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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【74】新たな問題ごと、発生?

 正月休み中、さすがに両親は実家に顔出ししなきゃマズイってことで、家を三日ほど開けてたけど俺や妹はそれに付いていかなかった。澪奈みいなは付いていってお年玉貰えばいいだろ? って聞いてみたけど、俺が行かないって言ったら私もやめとくってなった。


 まぁそうなるか。連泊で両親の実家をはしごするのはさすがに勘弁だよな。


 正月の旧家なんて行けば何があるかわからんしな。父さんの実家もそれなりに裕福な家で、父さんは言ってみればええとこのボンボンってやつなんだけど、母さんとこ()()()普通だ。まぁどっちに行っても、親戚が集まってる中、ほとんど会うことも無い伯父さんや伯母さんの相手させられるとかマジ勘弁である。


 父さんの実家はそのうち顔見せに行かなきゃいけないだろうけど……、わざわざ正月に行くことないわ。メンドクサイ。


 

 一月七日。


 TVでは例の小惑星が見えるってんで各局が早朝から特番組んで色々やってた。


 ぶつかるはずだった軌道からは結構それたようだし、彗星みたいに尾を引いて見えるとか派手なことにもならなかったようだ。それでも月の軌道よりは内側を通ったらしく、双眼鏡レベルで十分視認もできたらしい。


 らしい。


 俺は月のアレでお腹痛くて寝てたから見てない。


 家族はみんな見たんだと。朝七時くらいまでなんだぞ、見えてたのは。


 ほんと元気ね。


 六等星程度の明るさでしかなく、騒いだ割にはしょぼかったっぽい。終わってみればそんなものか。いや、まぁ、それこそが瑛莉華えりかさんと俺が頑張った成果だと思えばいいことなんだけどな。


 なんにしろ良かった良かった。



 翌日。

 

 俺は長かった実家への帰省を終え、自分のマンションへと戻るべく家を出た。ちなみに父さんだけは一足早く六日から仕事始めだった。澪奈もその日まで休みだったので駅まで送ってくれる母さんの車に一緒に乗り込んで見送りに来てくれた。


「また春休みは帰ってこなきゃだめだからね? 絶対だよ」


「それはまぁ、その時次第。先のことはまだわかんないし」


 三ヶ月もさきのこと約束なんか出来んわ、うん。


「え~! 絶対LINIE(リニエ)しまくるし。帰るって言うまで入れまくるし」


「うざ! そんなこと絶対やめてよね。したら余計帰らんし!」


「む~」


「二人ともやめなさい。澪奈は無理言わない。佑奈ゆうなもなるべく帰れるよう調整しなさい。あ、それともたまには母さんたちがそっちへ遊びに行こうかな?」


 車内で不毛な会話してたら、まさかの母さん爆弾発言。


「えっ! いや、そんな、わ、わるいし……」


「あのマンションを借りた時以来行ってないし、うん、いいかもしれ……」


「わかった、帰るし! 春休みキッチリ帰るし! わざわざ来てもらわなくてもいいし!」


 親をマンションに入れるなんてメンドクサすぎる。何されるかもわからない。断固阻止!


「ママ、さすが! お姉ちゃんの扱いバッチリ!」


 くうぅ、澪奈め、調子にのってコノヤロ。



 結局春休みも帰省する約束させられた。母さんと澪奈、実は裏で手を組んでたんじゃね?


 そんなやり取りしてれば、あっという間に駅に着く。ったく、無駄に疲れたわ。


「送ってくれてありがと。じゃね!」


 俺はにこやかな表情の二人に見送られ、駅の中へと逃げ込んだのだった。

 


***



 私鉄を乗り継ぎながら、無事新幹線に乗り込んだ俺。


 ここまでくればやっと落ち着いた気分にもなってきた。昨年末からこっち、なんやかやと忙しく、全然落ち着けなかった気がする。今年も最初からいきなり神様みたいな存在から変なこと告げられたりしたし。


 指定席の車窓から早い流れで移ろう景色を眺めながら、俺は一人でいることに喜びを感じつつ物思いにふける。


 頭に浮かぶのはやっぱアレのこと。


 俺に語りかけてきた『暖かき存在』なる神様?


