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短くてすいませんm(__)m
「すいませんでした」
校長先生と細田さんが部屋に戻ってきたと同時に謝ることにする。俺が勝手にボールを取った所為で、集会の流れが変わってしまい時間を大幅にオーバーしてしまったのだ。主に騒いでいる生徒達を宥めるのに時間が掛かってしまったようだが。
そんな俺に校長先生は優しい口調で
「気にしなくていいのよ田中さん。それに言ったでしょ?多少のおいたなら目を瞑りますと。それに今回は私の悪乗りが原因なようですしね」
この言葉の意味を先生と細田さんはわかってなさそうだけど、目の前にいるこの人物の目だけは誤魔化せなかったみたいだな。
「確かにあのスピーチはやり過ぎですよ校長先生。前の世界でも見たことない壁ドンとかを僕に期待されてもどうしようもありません。あんなの聞いたら正直どうでもよくなりましてね。つい」
俺の言葉に驚くのは先生だけで、細田さんは俺が嘘を言っていないことがわかっているのでそこまで驚いていない。これで少しは呆れるかと思いきや
「だけどこれで逃げれなくなっただろ?」
口調ががらりと変わり、俺にとって言われたくない言葉をかけてくる。マジでなんなのこの人。
俺がわざわざ学校に通うのは別に女子と仲良くしたいからではなく、とある”約束”があるからで、こんな世界でもそれを守る為だ。そうじゃなきゃ誰が好き好んでこんな魔の巣窟みたいな学校なんて通うんだよ。
本来なら学校には通うけど、のらりくらり女子達を躱して卒業しようというプランが最初から破綻させられてしまった。
「それは是非教えて欲しいですね校長先生。僕が何から逃げるって?もしかして女子からですか?それこそまさかですよ!残念ながら僕は普通に女性が好きです。なので」
「いや、そのまさかだよ。あんたは女性が・・・いや違うね。人間が嫌いなんだろ?その中でも女性が嫌いだ。勿論性的な意味ではないのだろう。だから嘘は言っていない、けど本当の事も言っていない」
俺がそれを聞いて黙っていると
「本当に向こうの世界はどうなってるんだろうね?まだ16の子供がこんなにもなっちまう世界なんて私には想像がつかないよ。出来る事ならあんたをそんなにしちまった相手に説教してやりたいくらいだ」
独り言のように小さく呟く校長先生が「それでも」と続けて
「それでもあんたが頑張って生きてきた結果だ。私に文句を言う資格はないよ。だけどね。もしもう少し頑張れるならこの世界の人達のことを少しだけでいいんだ・・・ほんの少しだけ信じてやっちゃくれないか?」
部屋の空気が重いですよ校長先生。
多分普通の人ならここで感動して泣く人もいるかもしれないが、あくまでもそれは普通であって”俺”ではない。それに俺はもう・・・
「ありがとうございます」
「と言えばいいですか?残念ながらそんな言葉で心が揺れ動くほどやわじゃないんで」
部屋の空気が更に重くなる。
校長先生は悔しそうなそれでいて悲しそうな表情で「そうか」とだけ呟いて1歩後ずさる。
田中先生は随分前から何も言えずに佇むだけだ。
細田さんは短い付き合いだけど、俺の感情を見ているだけあって平常心だな。一体自分の感情ってどんな色か気になるけど今は伝えることだけ伝えよう。じゃないとさすがに部屋の空気が重すぎる!
部屋に入ったきり動いていない細田さんの元へ向かい服の袖を少しだけ摘まむ。
俺の行動の意味がわからないのか細田さんはワタワタと空いた手を動かしている。くそ、可愛いなこの人。
恥かしいから早く俺の行動の意味を察してほしい。
ほら!校長先生の方が早く気づいちゃってる!凄いニヤニヤした顔でこっちをみてくるから早く気づいて細田さん!!!
「あっ」
俺の中の感情の色を視て漸く気づいてくれたのだろうか。驚いた顔でこちらに視線を向けてくる。その笑顔は反則だ。あーあー泣きそうにならないで欲しい。掴んでいた指にそっと彼女の指が重ねられた。
今は未だ小さくて見逃してしまいそうなほどな大きさだけど・・・ちゃんとその色は俺の中にあるのだ。
信頼って名の色が。
だあーーーーーーーーーーー、くそ恥ずかしい。二度とやるもんか!
校長「あともう少しだけ頑張って書いてみないか?」
作者「が、頑張ります」(涙声)
「とでも言うと思いましたか?」