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ついこの間彼女が出来ました!!家族に紹介した後、彼女は足が痺れたらしく立ち上がる際転んでしまいました。「どじっ子だー」と叫ぶ兄貴達。
という夢をみた作者です。彼女?ええ実際いますよ。恥かしがり屋なんで画面から出てきてくれないですが。
~佐藤 花子~
誰かが私の背中を強く押した。
いきなり何をするんだと振り向き様に文句を言おうとした私の視界に入ったのは1人の男性だった。妙に周りの景色が流れるのを遅く感じながらもその男性を見る。
この制服は近くの高校のだなとか。なんで私を押したのだろうとか。なんでそんなに必至な顔をしているんだろうとか。色んなことを考えていたけどそんな思考も目の前の男性が視界から消えると共に戻る。
もの凄い衝突音とブレーキ音で私の思考は止まってしまい、直ぐ近くで聞こえる新たなブレーキ音に気が付かなかった。
そうして石膏像みたいな神様に私は別の世界へと送られることとなったのだ。
目を開くと私が住んでいた町が凄い田舎に感じる程栄えている街並みがそこにはあった。
まああそこは田舎なので否定は出来ないが・・・まさか前の世界でも終ぞ行くことの無かった東京みたいな場所にこんな形で来ることになろうとは。今の私は完璧お上りさんだ。
それにしても本当に女性しかいない。周りを見渡すも視界に入るのは全て女性、さらに女性。なんか安心するな。前の世界じゃ感じれなかった安心感に心を落ち着かせ、神様に言われた建物に入り事情を説明しようと歩を進める。
思いの外あっさりと信用してもらい、さらには私の専属の護衛兼世話係として美人司書みたいな人があてがわれた。眼鏡が凄い似合ってるし、悔しいが胸も大きい。私も来年くらいにはこのくらい大きくなる予定だし・・・だし。
この女性は池田さんと言うらしく、私がこの世界に馴染むまでの間色々お世話してくれるとのこと。
それにしてもどうしてこんなにあっさりと信用してもらえたか聞いたところ
「佐藤さんが受付で田中さんのお名前を口に出されたので」
と教えてくれた。彼は私より先にこちらに来ていたらしいが少し前に池田さん達の部隊に確保されたらしい。なので彼の名前を知っている私は良くも悪くも事情があると判断されたらしいが、それより”確保”って彼は何をやらかしたのかしら。まさか目に映る女性達に欲情して襲い掛かったとか?そう言えば綺麗な人が多かった気もするし・・・最悪だ。私の都合もあったけどそんな人に一瞬でも助けられ、それに対してお礼を言うんだと意気込んできた私は何なのだろうか。
私のため息を読み取ったのか
「因みに、田中さんはこちらに来て直ぐに逃亡。ことが大きくなる前に私達で確保した次第です。今は隊長の細田さんが護衛にあたってるの心配なさらずに」
どうやら私の勘違いだったらしい。
それにしても逃亡とは穏やかじゃないなあ。普通ならこの光景に歓喜すると思うのだけれど・・・もしかしたら彼も私と同じなのかもしれない。
そう思うと少し嬉しくなってきた。早速彼にお礼を伝えたいと思い場所を尋ねるも「機密事項です」の一言で片づけられてしまった。この世界の男性の情報は何より大事みたいだ。
それでもいつか会うだろうと思うことにして、私のこの世界での生活は幕を開けたのだ。
「佐藤さん、勉強は出来るほうですか?」
次の日の夕方急に池田さんが訪ねてきた。今日は朝からお役所周りに行っていて、今帰って来たのだ。
住む場所やそこから比較的近い学校やその他諸々。それを終えて引っ越してきたばかりのマンションに帰ってきたと思ったら、池田さんは電話でどこかへ連絡を取った後そう聞いて来た。
「特に不得意というわけでもありません。編入する学校の偏差値も見ましたが大丈夫とは思うのですが・・・なにかありました?」
「いえ、そこは特に心配はしていないのです。ですが通う予定の「南西女子高校」の近くに「南高校」というのがあるのはご存知ですか?ここからも距離的には同じくらいの場所なのですが」
そこはチラッと見た記憶がある。確か男子の人数は数人と少ないものの一応共学で偏差値は丁度真ん中くらいだったかな?別段気を惹かれる項目もない普通の高校だったと思うし、共学ってだけで私の気は削がれた。
「そこがどうかしましたか?」
「いえ、別にどうということはありませんよ?”禁則事項”なので」
その言葉にハッとする。
”禁則事項”。その言葉がこの世界で指すのは男性しかありえなく、この場合のそれは彼を指すのは明白だ。
気が付けば私は池田さんに「南高校」に今から変更出来ないかと問い詰めていた。
自分でも驚いている。彼にはいつか会って、それで「あの時はありがとう」と言って終わり。その後はこの世界を満喫する予定だった。なのにもしかしたら彼と同じ学校に通えるかもしれないと言われただけでこうも気持ちが高揚するなんて・・・私はちょろ・・・・・・くない!!
