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絶欲モンスター  作者: ジラフ
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試運転


聖堂内部 修練場


ここは教会の戦力となる僧兵や聖騎士を育成するための場所だった。しかし個人の武勇の格差が果てしないこの世界において群の強さが重要視されることはなくなってしまいひたすらに広いこの空間はもっぱら暇を持て余した者たちのストレス発散場と化していた。

しかし作り自体は頑丈でありなんなら一撃なら魔王の攻撃だって防いでしまえるような防御術式が張ってあったりもする。



というのが騎士団長の説明だ。そしてお前騎士団長名乗ってんのにお前の騎士団お前しかいねえじゃねえかインチキが。


「さあさあ、新しいもんができたなら使ってみないともったいないよな?」


「いえそんなことはしなくても……」

下手なことしてお前に目つけられんの嫌なんですけど。


「よく分からんその装備を使って見せてくれよ。な?」


「これはそんな面白がるようなものではありません」


「それを決めるのは俺だ。いいから見せてくれよ」


あ、これあれだわ。いいえを選ぶ限り話が進まないやつ。めんどくせえなあ。


「一度だけですよ?」

まあ、正直このスイッチ押してみたかったのは認めよう。


「これが聖者様の……」


「紅蓮の聖者様のものですからきっと素晴らしいものが……」


生命倫理破壊装置と永久拷問器具持ってる人がなんか言ってるけど無視しよう。たしか使う時には……詠唱要るのか……もっと手軽に発動させろよ……。


「私は力を憎むもの、私は矛を(とど)めるもの、全ては無害であれ、全ては暖かく優しくあれ、平和創世爆弾(ピースメーカー)」カチッ☆


閃光が空間を満たした。眩しいなこれ。


「目があああああああ!?」


うるさいのは無視するが、たぶんこれはこの修練場全体を覆ったってことだろう。でもってこの状態で誰かが攻撃しようとするとエネルギーが吸われるって話だったが。


「あれ……力が入らねえな……どうなってんだこれ」バタリ


お前……俺を斬るつもりだったのか……そんなことだろうと思ってたけどな。力吸われて倒れてやんのざまあ!


「これが私の装備です。この空間内においてどんな暴力も振るわれません、振るおうとしたものは力を奪われるのです」


「俺は……とっさに身構えただけなんだが……?」


「武力行使をする意思を持った時点で吸われるのでしょう。ダメですよすぐに暴力を使おうとしては」


「お前……ほんとに聖人なんだな……見くびってた……すまん」


ふははは!!なんだろうこの愉悦、強い奴が這いつくばって戦えないはずの俺が見下ろすこの構図はなんとも言えないなぁ!


「はぁ……!」


「なんて神々しい……!」


んん?なんか聖女どもの様子がおかしい。


「何言ってんのよ、自分の姿を見てみなさいな」


何言ってんだ、この装備には変身機能なんてあれぇ?なんか純白の衣になってなーい?そしてたぶん後光みたいな形のやつが背後に展開されている……。


「これは一体……?」


あ?なんか紙が降ってきた。


なになに、『サービスで演出機能付けといたっす』だと?


余計なことしやがって……。


「所詮は姿形など飾りに過ぎません、そのようなものに惑わされてはいけませんよ」


「はひ……!」


「わかり……ました……!」


だめだこいつら、目が焦点合ってねえよ。


「あ、まずいな。後輩が来る」


あん?後輩?なんだそれ


「先代の勇者だったやつがこっちに向かってる。」


えー、勘弁してくれよ。勇者とのコネなんていらねえ。俺はさっさと情報もらって面倒ごとを終わらせたいんだ。


「あ、来た」


どこだよ、影も形も見えないが……。


「妙な力を感じたので来てみたら……無様じゃなあ先代」


声だけ聞こえる系止めてくんねえか、反応に困る


「うるせえ、お前は殺意関係なく動けるから大丈夫だろうけどなあ。こちとら身構えたら殺意もセットで出ちまうんだよ」


「なに、これでも力の先代。技のワシで通っておるのでな。これくらいは造作もない。それに流石にここではワシも何かを殺そうとしても無理だろうよ。動くための力が片っ端から吸われてしまうでな」


「お前でも無理かやっぱり」


「無理じゃ、それこそ一つの世界を壊す勢いで外部から攻撃せん限りはな」


「あの、誰と喋っているのでしょうか、先代の勇者様とも是非お目通り願いたいのですが」

話すなら顔くらい見せやがれ、それが礼儀だろうが。


「これは失礼、聖者殿に隠れたままでは不敬じゃったな」


何だあれ、浮かび上がるみたいに人が出てきやがった。なに保護色なの?しかも女か、和服着た黒髪の鬼ってお前……あざといな。幸い露出は多くないし和服が似合う(オブラート)体つきだからリビドーセンサーには引っかからなくて良い点だけは評価しよう。


「ワシは先代勇者をやっておった者じゃ。名前は勇者になった時に捨てておるゆえ好きに呼んでくれい」


「分かりました、それでは先代様と」


「それはそこの騎士団長をワシが呼ぶときに使うからややこしいな……他に何かないか。」


注文の多い奴だ、山猫のいる料理屋に突っ込むぞ。


「そうだな……ワシは剣聖とも呼ばれておるからそう呼ぶと良い」


はじめからそれを言え


「分かりました剣聖様と」


「うむ、それで良い。それでワシがここに来た理由は異常に気づいたからだけじゃなくてな」


唐突だなお前


「聖者殿、どうかワシをこの度の試練に同行させてはくれまいか」





















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