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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【79】祝福?

 改変オルターを無事成功させ、元気になった紡祈つむぎ様の私室で対面を果たしたものの、その日はさすがに長居するという訳にもいかず、俺たちはすぐおいとますることとなった。


 紡祈様はあのあと検査とか色々あるみたいで、現れた世話係っぽい人と話しつつ嫌そうな顔してた。橘川課長は穏やかな表情でそれを見てた。そんなことが出来るのも命あればこそ。色々感無量なんだろ。


 別れ際、またの再会を約束させられてあの場を後にした。つっても俺の意思でそんなこと決められるわけもなく、全ては橘川課長の意向次第だ。紡祈様には申し訳ないけど、ぶっちゃけ俺はどうなろうとあまり気にはならない。


 なるようになるだろ。


 いや、どっちかというともうこれっきりでもいいかな? とまで思う。めんどくさいし。


 俺は今回、紡祈様を『禍根溜かこんりゅう』という病魔というか呪いみたいなものから無事お救いして差し上げた。紡祈つむぎ様の改変オルタードを完璧なまでにやり遂げた俺は自慢していいと思う。


 けど、残念なことにいくら頑張ったところで誰にも自慢できない。なんとも虚しくてやりがいのない話だわ。


 ま、別に自慢したくてやったわけじゃないけど。


 とは言え、私室での短い会話の中でも紡祈様はお礼してくれるって言ってたし、『暖かき存在』だってなんか頭痛と共に思わせぶりなこと告げてくれてたし……自慢は出来ないけどそれなりの見返りは期待していいのかね?


 期待せずに待っていようと思う。



***



「結局さ、紡祈様ってなんなの?」


 堅苦しい場所から解放された俺たちは、慰労会を兼ねていつものコーヒーショップでだべってる。


 相手はもちろん瑛莉華えりかさんである。あの場のあの状況ではなかなか聞きにくかった。


「ふふっ、確かにわかりくかったですね。詳しいことはわからないけど、かんなぎとか当代の斎姫いつきひめって肩書から、やんごとないご身分の方ってことはなんとなくわかるでしょ?」


「そりゃまあ、なんとなく。言葉の意味はともかく、すげえとこに住んでるし、高級官僚の橘川課長があんな態度だし……。でもそれはこの際どうでもいい。俺が知りたいのは力の方」


 能力者の存在を把握出来るってのは聞いた。『暖かき存在』のことも知ってるみたい。でもこの前の小惑星の件は把握しきれてない感じだった。


「まぁそんな事細かな定義めいたものはそもそもないのだと思うけど……、しいて言えば先読みだったり、神託のようなものを告げる存在ってところでしょうか?」


「ふ~ん、先読みに神託ねぇ……。それって瑛莉華さんの未来視とどう違うの? なんか似た感じじゃん」


「今まで私が聞きかじった話からすると……、この先に良くも悪くも何かが起きるとか、どこそこの地で災いが起きるとか……、こうした方が物事がいい方向に向かうとか……そう言った長いスパンでの大まかな予見ができるってことらしいですね」


 かなり曖昧ね。漠然としてていまいち判断に困るレベルっていうか。瑛莉華さんの下位互換としか思えんわ。


「私の未来視は、ある出来事をピンポイントで日時がわかるところまで視れます。けれど見れる範囲は狭いし期間も最大でも一年でしかありません。しかも自分に関係する範囲内に限られますからね。――紡祈様は国の方向性を占うお役目を担ってるお方。そういう意味ではまさしくその能力は適材といえるのでは?」


「うう~。そ、そうなの? いや、そうなんだろなぁ」


「そうなんです。それに、能力者を見出すことに関しては身をもってそのお力を認識できたのでは?」


「ま、そっか。そう、かもね。……私、まさか小惑星のことバレるとは思わなかった。ただの引きこもりがあんなところに呼び出されるのだって、今この時だっていまだに信じられないんだけど」


