第十一話:決意
「……つまりこの方達はレスト君の知り合いで、レスト君と共に暮らしたいと思っていて、その誘いをしに来たところ……ということで良いですか?」
「そうですね。それで、この誘い自体が唐突だったんで詳しく話を聞いてたところに先生が現れた……っていうのが現状です」
「なるほど。急なことが多すぎてまだ少し混乱してますが……大体は理解しました」
細かいところまでは説明してないけど、それでも大体理解してくれる辺りはさすが先生。話が早くて助かるぜ。
あとはこの二人の正体について聞かれたりしなければ、ひとまずは大丈夫……だよな?
それはそれとしてとりあえずの問題は……っと。
「テラーノ、さっきの話だけど」
俺は先生からテラーノに向き直りそう口にした。テラーノは先生と俺を一瞥し、淡々と話し始めた。
「うむ、是非ともいい返事を聞かせてもらいたいんじゃがのう? レストよ」
テラーノはただじっと返事を待っている。イコナも先生に慣れたのか、テラーノの隣で祈るように俺を見つめていた。
……だから、なんでそんなに話を急ぐんだよ……そんなに急かす理由もないだろう? まあいいや。
さて、この二人について行ったとして少なくとも今までより悪くなるなんてことはないだろ。だったら答えは決まってるも同然。
「二人が良いなら、俺を連れて行って欲しい。学園には俺の居場所は無い……そんな気がするから」
「レスト君……」
「その眼を見る限り、覚悟は決まったようじゃな。ならばワシらとーー」
「レストさぁーーん!!」
ドスゥッ!
「っうぐ!?」
イコナがとびっきりの笑顔で俺に飛びついて来た。そのまま俺は倒されイコナに馬乗りされてしまう。
なんか似たようなことが前にもあったような…
「私、信じてましたよー!レストさんなら絶対一緒に来てくれるって信じてましたよ!」
「わかった!わかったから退いてくれ!重い!」
瞬間、イコナの笑顔は一転してふくれっ面に変わった。
「……女の子に重いって言うなんて、酷いです!私、太ってなんかないですよ!」
「いやそうじゃなくて。あ〜もう! わかった、俺が悪かったから早いとこ退いてくれ!」
「嫌です! もっとちゃんと謝ってください!」
馬乗りされてる状態で、ちゃんと謝るもなにもないだろ!? というか被害者俺だよな。なんで俺が謝ることになってんだ!?
「あの、テラーノ……さん、でしたよね?お孫さんはいつも、その……あんな調子なんでしょうか?」
「あ〜その、なんじゃ。お主の言いたいことはわかるんじゃが……うむ。イコナは普段は大人しくて、それはもう可愛いんじゃよ? ただ……」
「……ただ?」
「初めてできた友達というのが大層嬉しかったようでな。レストが絡むとなるとほんの少〜し、はしゃいでしまうようなんじゃ」
「そ、そうですか……」
少し困ったようなそれでいて嬉しそうな老人と少し混乱しつつも微笑ましく思う教師は、押し問答を繰り広げる孫と教え子をただ見守っていた。
シリアスな空気なんて無かった…良いね?
セリフを遮ることに定評のあるイコナさんにはこれからも頑張って欲しいです。




