表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

実験・視覚

 翌日、朝。

 今回は科学室ではなく俺の家である。

「起きてくださーい」

 大きく揺らされて目を開ける。

「起きましたか? 九時です」

 目を擦って目覚まし時計を見る。

「九時……」

 呟くと同時に目覚まし時計が鳴る。今が九時じゃねぇか。

「お前はせっかちだな」

「数分の差です」

 彼女は膨らませた頬を元に戻して「それで、今日の実験は?」と目を輝かせる。

「今日の実験は……遊びにいく」

「え?」

 まあ驚くのも無理無いだろう。

 さて、どう説明したものか……

 俺は少し考えて口を開く

「テーマパークにいく、そこでお前の体がどの程度俺と同じなのかを確かめる」

「と、いいますと?」

「風に対する耐性や触れ方、体感温度などもついでに調べておこうか」

「あ、熱いとかは感じますよ」

「そうか……」

 昨日の言動から匂いや味、五感は大体機能している事は予測済みだ。

 まあ、それはいい。

「とりあえずいこう……嫌ならば別の方法を探すが」

 彼女は目をより輝かせて前のめりに

「行きます!」

 と、声を弾ませた。

 移動、テーマパーク。

「はい、どうぞ入場してください」

 スタッフからパスを返してもらい入場する。やはり彼女の姿は俺しか見えていないようだ。

「何処に行きます?」

「そうだな……」

 待ち時間などは少し考えなければならないかもしれないが、混雑したテーマパーク内で空中に普通に話しても誰も気にかけない。

「好きなアトラクションとか無いか?」

「えと、どんなアトラクションがあるのかは分かるんですけど……乗った記憶は無くて……」

「そうか、なら西エリアでも行こうか」

「あ、私あれ乗りたいです!」

 彼女が指差したのはスパイダー男の3Dアトラクションだ。俺も中々気に入っている。

「まあ、あれなら大丈夫だろう」

 ジェットコースターのように高い所から落ちる事は無いだろう。痛覚はまだ試して無いから危険は避けておきたい。

「とりあえずいきましょう!」

 笑顔の彼女に手を引かれて、俺は列に並んだ。

スパイダー男から出てきた彼女は目を丸くしていた。

「び、びっくりしました」

「そんなにか?」

 確かに3Dの迫力は凄かったが……

「だってベルト無しですよ!」

「ああ、そうだったな」

 彼女は皆には見えないので先頭近くにある椅子の無いスペースで体験していた。そこそこ揺れたし確かに驚くかもしれない。

 因みに3Dメガネはこっそり拝借しておいた。……ちゃんと返したさ。

「次は何に乗りましょうか!」

「ちょっとまて」

 俺はいつものレポート用紙の代わりにスマートフォンを取り出して記録する。

『3Dメガネなど、物を通した時の視覚にも対応している』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