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終わらない世界。

作者: 維角

※研究のために使用しているアカウントです。作品に感想を入れてくださると嬉しいです。宜しくお願い致します。


維角さんによる作品です。

 少女はブランコに揺られながら、考えていた。

 終わらない世界があったなら。今の時間が永遠に続く、そんな世界があったなら。

 きっと、家族は今と変わらず、元気に過ごす事が出来るだろう。友と別れる事も、親から離れて独り立ちする事も、老いて行く事も、死んでもしまう事も。今という時間を一生過ごせるだろう。

 しかし、今病気に苦しんでいる人は永遠に苦しむ事になり、死にたいと願う者は死ぬ事が出来ずに苦しみ続ける事になる。

 同じ時間が、永遠に続き終わらないというのも、必ず良い事とは限らない。

 しかしそれでも少女は、終わらない世界へ行きたいと願っていた。家族や仲の良い人々と、一生終わらない世界を過ごしたい。例え、別の誰かが一生苦しむ事になってしまおうと。自分が幸せなら、それで良いのだ。

 そんな彼女の元へ、誰かが話しかけた。

『君は、どんな世界へ行きたい?』

 急に聞こえて来た声に、少女は驚いた。後ろを振り向くが、誰もいない。

『君は、どんな世界へ行きたいの?』

 彼女は、この声はきっと神の使いだろうと思い、自分の願いを云う事にした。

「終わらない世界に行きたい」

 少女は鋭い目つきで呟いた。

『終わらない世界か。そうだね、行こうか』

 見えない誰かは、少女に目隠しをした。少女の見ている世界は、真っ暗だった。目隠しをされているせいだ。

『目隠しを外したら、君は終わらない世界にいる。さあ、どうだい?』

 少女は終わらない世界にいた。永遠に終わる事ない世界に。

 世界の時間は止まっていた。飛んでいた鳥は空中で固まり、歩いていた人々も、二酸化炭素を排出していた車も、世界の何もかもが動きを止めた。時計の秒針が進む事はない。

『終わらない世界へ、ようこそ』

 その声は、少女に届かない。


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