咎人+
「待ちなさい」
その声の主は空中に立っていた
「なっ!?」
薄水色の髪を持つ少女だった
あと全裸だった
「うっ!?」
俺の内側でリビドーが燃え盛る前世でも感じたことのない圧倒的欲情
それは俺の意識を苛むが体は全く反応しない
内と外でここまで違うか
「そんな格好では風邪をひいてしまいます」
早く服を着てくれ俺が擦り切れる前に
「あなた、やっぱり優しいのね。分かったわ精霊は風邪なんてひかないけど着てあげる」
クスリと笑ってから少女は衣服を身に纏う少し落ち着きが戻ってきた
「あなたはだれですか?」
「私はクリア。聖の精霊クリアよ」
「良い名前ですね」
「私は貴方がここにきてからずっと見ていた。飲まず食べず殺さず、気が狂うほどに辛いでしょうに口からは感謝の言葉を紡ぐ。」
はたからみればそうだろうな
ご想像通り死ぬほどキツイよ
むしろ死にたい
さっきのやつが逃げちまったからこいつが俺を殺してくれねえかな
「そんな大層なことはしておりません。この身は誰かの糧になる為あるのです。さあ、私を糧にしてください」
殺してくれ
はやく、ころしてくれよ
「嫌よ。私は貴方が気に入ったの。聖人の如きモンスターなんて面白いじゃない」
「私を糧にしてください」
殺してくれよ
「絶対に嫌。私が見えるような聖性を持っている存在を殺すことはできないわ」
「ああ、神よ……」
殺されることもできないのか……
「代わりに契約しましょう?」
「あなた御心のままに」
好きにやってくれ、俺はもう動かない
植物のように生きてやる。たぶん無理だと思うけどな
「それじゃあ、遠慮なく」
クリアが俺に近づいてくる
そして手の甲にキスをした
『情報が更新されました。開示します』
※※※
聖の大精霊クリアとの契約により【聖】属性を獲得しました
特殊条件を満たしたので進化が行えます
現在クラス E- 咎人
進化先 E 咎人+
S ブッダ
S クリスト
S ムハン
※※※
「は?」
なんかすげえ名前が並びすぎだろ一瞬で諦めが消えたわ
救世主にでもなれっていうのか…
※※※
咎人+
Eランク
神の温情を受け飢餓の苦しみが少しだけ緩和される
ブッダ
Sランク
衆生を救う慈悲の権現
救いという概念となる
クリスト
Sランク
虐げられし物を救う博愛の具現
神の愛という概念となる
ムハン
Sランク
威光を以って全てを明るく照らす希望の具現
希望という概念となる
※※※
ちくしょう……何が愉しくて他人を救わにゃならんのだ
それに俺は概念になる気はねえ……
咎人+しかねえだろうが
※※※
咎人+を選択
余ったリソースをスキルに還元します
以下から二つ選んでください
【救世主】
救いに対する絶対的な補正を得る
迫害確率も上がる
【菩薩】
精神力が天元突破する
煩悩が消え去る
【偉大なる魂】
あらゆる存在に通用する威圧感を放つ
神の如き威光
【聖人】
【聖】属性の適正が大幅上昇
堕落した場合剥奪
【悟り】
真理を理解する
煩悩が消え去る
【聖戦】
敵を悪と定義することで世界からの支援を得る
【豪運】
運がすごく良くなる
【始まりの言葉】
言語に関する完全習得。言葉による影響力が増大する。あらゆるものと意思疎通が可能
注)
【救世主】 【菩薩】 【聖人】 【悟り】
【聖戦】【偉大なる魂】を取得した場合自我の変成が行われます
※※※
……………俺は俺のままがいいよ、考えるのがめんどくさい。もう【豪運】と【始まりの言葉】で良いや
『了承。【豪運】と【始まりの言葉】を習得』
余剰リソースを使用して能力の向上を行います
※※※
今回のリソースは特殊なため【聖】属性の能力上昇以外は不可能です
【聖】属性適正
【聖】属性耐性
【聖】属性付与
以上が上限まで上昇可能となります
デメリットはありません
※※※
じゃあ上げれるところまで上げればいいじゃないか
『了承』
※※※
【聖】属性を一定以上習得しましたので条件を満たしました
拘束衣【神の戒め】が
聖骸布【恩寵】へと進化します
拘束具【神罰鎖】が
聖鎖【天鎖】へと進化します
拘束具【飢餓】が
聖具【天啓】へと進化します
加えて一時的に【使徒】としての力を振るうことができます
※※※
これは……俺Tueeeeができる?
ただの地獄じゃ無くなるのか?
良いのかそんなことになって……本当に良いのか
やっぱり俺は勝ち組ぃ!!
※※※
なお、創造主の許可があった時のみこれらの力を使うことができます
※※※
地獄でした
結局運が良くなって少しだけ負担が軽くなっただけかよ
まあでも、死にたいとはあんまり思わねえな現状
「どうかしら?私実は大精霊だから強くなったんじゃない?」
『戦闘力の向上は約5パーセントです』
「自分でも驚くほどに力が溢れてきます」
変わんねえよ
「そうでしょそうでしょ!じゃあこれからよろしくね」
ん?
「これから?」
「契約って言ったでしょう?貴方が死ぬまで私は一緒よ?」
「心強いです。よろしくお願いします」
本当にやめてください
「えーと……貴方の名前は?」
「ロートです」
「分かった。ロートと私は一連托生よ!」
勘弁してください……