そうして次の日私は「南高校」へと足を運んでいた。池田さんの仕事の速さに脱帽です。
今日は校長先生への挨拶と書類へのサインだけ済ませて帰る予定だったのだが、目的の応接室から出てきた人物を見て私の足は止まってしまった。
まさか・・・彼?
ここからは少し距離もあり、背の高い女性と隣に男子生徒と思しき人影が見えるだけだ。顔をみれば彼かどうかわかる自信はある。なのですれ違う時に顔をみて、もし彼だったらお礼を言おう。そう思い再び歩き始めるも
「ちょっと待ちなさい」
なんで女性に隠れて歩くのよ?顔がわからないじゃない。
「ちょっと待ちなさいよ!」
なんで止まらないのよ!どう考えてもあなたに言ってるのよ?あれ?まだ止まらない・・・確かに彼に言っていると思ってるのは私だけど、彼はそう思っていないの?でも、チラっとくらいこっち見なさいよ!
なんとか池田さんのフォローで足を止めて振り返った彼の顔を見てみる。
・・・うん?なんか違うかも?
・・・もっとこう、目に力があったような?こんな死んだ魚の目だったかしら?
記憶の中の男性と目の前の男性像がなかなか一致しない。試しに彼の目を記憶の彼の目に置き換えてみると・・・
「あーーーーーーー、やっぱりあの時の!!」
漸く一致した!
でも彼は私のことをどうやら覚えていないらしい。私を見て思い出そうとするも全然違う人物が出てくる始末。誰よ「くんかくんかの女性」って!ただの変態じゃないの。
それにしても男性にまじまじと見られても嫌な感じがしなかったのはいつ以来だろう。
そんな事を思ってると、校長先生が部屋で話しましょうと提案してくれたのに彼は「また明日」と言って帰ろうとするし。一体何なのよ!!
でもなんかいいな「また明日」って言葉。
再度に渡る校長先生の提案でなんとか落ち着いた場所で話が出来たが、彼の記憶の中に私はどうやらいないらしい。”トラック”という単語を出して漸くといった具合だ。あの時の状況を説明すると
「それは・・・すまなかった」
何故か彼が謝ってきたことに驚いて、つい男性が嫌いと口に出してしまった。それも助けてくれた彼の前で。それでも私の口は止まる事はなく男性を罵る言葉を吐いてしまった。それと小さな”嘘”も。
でもこれは彼には知られることのない嘘。だから大丈夫。そう自分に言い聞かせて漸く言えた「ありがと」は私の心のモヤモヤを綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれた。
本当は神様に彼がこの世界に来ていることを聞いていたのだ。「まさかこっちで会うとは思ってもみなかった」なんて”嘘”。
あなたにお礼を言いたかった。それと私の男性嫌いが重なった結果、私はこの世界を選択しただけ。
本当にそれだけなのだ。
あっ、気が抜けたら急にトイレに行きたくなってきた。
えっ?帰るまで我慢してください?今そこにコンビニあったわよね?ちょっとなんでそんなに楽しそうな顔してるの池田さん!!
もしかしてこの人って静かそうな雰囲気だけで実はドS!?
作者の小話⑤
通ってた高校は男子1:5女子の割合でした。ハーレム?いやいやそんなものは無い!!
帰り道の同級生の会話。
A子「B子C子ちゃんまた明日ねー」
B子C子「「うん。A子ちゃんもまた明日ー」」
なんて会話をして去って行くA子。彼女はちょっぴりぽちゃっとしていた。A子の姿が見えなくなると・・・
B子「まじあいつ豚だわ」C子「ほんとほんと」
そう言うBC子。その後こちらをチラッと見る目には「A子に言ったら殺す。てかあんたいたの?」
みたいな視線でした。
女子こえーー