二日目の朝
――キミと二人の世界にしてって、神様に頼んだって言ったら……私を許さない?
◆◆◆
【二日目】
僕は誰かに呼ばれるような声がして目が覚めた。
部屋から差し込んだ朝陽が眩しい。朝陽に目がなれてくると見慣れた天井が目に入った。
完全には覚醒しきれない僕の意識に世界から人がいなくなった記憶があるが、それが夢なのか本当にあったことかはまだ判断できずにぼやけていた。
数秒か、十数秒という時を使って、やはり世界から人がいなくなったことを思い出す。
ベッドの脇に妹のパジャマを着た布瀬が座っていたからだ。
「布瀬……」
もし世界が普通だったら、美少女と誰にでも思われるだろう布瀬が僕のような男子を起こして、 その様子を見つめているわけがない。
世界から人が消えたのは夢ではなかった。
念の為に頬をつねってみる。力を入れた分だけ痛みを感じる。
痛みもあるし、本当に頬をつねった夢も僕は未だに見たことがない。少なくとも夢であることを疑う必要はないようだ。
「おはよう。なにしてるの?」
彼女の朝の挨拶と疑問を無視して、僕は気になったことを聞いた。部屋というのはプライベートな空間だ。
「どうして僕の部屋に?」
「もし鈴木くんが……もし消えていたらと思うと怖くて。寝ていてくれてよかった」
意外だった。布瀬がそんなことを怖がるなんて。
でも考えてみれば当然かもしれない。
僕らはお互いにただ一人、消え残った人間なのだ。
「そっか。いるよ。おはよ」
「うん」
なるべく優しい声で朝の挨拶をすると布瀬は少し笑った。
僕が消えることを恐れてくれるのは、とりあえずのパートナーとして信用されている気がして少し嬉かった。
「支度しようよ」
布瀬が出かける支度をしろと促す。その声は心地よかったけど、まだ眠かったので恨み言のような返しをした。
「学校、本当に行くのか。でもその前に人がいなくなったことを調べるって約束だぞ」
「覚えているよ。調べに行こう」
なんと。ついに布瀬は積極的にこの状況を調べることにしたらしい。
「だから先に調べるために早く起こしたんじゃない」
布瀬が掛け時計を指差す。そういえば5時に起きるって話だったっけ。やっぱりは早すぎだよ。
「もう少し寝かせてよ」
「ダメよ。起きて」
気持ちが通じた気がしていたのに。
人と人がわかり合うことは残念ながらとても難しいらしい。
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