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花のはなし

 六月。

 今年も父がくれた花が咲いた。


「ネジバナ」という、ヒョロヒョロ伸ばした茎にピンクと白の混ざった小さな花をらせん状に咲かせる変わった草だ。

 父は山野草が好きで育てていたのだが、ある日こちらが「くれ」とも言っていないのに鉢を持たされたのだ。

黄色い木香薔薇と一緒に。


 ろくに世話もしていないのに、どちらももう16年も生きている。

 水をやり、たまに肥料をやり、大きくなったら植え替え、台風の時に引っ込めるくらいしかしていないのに。

 聞くことはなかったが、父は私がめんどくさがることはわかっていたので、手をかけなくても大丈夫なものを寄越したんだろう。


 花を見ると、父を思い出す。

 命日は思い出さないこともあるのに。

 だから私に花を持たせたんだろうかとも思ったが、これをもらったときは病に倒れる何年も前だからさすがに違うだろう。

 当時は面倒にしか思わなかったが、もらってよかったのかも、と今は思う。

 面倒だけど。


 それだけの話。

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