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プロのイギリス人ラッパーに素人日本人ラッパーが挑んでいたのですが、日本人の彼は何故か「アメイジング・グレース」を歌って満足気に相手を煽っている夢をみた作者です。

 

 昨晩の細田さんへの仕返しを終えた後は直ぐに寝てしまった。

十分な睡眠をとった日の朝は、朝の弱い俺でもいつもより幾分かはテンションが高い。


「おはようございます」


 昨日と変わらずエプロン姿の細田さんがキッチンで朝食の準備をしていたので挨拶をしてみる。

やっぱりいいなエプロン。フリルとかは要らない。


「おはようございます」


 ちらりとこちらを見て挨拶を返してくる細田さんだが、少しそっけないというか・・・怒ってる?

何か気に障ることでもしただろうか?昨日細田さんの胸の感触を堪能したことについては御咎めなしと俺は考えている。

と言うことはあれか?全裸宣言がいけなかったのか?それとも本当にスッポンポンで歩いたことか?

 よくよく考えなくても変態だな俺。紳士と書いて変態と読むことすら出来ない位変態だ。


 昨日の晩御飯の時とは違った気まずさを感じつつ、食後は使用した食器類を軽く洗い食洗器へ投入。

テーブルの上には食後のお茶が用意されておりいただくことに。


 朝の挨拶と「いただきます」「ごちそうさま」以外細田さんが喋らない・・・

これは相当ご立腹だが、何に対して怒っているのかわからないのに兎に角「ごめんなさい」するのは俺の矜持に反する。

 一先ず何を怒っているのか聞かなくては。そう思い声を掛けようとした瞬間


「田中さん」


「はい」


 これは途中で言葉を挟んだらいけない音声だ。とりあえず細田さんの意見を聞こう。


「昨晩の奇行についてお話があります」


 おっと”奇行”ときましたか。こりゃ言いえて妙ですな。あ、はい。すいません。真面目に聴きます。

俺の色を読んだ細田さんから厳しい眼差しを受けて姿勢を正す。彼女は一度咳ばらいをしてから続ける。


「昨晩この世界の常識についてもお話ししたと思いますが、この世界の女性は基本男性に飢えています。こうして部屋に2人きりというだけでも男性の貞操が危ないくらいに。その辺りちゃんとお話ししましたよね?」


「はい伺いました。なので不用意に女性への接触はしない。自分に惚れてると勘違いさせてしまいやすいからと。基本女性の方が力が強く、襲われると僕のようなもやしっ子は抵抗出来ないまま凌辱の限りをつくされるとも」


「そ、そこまでは言ってませんが概ね正解です」


 おし、ちゃんと話を聞いておいてよかった。これでこの話も


「では、なぜ昨日の行動に至ったのか伺っても?」


 終わる訳ないですよね?それに細田さんに嘘は通じないので正直に答えよう。


「細田さんをからかうつもりが逆にからかわれてしまったが故の行為です。後悔はしていません」


 嘘偽りない俺の言葉に絶句する彼女に更に俺は本心を告げる。


「基本僕って負けず嫌いなんですよ。なので些細なことでもこう・・・なんと言いますか、対抗心?のようなものがひょっこり顔を出すと言いますか・・・まあそんな感じです」


 目の前でテーブルに肘をつき頭を抱える細田さん。「そんなことで・・・私の昨日の我慢は一体・・・」と呟いている。ここはそっとしてお・・・・・・く訳もなく


「昨日なにを我慢したんですか?」


 勿論拾う。細田さんも「えっ、今の拾う!?」と驚いている。

最後まで諦めずにボールを追う系主人公に俺はなりたい。そんな俺が絶好の球を見逃す筈がないのだ。


「で、何を我慢したんですか?」


 再度の問いに顔を赤くする細田さん。どう説明しようか悩んでいるみたいなので助け舟を出してあげよう。


「もしかして自ぃ「あーああーあーあー」」


 折角こっちが完璧なパスを出してあげようと思ったのに、まさか味方に邪魔されるとは思ってもみなかった。仕方がないので再びパスを出すことに。今度のパスは相手の足元に優しいパスだ。さっきのはダイビングヘッドを要求したようなものだからな。


「それってそんなに恥ずかしいことですか?それに我慢出来たんですよね?」


 相手の心情に一旦共感しておくことで、警戒心を少し下げる。


「・・・え、ええ。これでも特務隊の隊長を任されてる身。一々ああいった事に反応していたら仕事になりませんし」


「成程成程。さすが隊長さんと言ったところですね。これなら僕も安心してこれからも警護を細田さんに任せられるという訳だ。よかったよかった、さてこれでこの話は終わりですね」


 こちらの提案にホッとした様子。やはり彼女は感情を読むことばかりしてきた所為か、読まれることに慣れてない模様。ちょっと悪戯心が顔を出したのでそのまま聞いてみた。










「でも、声が部屋から漏れてましたよ?」

「嘘っ?」

「嘘です」





 その後部屋に逃げ込んだ細田さんを説得するのにかなりの時間が掛かった。

決め手はお昼のカレーうどん。「早く食べないとうどんが伸びちゃいますよ?」これは便利だ。


 

 


 

 

いつの間にか休みも半分消化。特に何かをした記憶もないので猫カフェ行ってきます。

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