05 フリカッセとスカラベと識別
草原を駆け抜け始まりの都市に入ろうとした時だった。
「止まれぇい、何人たりとも血塗れでこの都市に入ることはまかりならぬ。」
衛兵である。
「まずはこちらの禊どころで血を落とし、貴様の功罪を確認せねばならぬ。おい、こいつを連れていけ。」
突然衛兵に連れられて、都市から僅かにそれたところに連れていかれた。なにやら川と、それに付随する建物が見えてきた。
「この者、血塗れで都市に入ろうとした故、連れてきたものである。」
「この川におられます土地神様、この者の穢れを落とし、この者の功罪をお告げくださいませ」
よく見ると祈る神官風の男はフリカッセであった。
突然川から光が溢れ出し、この服や体に付着していた血を包みこんで、消え去っていった。
「お告げが来ました。この者は行商人の通行の妨げとなっていた野犬の駆除をしていた、と。ただあと少し来るのが遅ければ、その野犬の血により呪詛をかけられていた、とも」
「呪詛、それは一体なんだ?教えてくれ」
フリカッセに聞くと、彼はこちらを見た。
「ああ、あなたでしたか、スカラベさん。呪詛とは、血や臓物といったものを使った魔法の一種です。例外なくかけられたものに対して悪い効果をもたらす性質があります。一番軽いものですと、人を不運にします。」
「不運とは?」
「我々の目では伺いしれぬ人を表す数値の一つに、幸運があるようで、その値を下げてしまうと聞きます。」
「なるほど、そうか。ところで私は新しいスキルを作るべく都市に入ろうとしたが、止められてしまってな。」
ステータス
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name: スカラベ
レベル: 15
称号: なし
物攻: 25 物耐: 25
魔攻: 25 魔耐: 25
俊敏: 25 技量: 25
生命: 25 持久: 25
魔蓄: 25 魔回: 25
魔法: 未習得
スキル: インパクトlv16
杭: 2
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「ふむ、レベル15ですか。ここでも作れますよ?神聖な場が必要なのです。先程の禊により、この場にある神聖な場が強まっています。お望みはなんですか?」
「見たものの大雑把な情報を視覚で手にいれるスキルを作りたい。」
「それは......どうでしょう、魔力の流れを見れば大抵のものは大雑把に性質を理解できます。極めれば魔力を全身で感じることができるスキルなどどうでしょうか?」
「最高だ。」
「それでは......魔力感覚というスキルでよろしいですね?0.1毎秒で魔力を消費します。効果は魔力を使って世界を感じ取る。もちろんレベルなどもわかりますよ?」
「そのようにしてくれ。ところで相談なのだが、どうにかして魔蓄の値を増やせないか?」
「魔力感覚を使いこなすことです。自らの魔力の流れを理解すれば、いくらでもいじれますよ?」
「相わかった。」
「ところで一つ聞きたいことがあるのですが、どうすれば野犬と素手で戦ってああなるのですか?」
「何、インパクトで手足をもぎ、頭を破裂させただけであのざまよ。」
「なかなかに恐ろしいことをいいますね。あなたの戦い方を知りたくなりましたよ。次に狩りに出るとき、随伴させていただいてよろしいですか?」
「別に構わん。アドバイスなどしてくれると助かるのだがな。」
「ええ、もちろん。ですが気をつけてください。あの儀式は六時間に一度しか行えないものです。それを破ったら、襲いかかる獣の分布が変化してしまいます。そしてそれは、誰も望まないことです。」
こうして私は、フリカッセを連れて狩りに行くこととなった。