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爆縮と体温の機知(4)

頭痛の前に

打ち鳴らされた

闇夜に近い頭痛は

昨日のビールジョッキと

美味しかった

チーズ明太子に繋がって

その後の芋焼酎と日本酒に

記憶の崩壊と共に飲まれたのだと

把握させるには

十分過ぎる暗さだった

いつもの部屋であることは

確認できたが

台所からの匂いと音に

白紙の紙を飛ばす

記憶装置の色が

青に変わるような息


部屋の中は

特に変化は無かった

知らないバッグと

丸襟のアウターウェア

やたらと丸まったティッシュが

ゴミ箱を目印にして落ちていた

そういうゲームでもしたのだろう

いつもの格好の寝巻き

片付けられた机の上

近くに燃えるゴミと

燃えないゴミの袋

座ってみたが

もう一度、横になった

スマートフォンで

時間を確認すると

現状のままを

言うことにした

どんな顔か

全く分からない人に


座っているのもあれだから

立ち上がり

トイレに行くことにした

物音で起きていることは

伝わるだろうから

トイレに行くという

顔合わせも

難無くクリアできる筈だ

扉を開けると

ポニーテールに

エプロン姿が見えた

「おはよう」ときたから

「おはよう」と答える

よく分からない感覚だったから

頭をかいた

「あっ、シャワー借りた」という

当たり触りのない言葉に

明るく頷くと

「あんまり見ないで。ノーメイクだから」と

見て欲しいような

見て欲しくないような

言葉を付け足してきた


覚えているような

いないような

二重に目がいく顔の形だった

だが、必ず何処かで見ているという

確信はあった

トイレに行って顔を洗うことを

まだ、ボヤけた口調で伝える

「直ぐに食べれるから」と

笑顔で返されて

また、よく分からない感覚が湧いた

洗面台へのドアを開けて

一人の時間に戻ると

トイレに座って

頭の中を整理する

違う、違う、違う

確かに見ているが違う

場面に時間

場所に顔

皆目見当がつかない

そして、頭痛が邪魔をする


10分と1分の時間は

さっと終わり

台所へと出て来た

扉は開いていて

部屋の机に

背中とご飯が見える

戻り座ると

「さぁ、食べよう」と

言われた

付けまつ毛が付いて

アイラインが引かれた顔

瞬間、思い出した

取り引き先

初めて担当するという青年の隣で

補佐していた青年の上司である

開いている口を見て

「さては、何も覚えていないな」

悪戯な口調で言われた

何かの取り引きをした後のような

さっぱりとした顔で








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