絶えず不屈の雷使い
大切な人を護る為、異なる手段を採った兄妹が織り成す、心にほんのり沁みるファンタジー。
そこは曇天に覆われた極寒の世界。
雷雲が世界を覆い尽くすそこは昼夜問わず外気温は氷点下でとても人々が暮らせる環境ではなかった。そこで人々は永久凍土の遥か地底の奥底に文明を発展させていった。世界を覆う雷雲から雷のみを抽出し日常生活に転用する術――戻換術の発明によって。
そんな中、ホムスィン家の次女フェーラが街の存続に欠かせない踊姫《ようき》に選出されたのだった。戻換術に不可欠な雷の力――雷力を一手に制御し街へと供給する役割を担うそれは氷点下三十度の世界で四時間近く舞踊るという極めて危険が伴う任で、舞踊ると同時に発生する副産物――獣寄臭、に群がる異色眼獣《スヴェーリ》と呼ばれる獣達に命を狙われるのだった。
そんな踊姫を護ることを目的として考え出されたのが盾護姫《シート》である。
フェーラの踊姫就任を前に盾護姫となる決意をする兄イヴァン。やがてイヴァンは現踊姫の盾護姫を相手に実力を認めさせることに成功し、晴れて次代の踊姫、盾護姫となったフェーラとイヴァンであった。
フェーラが踊姫となって約一ヶ月が経過する頃、雷雲を利用した遠距離通信システムによる定例の協議――獣寄臭対策協議、が行われていた。しかし、協議完了直後、そこに割って入った音声がフェーラの心を揺さぶるのだった。なぜなら、その音声は〝フェーラ″と呼び掛けており声音は悲痛に満ちていた。フェーラは八年前、街の近くの遺跡で眠っているのを発見されホムスィン家に引き取られたのだ。そういった背景もあり、音声の主は実の母親との推測が容易にたったのだ。それゆえにフェーラは次第に母親への想いを募らせ逢いたいと思うようになってゆく。
そんな折り、フェーラとイヴァンの前にクラスと名乗る謎の男達が現れ、ホムスィン家だけが知るフェーラの秘密を強引に暴き連れて行こうとする。だが、それを黙って見過ごすまいと彼らの前に立ちはだかるイヴァン。しかし得体の知れない能力《ちから》の前にイヴァンの戻換術を以てしても、地面に這いつくばる事となった。
やがて、男達はフェーラに一週間の猶予を与え去ってゆく。そして、その三日後、フェーラは悩みに悩んだ末、置手紙一つ残して男達の元へ行くのだった。
果たしてイヴァンはフェーラを無事連れ戻すことができるのだろうか。
そこは曇天に覆われた極寒の世界。
雷雲が世界を覆い尽くすそこは昼夜問わず外気温は氷点下でとても人々が暮らせる環境ではなかった。そこで人々は永久凍土の遥か地底の奥底に文明を発展させていった。世界を覆う雷雲から雷のみを抽出し日常生活に転用する術――戻換術の発明によって。
そんな中、ホムスィン家の次女フェーラが街の存続に欠かせない踊姫《ようき》に選出されたのだった。戻換術に不可欠な雷の力――雷力を一手に制御し街へと供給する役割を担うそれは氷点下三十度の世界で四時間近く舞踊るという極めて危険が伴う任で、舞踊ると同時に発生する副産物――獣寄臭、に群がる異色眼獣《スヴェーリ》と呼ばれる獣達に命を狙われるのだった。
そんな踊姫を護ることを目的として考え出されたのが盾護姫《シート》である。
フェーラの踊姫就任を前に盾護姫となる決意をする兄イヴァン。やがてイヴァンは現踊姫の盾護姫を相手に実力を認めさせることに成功し、晴れて次代の踊姫、盾護姫となったフェーラとイヴァンであった。
フェーラが踊姫となって約一ヶ月が経過する頃、雷雲を利用した遠距離通信システムによる定例の協議――獣寄臭対策協議、が行われていた。しかし、協議完了直後、そこに割って入った音声がフェーラの心を揺さぶるのだった。なぜなら、その音声は〝フェーラ″と呼び掛けており声音は悲痛に満ちていた。フェーラは八年前、街の近くの遺跡で眠っているのを発見されホムスィン家に引き取られたのだ。そういった背景もあり、音声の主は実の母親との推測が容易にたったのだ。それゆえにフェーラは次第に母親への想いを募らせ逢いたいと思うようになってゆく。
そんな折り、フェーラとイヴァンの前にクラスと名乗る謎の男達が現れ、ホムスィン家だけが知るフェーラの秘密を強引に暴き連れて行こうとする。だが、それを黙って見過ごすまいと彼らの前に立ちはだかるイヴァン。しかし得体の知れない能力《ちから》の前にイヴァンの戻換術を以てしても、地面に這いつくばる事となった。
やがて、男達はフェーラに一週間の猶予を与え去ってゆく。そして、その三日後、フェーラは悩みに悩んだ末、置手紙一つ残して男達の元へ行くのだった。
果たしてイヴァンはフェーラを無事連れ戻すことができるのだろうか。
踊姫と盾護姫と戻換術と・・・
2018/05/06 14:47