 ……ただそれら全てが、あのダンジョン自体がただの通過点だとしたら納得がいく。


「……つまり試練ってのは、実はここまでが小手調べで、本番はこれからって訳だな?」

「話が早くて助かるぞ、レストよ」


 ロンは悪戯が成功した子どものようにニカッと笑ってみせた。


 ……これは、まんまとしてやられたな。


「えっ、ええ? れ、レストさん……つまりどういうことなんですか?」

「ようするに、試練はまだ終わってない。俺達にはまだ突破しなきゃいけない課題が残ってるってことだ」


「そ、そんなぁ……」


 イコナはへなへなとその場にしゃがみ込んでしまった。

 ……あれだけ楽しみにしてたんだ。そうもなるよな。


「イコナには悪いがそういうことだ。だが次の課題を突破できれば今度こそ魔石の元へと案内する。そこは約束しよう」


「ホントですか!? よ、良かったぁ」


 イコナはしゃがみ込んだまま安堵のため息をついていた。


「で、さっき言ってた準備ってのはその課題に関すること……だろ?」

「その通りだ。そしてその課題だが……本来はこの国の軍事関連を取り締まるガルドと戦い、ガルドに有効打を一撃で良いから与えること。それが達成条件だ」


 ……本来はってことは違うってことだよな。この際だ、なんでも来やがれ。


「しかし、今回は我が友テラーノに其方達のことをよろしく頼まれているからな。今後も旅を続けるにあたり、其方達がやっていけるかどうか……我が直々に見極めさせてもらう」


 ……ゴメン、なんでも来やがれとは言ったけど、さすがに地竜王と直に戦うのは、無いわぁ……。


 というか手紙に書いてあった、俺達のことをよろしく頼むってそういう意味だったのか?


「では早速、最終試練の場へ向かうとしよう。この城の頂上だ」


……こうなったらやるしかない、覚悟を決めよう。

冒険の旅の一区切りが着く時と言えばやっぱり、強敵との戦い……ボス戦ですよね?

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