 あそこまではっきり人の言葉として頭に入ってきたのは初めてのことだった。今までは何か言ってるなって感じがするだけで全く意味をなしてなかったし。それはスマホのアプリのログでもそうだったけど。


 LV5になってからというもの、色々変化が著しいわ。


 特に気になったのは『我の巫をその変へ改むわざをもって扶けたし』ってとこだ。


 よく覚えてた、俺。すごいぞ俺。


 …………。


 ま、ぶっちゃけ俺がキッチリ覚えてた訳じゃない。驚いたことに『暖かき存在』の頭に響いてきた、あの言葉。そっくりそのままスマホアプリにログとして記録されてたんだよな。


 アプリにメッセージ入ってた時は驚いた。『言の葉』ってタブが追加されててもう草も生えんわ。やっぱあのアプリって神様由来なんだな。すごいな神様。すごいぞ『暖かき存在』。


 そんな訳で、いくらでもあの頭に響いた言葉を見直すことができた。


 そうは言っても言い回しが独特で理解するのに苦労した。要は『私の巫女を改変で助けろや』って感じじゃないかと愚考する。


 が、だからなに?


 言葉を理解してもそうとしか言えない。


 私の巫女って言われてもねぇ。日本全国、巫女さんがどれくらいいると思って?


 知らんけど、少なくとも百や二百じゃ済まない程度は居るだろ?


 俺は予知とかできないし、どっかの名探偵みたいな推理力もない。だからこれっぽっちも神様の言う巫女に心当たりなんてないし、思い浮かびもしない。


 うん、瑛莉華えりかさんに丸投げしよ。


 これはPSI能力持ちである瑛莉華さん案件で間違いないわ。で、なんかがわかったあと、もし改変が必要ってことなら対処すればいいだろ。


 ま、何を改変させたいのかわからんけど、『たすけたし』っていうのがちょっと不穏だよな。っていうか神様自身で助けりゃいいのに。無理なの?


 無理なのかもな。


 だって、小惑星の時だって結局俺たちにやらせたわけだし。


 あ~あ、やっぱ今年もずっと引きこもってって訳にはいきそうもないなぁ。メンドクサイなぁ……って、


「いてっ」


 うっくぅ……。


「痛いって、もう!」

 

 まただよ。


 普段『暖かき存在』から直接語りかけてくる、なんてことはないけど。こいつだけ、この偏頭痛だけは直接きちゃうんだよね!


 ああもう、急に声出したから周りの人が見てきたよ。けっこうでかい声出しちゃったし、恥ずかしすぎ。


 ただでさえ見た目で目立ってるのに、勘弁して!


 いたい、いたい、痛いって!


 あ~、すみません、ごめんなさい。もうメンドクサイって考えません! なんでも協力させていただきます!


 ごめんなさ~い!


 そう繰り返し念じてたら偏頭痛は治まっていった。


 もうやだ。


 俺に心安余る場所なんてないわ。泣きたい。


 その後俺は、到着までふて寝して過ごした。







***



 マンションに帰った俺は早速瑛莉華さんに連絡し、新年のあいさつもそこそこに、前に会ったコーヒーショップで落ち合った。


 で、初詣での体験を報告し、スマホアプリの例のログを見てもらってる。新幹線で決意した通り、瑛莉華さんに即丸投である。


 助けて瑛莉華さん!



「……なるほど、『我の巫をその変へ改むわざをもって扶けたし』――は、佑奈ちゃんの言うようにどこかに居るであろう『暖かき存在』の巫女を助けて欲しいってことで間違いないでしょうね」


 見ていたスマホ画面から顔を上げ、瑛莉華さんが俺をじっと見て来る。相変わらずのクール系美人。初見じゃちょっと近寄りがたい雰囲気のするお姉さんである。


 見つめてきたまま、しばし無言が続いた。間が持たない。


「な、なに?」


 こらえきれず聞いた。いや、別にこらえる必要ないけど。


「……実は、例のところからも新年早々お話が来てまして」


 え、例の所って、例のとこ?


 国家情報なんたら室。


「ふふっ、そうです。そこです。――国家情報調査室。情報分析部の橘川きっかわ課長からです」


 ふぁ、新年早々、頭(のぞ)かれた。安定の読心能力!


「で、なんて言ってきたの?」


 もったいぶらず、教えてプリーズ!


「かの方。あの方々が《《かの方》》と伏せて呼んでいる存在。その人を診て欲しい。そう連絡がありました。しかもメールや書簡ではなく直接……ね」



 うっわ。




 なんか、繋がった……わ。





 やっぱメンド……っと、これは考えてはだめなやつ。


 気をつけなくては。



 今年も平穏に暮らすの、無理そう。



 そう思うしかない俺だった。


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