 俺はしがない一般人。大それたことはしたくないし目立ちたくもない。ひっそり穏やかに、身の丈に合った暮らしが出来ればそれでいいんだけどな。


 趣味に生きてければそれでいいんだ俺は。


 で、まぁ、趣味に生きてたらこうなってしまったわけだが。趣味のイラスト投稿サイト閲覧から始まったこの理不尽かつ不条理な世界……。



 改変オルターなんて俺の身の丈からはみ出しまくる能力。正直扱いに困る。


 はぁ、もういやんなるよな。



「紡祈様……というかかんなぎという存在は確かにこの国には無くてはならないものなのでしょうけど……、佑奈ちゃん。あなたはそんな存在すらかすんでしまう力を持ってる。それはしっかり自覚しておかないといけませんね」


「うへぇ……、そんなの自覚したくない……。っていうか、それを言うなら瑛莉華さんだって!」


 あまり目立ってないし、橘川課長や紡祈様も表立って言及しないけど……、瑛莉華さんの力あってこそ俺の力は生かされたんだ。過小評価が過ぎると思う。いや、この力を評価されるってのは、ちょっと微妙だけどさ。


「ふふ……、そう、ですね」



 瑛莉華さん……、なんか表情に元気がないっていうか……弱々しいっていうか。疲れてるのかな?


 ま、色々引っ張りまわされてるし、もう若くないんだし?



「佑奈ちゃん? な~に考えてるのかな~?」


 あ、しまった。読まれた。


「私はまだ二十七歳。あ、いえ、もう二十八歳になってしまいましたけど、まだまだ二十代! 若い子には負けませんからねー」


「ぷふっ、瑛莉華さん、そのセリフがすでにおばっ、はわっ」


 伸びてきた細くしなやかな手が俺の口を見事に塞いだ。店のテーブルは小さいから余裕で届いちゃうんだよな。でもこのままやられっぱなしの俺ではない。


 ほれ、ペロリ!


「きゃっ」


 驚いた瑛莉華さんの手はあっさり引き戻された。


「もう、佑奈ちゃん。お年頃の女の子がはしたない。そんなことしちゃダメでしょ」


「ふっふ~、私もたまにはやりかえ~す!」


 瑛莉華さんにどや顔を返してやった。やるときはやる、元男なのだ。ま、やったのは手のひらをペロリと舐めただけだが。


 しょっぼ。

 そしてちょっとショッパカッタ。瑛莉華さん、それなりに緊張してたのかな。手に汗握る……てね。



 ま、最後はそんなアホなやりとりして俺は瑛莉華さんと別れた。シリアスな雰囲気は俺には長く耐えられんわ、ほんと。




***



 自分のマンションに戻ってようやくホントの意味で一息付けた俺。


 もう夜になってしまった。長い一日だったわ。


 晩ご飯、どうするか?

 しまったなぁ、瑛莉華さんと食べに行けばよかった。


 いや、瑛莉華さん、どう見ても疲れてたしなぁ。しかたない、いつもの如く宅配サービスでも頼もう。


 なんて考えスマホを手に取ろうとしたところで着信音が鳴った。思わずビクッとしてしまった。おどかさないでくれます?


「なんだなんだ?」


 ひとり言をぶつくさいいながらスマホをのぞき込む。


 着信音は例のアプリからだった。




【Congratulations! 祝福により改変レベルを更新しました!】


◇川瀬佑奈 かわせゆうな altered


◇年齢 二十四歳


◇性別 女 altered


◇ALT_LEVEL ●●●●●


 ※_『ΣΘΘΨжφξЛ‡』の啓示に従い災禍を抑止しました。


 ※_『ΣΘΘΨжφξЛ‡』のかんなぎ禍根溜かこんりゅうからすくいました。


 ※_二つの行いをもって『ΣΘΘΨжφξЛ‡』の祝福を得ました。


 ※_改変レベルを更新します。


◇ALT_EX_LEVEL ★


 ※_改変がエクストラレベルに移行しました。


 ※_『ΣΘΘΨжφξЛ‡』の加護

   <存在位階(レベル)向上><代謝機能向上・効率化><老廃物減化>

 ※_異空間接続―思考固定空間―


 ※_エクストラレベル化に伴い、他者は閲覧不可となります。通常レベル範囲はその限りではありません。



 え?



 な……、



 なに、これ?




 余りの内容に俺は思考放棄、した。




 寝る。


 ご飯いらない。


 お風呂も明日。


 何もかも明日。



 いや、明日だってなにも考えたくない!




 モウヤダー。

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