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誕生日の魔術 ep1-2

少しずつですが、更新していきます。どんなことでもいいので、感想やコメントなど、お待ちしています。


 あれは昨日のことだった。六時間の退屈な授業が終わった後、その鬱憤を晴らすため、友達を誘ってどこかでお茶をして行こうかと思っていた。そのときだったと思う。


「けーい、ヒマ? どっか寄っていかない?」


 声をかけてくれたのは私の友達、志岐和美だった。前の学年から同じクラスで今も仲良くしている。制服のスカートは一切短くなってない。大きく開かれた瞳が印象的で、髪はざっくばらんにショートでそろえられている。顔を見ると、一切の化粧けが見られない。第一印象は、地味で目立たない物静かな女の子と、見えるかもしれない。でもこの子、肌ピッチピッチなんだよね。文句が言いたいぐらいなんだけど。


「他の皆は、用事があってこれないってさ、付き合い悪いよなあ」


 和美の癖は男口調だ。和美は、実はかなり頭がよく、特に私が嫌いな理系科目が得意らしい。こういう子の特徴としては、勉強が出来て無駄に地味なら、物静かと相場が決まっていそうだが、和美は違う。口が悪い、と言う点で違う。なぜかその男口調と地味のギャップが妙に同学年の異性からうけている。


「丁度良かった。私も誰か誘って、遊びに行きたいなって思ってたんだ」


「あ、でも。ケイ、部活は? 社分会があるんじゃないの」


「今日先生がいないから、部活はないの。なんだか次の授業のために、教材研究しなければならないとか、言ってた」


「数字の? 珍しいね」


 数字とは、難波崇司の渾名だ。社会の授業中に必ず理数系の小ネタを挟むことから、「崇司=すうじ=数字」となっているらしい。よくもまあ考えたものだなと思う。


「ギャグでも考えてるんじゃないの? 極寒ギャグ。今日だって聞いた? 授業中にさ、ついていけない子に対しての一言。『みんなで一緒に協力してやれば、必ず伸びる。だってそれは強力だから』だってさ。最初みんな、ギャグいっているのかわからなかったから、あいつもう一度言ったじゃん『協力することは強力だ』って。誰も笑わなかったし、逆に場が凍りついたよね。あの極寒ギャグで」


 にこり、と切れ味がある笑顔をして、嬉しそうに和美が笑った。

 極寒ギャグ、という的を射た言葉に、私も賛同した。


「そうそう、だからクラスの人が『ここは北極か』なんてツッコミを入れて、みんな苦笑してたよね。クラスのフォローがないと、言われた人が逆にかわいそう」


「あれは私も、嫌だわ」


 片手を振って渋い嫌な顔をした。


「でも、先生はあれで面白いと思っているみたい。ここだけの話だけど、自分で笑わせていると思っているみたい。自分の力だって、過信してるみたい。しかも、一生懸命ノートに笑わせるネタを書いているのよ?」


「本当?! それは笑える! それ、ケイは見たの?」


「ううん、見たことは無いけど、部活中に一心不乱に何か書いているのは、見たことがあるよ」


「絶対、そんな数字の姿、思いつかない」


「あ、でも先生の考えている一生懸命な姿、結構、かっこい……」




『木頼君、そこのところは語る必要があるのかい?』


 え。だめですか? もっと、核心部分から話してほしい、といわれても。だから、君は論理的な考え方が出来ない? それはひどいです。分かりやすく説明しようとしていただけです。

 はいはい。分かりました。そんなにいうなら、飛ばしますよ。せっかくの読者サービスなのに。もしかして、怒ってます? だって眉毛がつりあがってますよ。残念です。もう少し、詳しく話したかったのに。


『ところで、読者サービスとは何のことだい?』


 ……

 答えるのが面倒臭いので、後で答えますね。話の路線を元に戻します、いいですか。

 私たちは学校を出て、帰り道、商店街方面へ行きました。国府里商店街です。知っているとは思いますが、駅に行くにはどうしても商店街を通らなくてはいけません……。



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