二節 ソウサク
~王宮にて~
「大変です魔王様!モモ姫が行方不明です!」
その声と共に、王宮内に緊張が走る。
最初に反応したのはモモの母で魔王…ナゴミ=デアイダル。
「ちゃんと見張っていなかったのか?…って何で私が魔王様役なの!?本当に何で!!?ていうか、私の名前デアイダルかよ!!」
「お…落ち着いて下さい青梅さん…じゃなかった魔王様!」
「落ち着けるかよ!魔王って何すればいいの?台本薄っぺらいし不安すぎるよ!!」
[そんなに嫌なら代役いるよー?]
「え、花子…あれ、あんた役あったっけ?」
[無いけどwwwちょっとやり直してみようか]
take2
~王宮にて~
「大変です魔王様!モモ姫が行方不明です!」
その声と共に、王宮内に緊張が走る。
最初に反応したのはモモの母で魔王…ラン=デアイダル。
「はい、新穂さん!チタンの酸化の化学反応式を書いて下さい」
「え、えーとCH2…あれ?ブタンでしたっけ?チタン…IVですから酸化させて…二酸化…?三酸化…?」
「ちょっと待った!先生何授業やってるの!?春雨は本当に授業のときにちゃんと受けてないのにノリノリだし!」
[どうしたの配役無しさん]
「いや…もういいや…私がやります」
take3
~王宮にて~
「大変です魔王様!モモ姫が行方不明です!」
…その声と共に、王宮内に緊張が走る。
最初に反応したのはモモの母で魔王…ナゴミ=デアイダル。
「ちゃんと見張っていなかったのか?今度から気を付けるように」
「すみません…」
「でも大丈夫あの人もう星だし」
「…え?まさか殺されたんですか?」
「…あ。大丈夫あの人ひょっこり帰って来れるから」
「…そ、そうですか僕の心配しすぎでしたかね」
ハルが少しほっとした表情になる。
「出来ればあの日も心配して欲しかったけど」
「……」
ナゴミはしばらく考え込んで、こう告げた。
「明日の12時以内に帰って来なかったら捜索開始。えーと…ポ、ポキポキ隊?何やってんのあいつ…そいつらに捜してもらう」
「ポキポキ隊ですね!了解しました。ポキポキ隊長ヒナタ=アンリーフに伝達しておきます!」
「あー…あとそのときにはちゃんと仕事するようにと伝えること」
「え?…あ、はい了解いたしました…?」
待つこと約28時間。
モモ=デアイダルは帰って来なかった。
更に7時間後、午前7時――…
~訓練生ルーム~
ハルが向かった部屋にいるのは、言うまでもなくポキポキ隊長ヒナタ=アンリーフ…
「ん?どした?はるさ…ハル」
「え?キクノ?」
ではなくキクノ=タテシナだった。ヒナタはなんかの理由でいない。何でだよ
「…それでキクノさん、あなたの隊でモモ=デアイダル姫を捜索するようにと魔王様より御司令です」
「いや…まさか…!ポキポキ隊についに仕事が来たのか!ポキポキを知らないクズを捜せばいいんだな!じゃあ手柄はモモにハイドローポンプだよな?!!」
「なるほどいいですね!見付かったら僕もやりたいです!」
「まじか!速く見つけようぜ!」
「おいちょっと待てよ脱線すんな、歯二詰マル クズ菓子チーズ味」
「グスッ…そのあだ名やめろ…」
「じゃあなんだ、きくのんとかが良いのかよ空気糞悪餓鬼」
「グスッ…読めねえ…」
キクノに悪口ばかり言う彼は、ハクヤ=タテシナ。キクノの兄だ。
実は強いなどという噂もあるにはあったが、嘘か真か。確認する術はないから噂のままなのだが。
なにせこのやる気の無さ、眠たそうな半目。必ずどこかのパーツがパジャマというのもそのだらしなさを表している。
確認しようにも本人がどうやっても本気を出そうとしないのではどうにもならない。永遠の謎だろう。
「ポキポキ買ってきたー…あれービャクヤだーなにやってるのー?」
窓から飛んで入ってきたこいつこそがヒナタ。収納に収まりきらないポキポキを抱えて部屋に入ってきた。
「…珍しく名前合ってると思ったけど合ってないねー」
「あ、ヒナタさんおかえりなさい。その…ハクヤさんがどうしたんですか?」
「ハクノ?あーそうそうそんな名前だったーあひゃ。じゃあビャクトーちょっとこれ冷凍してー」
「早速違うし…あ、それでヒナタさん!あなた達、ポキポキ隊でモモ=デアイダル姫を捜索して下さい!!」
「あひゃー」
「それ返事なんですか!?わかりづらいですよ~!」
「あっひゃーあっひゃーあっひゃーあっひゃー…」
「…え?ちょっと…」
「あっひゃーあひゃあひゃあひっひゃーーあーあっひゃーひゃーーやーああっひゃー…」
「ど…どうしたんですかヒナタさん!!大丈夫ですかー!?緊急手当しましょう!!保健室行きましょうね!行きましょうね!?」
こうしてモモ=デアイダルの捜索が始まった(?)。